腑抜けな男達、優秀な女達
誘拐事件解決するのか?
何とか、雷神の裁きのハンマーは回避できた。これで、時間が稼げる。
今まで、リサ王女の誘拐に関わっていた者達は、すべて殺した。
証拠の資料や、痕跡もすべて燃やした。
残っているのは、監禁していた廃墟の城と、王城内に潜ませている協力者だけ。
他の王族や、会議に出ていた貴族たちは、誘拐の調査に乗り出すだろう。
私もうかうかしていられない。何か対策を考えなくては。
◇◇◇
「ありがとうございます。すごくおいしいです」
俺の周りには、豪華なフルコース料理と、綺麗なお姉さん、もといメイドさん達が給仕をしてくれている。みんなさん美人。みんなさんタイル抜群。
何が良いかって、メイドさんは、黒いワンピースに、白いレースの付いたエプロンを付けている。屈むと胸元の谷間がちらっと見える所。女性の甘い匂いと、声。笑顔。現在俺は、モテモテ状態だと錯覚するほどの待遇を受けている。
リサ王女は今は一緒にいない。
お城に帰ってきてから、緊張の糸が切れたのか熱を出して、ベットの住人になっている。
リサ王女からチート能力で、回復を要望されたが、健康や生や死に関わる事には能力が使えなかった。
代わりに栄養ドリンクや薬を飲むための甘いゼリーを渡しておいた。
今は徐々に回復に向かっているらしい。
特にやる事のない俺は、城の中を探索したり、庭を散歩したり暇をつぶしている。
「きゃ!」
俺が庭を散歩していると、女性の悲鳴が聞こえた。
俺は急いで、悲鳴の方へ向かうと、ワゴンをひっくり返した、猫みたいな可愛いメイドさんが居た。
彼女のひっくり返したワゴンを一緒に片付けたのをきっかけに、俺は可愛いメイドさんと、よく話すようになった。
可愛いメイドさんの名前は、クララちゃん。
すこしどんくさいけど、一生懸命で、胸が大きくて、俺をいつも気がけてくれて、笑顔が癒しのアイドル系だ。元の世界の俺では、こんなに可愛い子と、話すことさえ出来なかっただろう。
何度か庭を一緒に散歩して、お互いに惹かれ合っていると感じる頃には、ベッドイン。
何度も最高の夜を過ごした俺は、彼女なしでは生きられないほど、彼女に沼ってしまった。
リサ王女が発熱から回復して、庭までの散歩を医者から許可された時、庭でデート中だった俺とクララちゃんにばったり遭遇した。
「?。何やってるの恒星」
「デ、デートだ。紹介しよう俺の彼女のクララだ」
「・・・。」
リサ王女はクララちゃんを、じーと観察。
「恒星、宝石が付いたリボンが、いっぱい欲しい。出して」
突然のリサ王女からの要望。
「いいけど、突然なんで?」
俺の中のチートが叫んでる。チート能力発動。
空から、赤、青、黄色、緑、色とりどりの宝石が付いたリボンが大量に降ってくる。
あっという間に、リボンの小山ができた。
リサ王女はその中から、赤い宝石の付いたリボンを1つ取ると、自分の侍女に片付けを依頼し、立ち去って行った。
「なんだったんだ?」
俺は、茫然とリサ王女を見送った。
俺の隣に立っている、クララの悔しそうな顔には気づかなかった。
その日の夜。クララから二人おそろいの指輪が欲しいとおねだりされた。が、俺はこの世界での収入がない。一応、リサ王女の従者。城に申告すれ給料が発生するだろう。
クララには、俺の能力はリサ王女が要望しないと発動できない事、給料が出れば、必ずおそろいの指輪を購入する事を約束した。
クララの顔が、目に見えて曇った。不機嫌になったクララ。
その夜、俺は何もできず、もやもやしたまま眠りについた。
◇◇◇
誘拐事件から3週間。
誘拐犯を捕まえる期限の日。
裁判所の広場には、男たちが10名が縄で縛られて転がされている。
どの男達も、殴られ、傷つき、人生諦めているようなうつろな目をしていた。
「この男たちは、隣国の兵でした。女神の寵愛を自国に持ち帰れば、自国が復活すると信じてやまないカルト集団です。国境の警備が厚く、突破できなかった為、隣国に行くことが出来ず、リサ王女の監禁を行っていました。これがカルト集団のアジトから発見されました。その証拠です。」
ハクシャ王子が、リサ王女が誘拐された時、身に付けていた宝石の付いた赤いリボンを掲げ、イーロン国王、リサ王女、裁判官の前で訴えた。
「お前達、申し開きはあるか」
「「「・・・・。」」」
裁判官が男達に問いかけたが、誰一人、口を開かない。
「は~い。私はあります」
リサ王女が元気よく手を挙げた。
「私の赤いリボンはそれではありません。今、付けているこれです」
リサ王女が、白い髪に付けている赤いリボンを指さす。
「そんな、バカな。リサ王女が誘拐された時に付けていたのは、これだ!」
ハクシャ王子が大声で訴える。
「なぜ?私が言ってるに信じないの?」
「・・・・」
ハクシャ王子は、顔面蒼白になり、口をパクパクしている。次の言葉が出ない。
「うむ。やはり雷神のハンマーで裁きを下す方が、てっとり早くて正確じゃ。ほな、雷神頼む」
イーロン国王の一声で、雷神がハンマーを地面に叩きつけた。
バキバキバキバキ!
叩きつけた地面から、雷が地を這い、ハクシャ王子を直撃。
ハクシャ王子は、白目を向いて体から煙を出しながら後ろに倒れた。
俺は呆然とその光景を見ていた。
気を失ったハクシャ王子は、兵に運ばれていった。
「どうして、ハクシャ王子が犯人だとわかったんだ」
王城へ戻る馬車の中で、リサ王女に訊ねると
「うふふ。すごいでしょ。私の侍女達は優秀なの。恒星とジャンプした時に見た景色を侍女に話したら、監禁されてた廃墟の城の場所を突き止めてくれたのよ。城のある城下町の食べ物屋、飲み屋、花街に、この半年前からの新参者や、最近まったく来なくなった客を調べたみたい。
ハクシャ王子がよく使っていた、裏社会の者達に辿り着いたの。証拠は何もなかったから、後は、じーちゃんの雷神にお任せ」
「宝石の付いた赤いリボンは、そのために俺に出させたのか」
「そうだよ。じーちゃんが雷神に頼む口実が欲しかったからね」
「・・・・。お前ってすごいんだな」
「えっへん。じーちゃんの計画だったんだよ。
帝王学では、人の心を動かすのは、金と権力と愛情。これ常識。
恒星も、たぶん覚えておいた方が良いって、じーちゃん言ってたよ」
その日の夜。クララは俺の部屋には来なかった。
噂では、俺が出した、宝石の付いたリボンを大量に持って逃げだしたと聞いた。
クララはハクシャ王子の愛人だったらしい。
次の日に捕まったクララは、悪びれた様子もなくこう言ったそうだ。
「こんなに可愛い私が、何故底辺になくてはいけない。私はハクシャ王子の最愛だ。金も権力も男も、私の思うがままになるはずだったのに…。使えない奴ばかり、ハクシャ王子も、恒星も腑抜けだ」
もう、女なんて信じない。俺の心はズタボロだ~。
白河・DG・夜舟様より頂きました
宝石付きのリボンを要求
裁判所に連れて来られた男たちは、妻や子供を人質に取られていた隣国の難民でした。
雷に打たれたハクシャ王子は、洗いざらいは吐かされて、協力者と共に死刑。
クララは、娼館に送られましたが、その美貌と話術で人気ナンバーワンとなります。
この章は完結です。次は番外編。




