国王イーロン・マッカーサー
小柄なじーちゃん登場
俺は、リサ王女の後を追いかけ、ふさふさの赤い絨毯が敷き詰めてある長い廊下をひたすら歩いて、重厚な扉の前にたどり付いた。
扉の前は、顔も体もごつい兵士が扉を守っている。
「オス。風神、雷神」
小さい白ライオン姿のリサ王女は、ごつい兵士に向けて片手を上げ、敬礼。
扉の前に立った。
風神、雷神と呼ばれたごつい兵士は、重厚な扉を両サイドから開けた。
部屋の中は壁一面、本棚。辞書みたいに分厚い本が所狭しと並んでいる。
部屋の真ん中には、繊細な彫刻を施した大きな机。
その机で、つるっぱげの頭に小さな王冠を乗せ、白髭、瞳が水色の小柄な老人が書き物をしていた。
白髭の小柄な老人は顔を上げ、小さな白ライオン姿のリサ王女を見るなり、目を輝かせながら駆け寄った。
「おお~。リサ無事だったか~」
と、涙を流しながら頬ずり。
「髭が痛いよ、じーちゃん。ただいま戻りました」
リサ王女も、されるがまま頬ずりされている。
二人はひとしきり抱擁した後。俺に気が付いた白髭の小柄な老人。
「誰じゃ?。彼氏にしては年上すぎないかの」
「彼氏じゃないよ。私のチート従者。女神様が授けて下さった私の能力だよ」
「ほへ~。チート従者とな」
白髭の小柄な老人は、俺の周りをちょこまかと歩き回り、俺を下から眺めたり、突いたり、嗅いでみたりと忙しない。
「ふ~ん。して、リサがライオンの姿なのも、この従者の能力か?」
「うん。そうだよ」
「・・・・。いいな、いいな、いいな、いいな、いいな~、わしもライオンになりたいな~」
白髭の小柄な老人が、きゅるん目で俺を見上げる。
「え~と、リサ王女のじーちゃんて言うことは、この国の国王?」
「えっへん。いかにも、わしがマッカーサー国の国王イーロン・マッカーサー。イーロン王と呼んでくれ」
白髭の小柄な老人は、小鼻を膨らませ、胸を張っている。
「じーちゃんも、ライオンになりたいの?恒星、じーちゃんもライオンにして」
リサ王女からの要望。
「いいのかよ、一国の王だぞ。俺は知らないぞ」
俺の中のチートが叫んでいる。チート能力発動。
イーロン王の外見がみるみる変わっていく。
白い髭が伸びたと思ったら、頭まで覆いつくし、白色の立派なライオンのたてがみに変化。全身に白い毛が生えて、口が大きく変形、白い耳が頭から覗き、尻尾が生えた。
小さな王冠を頭に乗せた、白いたてがみが立派な小柄な白ライオンが出来上がった。
「ガオ、ガオォ~」ぴょんぴょん。
「ガオ、ガオォー」ぐるんぐるん。
二人の白ライオンが、豪華な執務室で、跳ねたり周ったり、楽しそうに叫びあっている。
ひとしきり叫びまくり、納得した二人は、
「よし、では行くかの。風神、雷神頼む」
イーサン王が声をかけると、颯爽と現れた、風神、雷神。
白ライオン姿のイーサン王と、リサ王女を肩車して、執務室を出て、会議室に歩いて行った。
◇◇◇
「なぜだ、なぜ生きている。リサ王女には毒入りの水を飲ませたはず…。まずいぞ、非常にまずい」
俺は白い髪、茶色い目を持って生まれた、この国の第2王子。ハクシャ王子。
リサ王女が乗馬の訓練中、馬に細工をして森に誘導。リサ王女を誘拐することに成功した。
リサ王女の捜索を私が仕切り、リサ王女を監禁している森の中にある廃墟の城には一切捜索がはいらないよう手配した。
半年間、リサ王女を隠しきり、次期国王の選出会議が開かれると聞いたのが1週間前。
今まで生かしておいたリサ王女も、私が次期国王に選出されれば、いらない存在になる。
私が見張りの者に指示を出し、リサ王女を監禁している部屋にある、ピッチャーの水を毒水に変えるように要求。
「リサ王女、これで終わりだ。この水には毒が入っている。飲むも、飲まないもお前の自由。
だが、助けは来ないと思え、お前は、飢えて死ぬか、毒で死ぬかだ」
見張りの者に、毒入り水であることをリサ王女に告げるように言ったのも、この私。
リサ王女は、何も言わず、見張りの者を睨みつけたままだったと聞いた。
見張り者の話では、何日か、飲まず食わずで過ごしたリサ王女。
最後にピッチャーの毒水を飲み、嘔吐と下痢に苦しみ、そのうち動かなくなったと報告を受けていた。
死んだものだと思っていたが、生きていたらしい。
しかも、7歳なのに女神から能力を授かっている。あの一緒にいた普通の男が能力だろう。
リサ王女は主犯格が私だとは知らないが、イーロン王の能力、風神と雷神がくれば話は別。
雷神の裁きのハンマーで、私が主犯格だとバレる。
本当にヤバい、そのうちここに風神、雷神が来るだろう。何とか策を考えなければ…。
◇◇◇
会議室の扉を開け、風神、雷神と、肩車された2匹の白いライオン、俺が乗り込んだ。
「皆の者、そろっているな。行方知れずになっていた我が娘リサ王女が帰還した。
リサ王女を誘拐していた犯人を捕らえようと思う」
頭に小さな王冠をのせた小柄な白ライオン姿のイーロン王は、鋭い目で皆を見回した。
「雷神頼む」
雷神がハンマーを床に振り下ろす瞬間。
「お待ちください」
白い髪で茶色い目の50代ぐらいの豪華な衣装を着た男性が、待ったをかけた。
「なんじゃ、ハクシャ。何か申したい事があるのか」
「イーロン王、ここで裁きを下すのですか?。イーロン王は我々を疑っておられる。
我々は、この国の為に、身を粉にして尽くしてきました。今もこの国の今後を思い、皆で集まってこの国の地盤を固めようとしていたのです。そんな我らをイーロン王は疑いになる。心外です」
他の王族や貴族も、難しい顔で頷いている。
「じゃが、これが手っ取り早いし、一番正確じゃ。雷神のハンマーは悪しき者に、雷を落とす。
わしの能力じゃ、今までもそうしてきたではないか」
「だから、不満なのです。イーロン王は我々を信頼していない。能力不足だと軽んじておられる。どうか、我らに、誘拐犯を捕らえるチャンスを頂きたい」
ハクシャと呼ばれた人と、他の大人たちが頭を下げた。
「うむ。わかった。3週間やろう。それで誘拐犯をみつけれなかったら、雷神の裁きを受けてもらう、良いな」
そういうと、会議はお開きとなった。
白河・DG・夜舟様から頂きました。
イーロン国王とリン王女
次回、誘拐犯をみつける事ができるのか




