女神の寵愛
説明回です。
「今帰った。次期女王リサ・マッカーサーだ」
会議をしていた大人達の驚きの表情。
「あなたに抑えつけられてた私だけど、立ち上がったの。覚悟を決めるのはもうこりごりだから、私はライオンの目を持っている。燃える炎の中を踊るファイター、私は吠える。ライオンより大きい声で、だって私は最強だから、私は吠える。私は吠えるよ。」
「ガ、ガ、ガオォ~!!!」
会議をしていた大人たちの困惑の表情。
うん。俺も訳がわからない。ポエム。ポエムなの?なぜライオン?吠えるの?
何だか体が熱い。あああああ~。
俺の中のチートが叫んでる。
リサ王女の強烈な思い。強い決意が俺に流れ込んでくる。
あがらえない。チート発動。
リサ王女の外見がみるみる変わっていく。
白い髪が伸び、全身に白い毛が生え、口が大きく変形、白い耳が頭から覗き、尻尾が生えた。上のみスエットを着た、二足歩行の水色の目をした小さい白ライオンが出来上がった。
「ガオォー!。ガオォー!」
リサ王女は力強く叫んでいる。
あ~あ、女神様。俺にこれをどおしろと…。
「え~。リサ王女様は今までの私じゃないぞ。死ぬ覚悟はもうこりごりだ。
私は百獣の王ライオン。私を害した者をゆるさない。心は燃えている。吠えるぞ決意表明だ。ガオー。
だそうです。はい、たぶん…。」
会議をしていた大人たちは、一斉に片膝をつき、リサ王女に頭を下げた。
中には、顔色真っ青、小刻みに震えている者もいる。
え?!なぜ皆、膝をついたんだ。どうなってる?何が起きてる?
俺は困惑。呆然と立ち尽くす。
「ガオ、ガオ、ガ、オ~ン」
リサ王女の遠吠えは続いている。
ひとしきり吠えたリサ王女は、白ライオンのまま、頭を下げ続ける大人達の横を抜け、会議室の扉から廊下へ歩き出した。
何?マジで俺、わからないんだけど…。
俺は、慌てて、リサ王女の後を追った。
◇◇◇
私はマッカーサー国、宰相ペンタゴン。
半年前に、第5王女リサ・マッカーサーが何者かによって誘拐された。
リサ王女は、この国の王位継承条件である、白い髪、水色の目で生まれて来た唯一の王族。
産まれた瞬間から、次期女王として確定された尊き存在。
この世界は、女神の寵愛を受けし物が、王位継承者となる事が決まっており。我が国は、白い髪、水色の目が寵愛の証。
これまでの王位継承者は18歳の成人の儀を迎えると同時に、何かしらの能力を女神から授かり、国を繁栄させて来た。
現国王は現在80歳。リサ王女は現王の4番目の娘が生んだ孫にあたる。
リサ王女は生まれてすぐ、王宮へ上がり現国王の養女となった。
リサ王女は物心ついた時から、王宮内で次期国王としての教育を受けていた。
半年前、皇道で乗馬の練習中、馬が暴走しリサ王女は馬と共に森の中へ。
近衛が後を追い、森の中にいた暴走した馬を見つけたが、リサ王女はいなかった。
私はその一報を聞いた時、冷や汗が止まらなかった。
現国王は80歳。まだ元気だが、7歳のリサ王女を失ったら、次の女神の寵愛がいつ生まれるかわからない。1年後かもしれないし、100年後かもしれない。
女神の寵愛がいない国がどうなるかは、隣国を見ればわかる。
”衰退”
まず、天候が荒れ、日照りが続く事もあれば、激しい雨が何日も続き、災害が広がる。
それに合わせて、作物の収穫量が落ち、家畜の出生率が激減、食糧難に陥る。
物価が上がり、国民の貧困化が深刻に。犯罪が正当化され治安が一気に悪くなる。
隣国は女神の寵愛を失ってから10年。我が国の全面支援。王族を始め、貴族たちの努力もあり、なんとか”緩やかな衰退”で留まっている。
隣国には、まだ、次の女神の寵愛は産まれていない。
我が国に、隣国から来る難民も増えて来た。
我が国まで女神の寵愛を失っては、生きてはいけない民が増加するだろう。
どこからも支援を得られない、我が国の衰退は、隣国の比じゃなく、加速度的に進むと予測される。
それほど、リサ王女の存在は重要なのだ。
そのリサ王女が行方不明。
この半年、ちまなこになって探したが見つからない。
我が国の崩壊が、目の前に迫っている。
会議室には、王族と主要な貴族当主達が集まった。
半年間、リサ王女を探したが見つからない。死亡したと仮説して、現国王がご存命の間に、国の基盤を固めておかなければいけない。
「まず、食料危機の対策だが、長雨や日照りに強い食物を・・・・・」
宰相の私が司会をした後、初めに話し出したのが、現国王の2番目の息子。ハクシャ王子。
白い髪に、茶色い目の50代後半の王族だ。
このハクシャ王子。若いころは、白い髪だったことから、女神の寵愛を受けているのでは?と言われてきたが、18歳の成人の儀で何の能力も得られず、次期王位継承者から外れた経緯がある人物。
この会議、ハクシャ王子を中心に話が進められた。
現国王が崩御した後、誰が次期国王になるかの話になった時、ハクシャ王子が推薦され、満場一致で可決された。すぐ後。
会議室のバルコニーの扉が開き、リサ王女が立っていた。
「今帰った。次期女王リサ・マッカーサーだ」
死んだと思っていたリサ王女の出現に、唖然とする会議室。
リサ王女は、ライオンがどうとか話ていたが、頭に入らない。
安堵と、疑惑で混乱する中。
リサ王女は「ガオォ~」と叫び出したかと思ったら、小さな白ライオンに姿を変えた。
7歳なのに、女神の寵愛を受け、力をすでに授かっている!!!
驚愕と安堵と、恐怖が入り交じった会議室。
そこにいた誰もが、帰って来た次期女王に頭を下げ敬意を表した。
白河・DG・夜舟様より頂きました。
白ライオンに変身「ガオォー」と吠えるリサ王女
とんでもない重要な王女の従者になってしまった恒星。どうなってしまうのか…。




