↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛シミュレーションゲームのお邪魔虫キャラに転生した俺。王子に婚約破棄した悪役令嬢を押しつけられる  作者: 雲乃琳雨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/17

12、王子との対面

 俺はコルの店に仕入れに行くと、コルが涙目で駆け寄ってきた。


「大変です!」

「どうしたんだ! 変な奴でも来たのか!?」

「違います。その逆です」


 逆? コルは手紙を俺に見せた。


「王妃様から商品が見たいと、召喚状が届いたのです!」

「え!?」


 これは、ゲームイベントだ! コルの商品が街や貴族の間でも人気になると、王妃から呼び出されるのだ。


「やったなコル!」

「はい。でも私、城に行ったことがないので、怖いです。……キース様、一緒に行ってもらえないでしょうか?」

「もちろんだよ」


 城には舞踏会でも行ってるから慣れてるぜ。


「ありがとうございます。キース様!」


 コルはそう言うと俺に飛びついてきた! コルは好感度が八十パーセント以上になると抱きついてくる。おお~、これはもう完全に上がったな。


 俺もコルを軽く抱きしめた。こんなところをグエンには見せられないな。と思って窓を見たら、グエンがすごい形相で張り付いていた。周りが黒くなってる。稲妻や炎、水や竜巻、いろんな魔法があいつから漏れ出ていた。——あいつはやっぱりストーカーだ……。


 俺はコルからそっと離れた。コルと城に行く打ち合わせをすると、急いで店を出たが、グエンはもういなかった。グエンの店に行ってみる。


 店に入ると、グエンは俺に気がついてムスッとしていた。


「お前は店をほっぽり出していいのか? やっぱりストーカーだよな」

「そうだよ! 店はお留守番ロボがいるから大丈夫」


 グエンはカウンターから白い布製の人形を取り出した。中は綿が詰まっている感じ。丸い頭に円柱形の手足と体。黒い楕円の目だけで、それ以外の服や装飾はない。なんか不気味な人形だ……。


「もし万引きしたら、目からレーザーじゃなくて、魔法ビームが出るんだ」

「危険すぎるだろ」

「大丈夫だよ。俺が戻るまで硬直してるだけだから。俺が戻ったら、

 お金を払うか、

 出禁になるか、

 警備署に突き出すかを選んでもらう」


 なるほど……。ゲームと同じ三択だ。


「さっきのこと、俺は別に気にしてないよ。コルにとっていいことがあったんだろ」


 コルが抱きついたことだな。さすが、コルの強火担だな。お見通しか。気にしてない割には、色々危険なものが出てたがな。


「そうだ。王妃に呼ばれたんだ」

「! それって、イベントだろ」


 やっとこっちを向いた。グエンは嫌な顔をした。


「王子に会うかもしれない……」

「そうだな」


 コルと王子はまだ会っていないだろうから、王子が現れる確率は高い。攻略対象との出会い方は複数ある。

 一番出会い方が多いのは、カタリナだ。主人公の王子が、お忍びで街歩きしたときや、舞踏会でも会う。コルの場合は、街歩きと王妃に呼ばれたときだ。もちろん会わない選択肢や、見かけても素通りする選択肢もある。


 攻略対象から声をかけてくるのは、マレルタと聖女だけだ。マレルタは最初から婚約者だからな。聖女は親しみのあるキャラだけど、実際は分かってて声をかけてるのかもな。聖女のあざといキャラを思い出して、ちょっと笑った。


「何だ、思い出し笑いして」

「なんでもない」


 グエンはいぶかしんだ。俺は口元に手を近づけて、気持ちを抑えた。


「俺はコルに頼まれて城に行くことにしたから」

「そうか。ならコルのこと頼む。俺じゃ何もできないから……」

「分かったよ」


 俺も心配だし、保護者になった気分だな。鼻からふと息を漏らして苦笑した。



 城に行く日になり、俺とコルは店の前で待っていた。今日のコルは左右で緩いおさげにしている。かわいい♡。

 俺が商品の入った茶色い大きなカバンを持った。持っていく商品は二人で相談して、貴族でもよさそうなものにした。


 迎えの時間になると、店の前に馬車が停まった。普通の馬車だが、御者が王妃の召喚状と同じ内容が書かれた紙を俺たちに見せた。召喚状に返信はしてないので、俺が行くことは知らない。俺は御者に挨拶した。


「コルは未成年なので、私が同行者として付いていきます。コルの取引相手の、キース・グランテ子爵令息です」

「分かりました」


 御者が了承したので、二人で馬車に乗った。



 城に着くとメイドに案内されて、廊下で待つように言われた。部屋の前にもメイドが一人立っていた。中に入ったメイドが外に出てきた。


「お二人ともお入りください」


 俺の許可も下りたようだ。俺はコルを見て頷いた。メイドの後についてコルが先に入り、俺は後に続いた。


 王妃はソファに座っていた。王子は黄色系の金髪だが、王妃は小麦色の濃い金髪だ。髪を結い上げて、白い大きな襟の付いた黄色いドレスを着ている。ゲームと同じ衣装だ。


 おお~、なんか神々しい。ゲームでは王妃は良識あるキャラだった。権力者なのでそれを切に願う……。


「今日は来てくれてありがとう。王妃のレオナスです」

「コルタス・ムラカです。よろしくお願いいたします。王妃様」

「あなたはとても腕のいい魔法使いだそうね」

「そんな……」


 王妃の言葉にコルは恥ずかしがって下を向いた。


「あなたがキースね」

「初めまして王妃様。キース・グランテ子爵令息です」


 そりゃあ、俺のことご存知ですよね! あなたの息子が、悪役令嬢を押し付けてきたんですから! 心の中で皮肉を込めたが、表では涼しい顔で挨拶した。


「どうぞ、二人とも座って」


 俺たちが王妃の向かいの席に並んで座ると、外で騒がしい声がした。


「勝手に入っては困ります!」


 突然ドアが開くと、王子がミアと共に入ってきた! 早っ! ミアは俺のほうを見て、小さく会釈した。ミア~! 久しぶり。また会えると思ってなかった!

 俺は心の中で挨拶した。表では喜びを出さずに、ミアに軽く頭を下げて礼を返した。ミアは少し頬を染めて喜んでいた。かわいい♡。


 それよりも! 俺の視界の中で、コルとミアのツーショットが実現した! ——水着のサービスカットを思い出す~。この二人がペアだったのだ。


 ミアがスクール水着を着せられていた。みんな衣装をイメージした色の水着だから仕方がない……。コルは青の二本線とクルミぼたんの付いた、白地のマリンデザインのセパレートに、同じデザインの水平帽を被っていた。


 もう一組が聖女とカタリナのペアで、カタリナはオレンジの普通のワンピース。聖女が水色と薄紫のグラデーション生地に、フロントクロスギャザーのストラップレスビキニで、大胆な健康美を披露していた。ファンの間でも大好評だった。

 今思えば、本当に自由奔放なんだな……。


 俺は脳裏にちらついた水着カットを振り払ないながら平静を保とうとした。


「あら、ミアを呼んだのにあなたまで来たの」


 王妃は明らかに嫌な顔をした。


「魔法使いを見に来たのです。——なぜお前がいる。キース・グランテ」


 王子は俺を上から見下した。やっぱりコルを見に来たんだ! 俺も会いたくなかったさ!!


 王子とは対面したことがないのに、俺をちゃんと認識しているんだな。変な感じだ……。ゲームキャラだから自然と意識されているのか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。