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恋愛シミュレーションゲームのお邪魔虫キャラに転生した俺。王子に婚約破棄した悪役令嬢を押しつけられる  作者: 雲乃琳雨


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11、婚約者候補のお茶会

 しばらくすると、カタリナのほうからうちを訪ねてきた。俺は父さんに呼ばれた。


「なんかお前に話があるそうだぞ」

「分かりました」


 俺は応接室で彼女と会った。


「今日はどうされたんですか?」

「それが私、正式に王子の婚約者候補になってしまったんです」


 何だって!? ——まあ、攻略対象だからあり得ない話じゃないか。


「でも私、王子のこと怖いんです。性格も悪いって言うし、あの目を見るだけで恐ろしくて震えます。——でも、お断りするわけにもいかなくて、それでキース様にご相談をと思いまして」

「そうですか」

「今度、婚約者候補でお茶会を開くそうです。招待状がきたので、それに参加しないといけなくて」

「なるほど。一堂に会すわけですか。——なら、知恵を授けましょう」


 王子がお茶会を開くのは、ゲームイベントでもある。王子のことはだいたい分かっているから、俺はカタリナに作戦を話した。



 しばらくすると、カタリナは協力してくれた他の婚約者候補、ロザリーと一緒にうちを訪ねてきた。応接室で二人に会った。カタリナはうれしそうに報告した。


「キース様、上手くいきましたよ!」

「それは良かった!」

「こちらは、協力してもらったロザリー・ハインツ子爵令嬢です」

「初めまして、キース様。ロザリーです」

「初めまして」


 ロザリーは赤いドレスに、ストレートの黒髪と釣り目で、勝気な感じだ。縁に小さなレースが付いた小豆色のヘアバンドと、白い花飾りをしている。おしゃれだなと思った。

 カタリナがお茶会の話をしてくれた。



 婚約者候補は十人いた。城の庭園にテーブルが二つ置かれていて、カタリナはロザリーと隣同士で座ることができた。王子が来たテーブルで、令嬢たちが自己紹介をする。カタリナの番になると自分のことを話した。


「私、こないだまで好きな方がいたんです。でもフラれてしまいました。今回は王子殿下の婚約者候補になれて光栄です」


 ウルフレッド王子は口の端を引くつかせた。王子の前で、他の男の話をしたからだ。ロザリーがカタリナに聞いた。


「あら、それは四十代の離婚して独身の男性の話ですか?」

「いいえ、それはその前の方です。私、気が多くて困ってますの。オホホホ」


 カタリナは悪びれもせずに答えて、笑ってみせた。それを見て、他の令嬢たちは冷や汗をかいていた。王子は目は笑っていたが、口元は引きつっていた。


(若いのになんて節操がない女なんだ。それに、ロザリー令嬢は友人の秘密を簡単に話すとは。この二人は無しだな……)



「それからすぐに、候補から外れたと手紙が来ました」

「私のところにもです」


 二人とも手紙を見せた。俺はそれを読んだ。


『カタリナ・ブラン伯爵令嬢は、ウルフレッド王子の婚約者候補から外れたことをお知らせします』


 と書いてあった。俺は二人に微笑んだ。


「良かったですね」

「キース様のおかげです! カタリナに誘われて良かったですわ。私も王子のことをよく思っていなかったんです。一人だとあんなことはできませんでしたが、二人だと心強いですわ!」

「私も王子と婚約するぐらいなら、あんなこと何でもないです。それに、これをきっかけにロザリーと友達になれました」


 二人は微笑み合った。俺は作戦のときに、同じように候補になりたくない令嬢を誘うように言っておいた。


 王子は浮気者の聖女を追い出したから、清純な女性が好みなんだろう。それでカタリナに気の多い女のふりをさせた。ミアを重用していることから、秘密を話す令嬢も許さないだろう。もし協力者がいなくても、その場で一人で話せばいい。


 二人は同い年ということだった。カタリナは目をキラキラさせて言った。


「キース様の言われた通り、お芝居をするのは楽しかったです。キース様、作家になれるのでは?」

「いや、私はアドバイスするのが精一杯ですよ」

「——私、結婚するなら小説のような恋がしたいんです」


 カタリナが両手を胸の前で握り、ほわ~んとした表情で言った。こういうところも普通の女の子だな。俺はちょっと苦笑したけど、——俺も結婚に関してはそうだな。


「分かります」

「でも気になるのが、カタリナが気が多いと噂になることですわ」

「そうですね……」


 カタリナも表情を曇らせた。


「それなら簡単です。もし、そのことについて言われたら、


『私、そういうのは止めましたの』


 と、はっきり言えばいいのです」

「なるほど! さすがキース様」


 ロザリーが感嘆する。カタリナもほっとした表情を見せた。


「そう言います。でもしばらくは王子に会いたくないので、舞踏会はいいです」

「私も! 候補から外れたから、当分出ないほうがいいですわよね」


 二人はまだ若いから、友達との時間のほうがいいのだろう。


「キース様に相談して良かったです」

「私も何かあったらキース様に相談しに来ます!」

「ははは……。私で良ければどうぞ」


 カタリナの好感度も、五十パーセントぐらいには上がったようだな。この分だと、彼女とも少し続きそうだ。二人は仲良くお辞儀をして帰っていった。


 ——これで、攻略対象は三人いなくなったな。王子は婚約者候補を集めたり、マレルタに条件を付けていたから、多分マレルタは嫌なんだろう。


 残るは、ミアとコルだ。ゲームでは身分については触れていなかったが、実際は身分違いでは結婚できない。どちらかに身分を揃えないといけないのだ。貴族として結婚するなら、平民側が貴族の養子になる必要がある。


 二人とも平民だが、コルは魔法のチートがある。魔法使いは貴重な存在だから貴族になるには申し分ない。


 ミアは王妃のお気に入りだし、王妃側の駒にもなるから後ろ盾になるだろう。ゲームでは、王妃には娘がいないから、ミアを娘のようにかわいがっていた。王妃はゲームにも出てくるキャラだ。


 王子の性格が悪いので、できれば二人とも婚約者候補からは外れてほしい。俺としては、攻略対象には幸せになってほしいんだよな。


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