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リポップワールド ~ゲーム世界のバグは勇者を殺す~  作者: 佐倉コージ
第5章 信者が凶暴すぎて、ハード移籍は危険ってレベルじゃねーぞ
164/166

5.0.148 幕間 ギャンとアリサ

長らくお待たせしました。

第5章スタートです。

【カムナ版 3009年 3月10日 地曜 第1版】

『獣人国にて新国王が即位』


 獣人国にて新たなる国王が即位した。

 獣人国は文字通り獣人の国であり、カムクラ王国北東部の東側、シンラ正教国の北側に位置している。

 ただしシンラ正教国は獣人を悪しき存在と定めているため、獣人国とシンラ正教国の間に国交はない。

 未開の大森林地帯を間に挟んで国境を接する両国は、互いに不干渉の立場を貫いている。

 よって魔王との聖戦においても、両国が肩を並べて戦うことはない。


 その聖戦の際に、魔王軍との戦いの最前線を担っているのが獣人国である。

 カムクラ王国と並んで唯一魔王領に接しているのが獣人国だからだ。

 そして獣人国はカムクラ王国と異なり、基本的には周辺各国からの戦力支援を受けずに単独で防衛戦を行う。

 屈強な獣人兵士たちによって構成された獣人国軍は、カムクラ王国軍に匹敵する勇猛さで知られているのだ。

 

 そんな獣人国は、何においても武を第一として尊ぶ文化である。

 そのことは獣人国の政治体制にも表れている。

 獣人国における主要な統治組織は族長会議とマギナ教会の2つ。

 族長会議はシシやトラをはじめとする各種獣人氏族の族長が集う統治機構だ。

 それらの族長は、基本的に各氏族において最も強い者が選ばれるという。

 一方のマギナ教会は獣人のための教会であるが、カムナ教会とは異なり国民の戦闘力強化に特化した活動を行っている。


 そして獣人国における国王とは全種族の頂点に立つ存在であり、、、




ーーーーー




リポップワールド 第5章

『信者が凶暴すぎて、ハード移籍は危険ってレベルじゃねーぞ』


■カムナ3019年 5月13日 日曜

◎ギャン



 森の奥から野生の獣の気配がする。

 それほど大きくない。

 ウサギやリスくらいの小動物だろう。

 今日の獲物はさっき捕まえたシカで十分。

 だけど、せっかくだ。

 食卓に一品増えるのは悪いことじゃない。

 獣のいる方に向けて、ゆっくりと弓を構える。


 だがそのとき、背後の茂みがガサゴソと大きく揺れ出した。

 別の獣だっ!

 けっこう大きい。

 凄い勢いで迫ってくる。

 そのせいで、小動物の方は逃げ出していった。

 すぐさま後ろから来る獣の方に弓を向ける。

 この荒々しさは、きっと肉食の猛獣、、、

 いやっ、だけどこの感じはまさかっ!


 次の瞬間、草木の茂みを突き破って、そいつが飛び出してきた。


「ふぁばっ!」


 思わず撃ちそうになってしまった弓矢を慌てて逸らす。

 その直後、現れた『ケモノ』が腹に飛びかかって組み付いてきた。


「ギャーーンっ!おかえりっ!!」


 嬉しそうな叫び声。

 それはしっぽをブンブン振り回して抱きついてきた少女のものだった。


「アリサっ!危ないだろっ!」


「どしたのギャン、怖い顔して?」


「危ないから森の奥には来ちゃダメだって言っただろ!」


 アリサを怒鳴りつける。

 まったく、言いつけを破るのはこれでいったい何回目だろう。

 なのにアリサはケロッとした表情のまま。

 少しも悪びれる素振りを見せない。

 それどころかニコニコしながら、頬を腹になすりつけてきた。


「なになに〜、ギャンったらアリサのこと心配でたまらないのーっ?圧倒的に情熱的だねっ」


「そういうことではなくて、、、女こどもが1人で森に来るのがだなぁ、、、」


「ふーん、ギャンってそういうこと言っちゃうんだー。1人でって、狩りに連れて行ってくれないギャンのせいでしょ!」


 拗ねたように怒るアリサ。

 ぷくぅっと頬を膨らませている。

 非常に愛らしい。

 頭を撫でてあげたくなる。

 だけどここは甘やかしちゃダメだ。


「狩りは我ら狩人の仕事だ。アリサのすることではない」


「何それーっ!ギャンだってアリサが強いって知ってるでしょっ?村じゃアリサが絶対的に圧倒的なのにっ!!」


 するとアリサはますます怒り出した。

 子猫みたいな仕草で余計に愛らしい。

 だけどかわいい見た目に反して、アリサは村で自分の次に強い。

 とはいえそういう問題ではない。


「もちろんアリサが強いのは分かってる。でもアリサは特別なんだ。危ないことはさせられない」


 たしなめるように言うと、アリサは急に機嫌を直した。

 パッと笑顔を輝かせると、ますます強く抱きしめてくる。


「ギャン!ギャンっ!アリサって特別?アリサのこと大事?」


「もちろん、アリサは村の特別だ。みんな、、、」


「違うよっ!ギャンはどうなの?ギャンもアリサが特別?」


 しつこいくらいに問いつめてくるアリサ。

 耳をピクピクと揺らし、潤んだ瞳で見上げながら。

 こうハッキリと聞かれると、正直に答えないわけにはいかない。


「あ、あぁ、アリサは特別だ、、、」


「ふふーんっ!!そうなんだーっ!アリサはギャンの特別ーっ」


 アリサはしっぽをブンブンっと振り回し、全身をスリスリとなすりつけてくる。


「もーうっ、ギャンったら本当に徹底的に情熱的なのねぇーっ。それじゃあさぁ、ギャぁンっ、、」


 甘ったるい視線で見上げてくるアリサ。

 次に何を言おうとしているのかは、聞かなくてもわかる。

 いつものセリフだから。

 まともに相手にすることじゃない。

 だから、、、


「今からアリサと徹底的にこう」

「帰るぞっ!!!」

「びっ、、、」


 怒鳴るようにしてアリサの言葉を遮る。

 最後まで言わせない。

 勢いを削がれたアリサは、不満そうに口をとがらせる。

 そんなアリサを引き剥がすと、そのままさっさと村へと歩き出す。


「もーうっ、ギャンのイジワルーっ」


 アリサは文句を言いながらも、後ろからピョコピョコ付いてきた。

 本当に騒々しい。

 だけど、やっぱりアリサはかわいい。

 そんなことを考えながら歩いていると、、、


「あっ、そうだ、ギャン!長老が急ぎの話があるって、、、」

「それを早く言えっ!!」


 全くアリサは困った子だ。


新作『生首だけでコンニチハ』始めました記念で更新です。

https://ncode.syosetu.com/n4614in/


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