連絡先
「光陽く〜〜ンッ!!だ、だれか!!・・・・・」
窓ガラスの外では、月美が叫んで光陽を呼んでいたが中からの反応はなかった。
「くぅ〜ンッ…」
「ダメみたいだね…あきらめようか…」
……
『ガサガサッ!』
なに?
植木の葉の音に気づいた月美が振り返ると
蝶ネクタイをした金髪のウェイターが立っていた。
「光陽くん?」
「月美?」
ふたりはしばらくその場に立ちすくみ、お互いをじっと見つめ合っていた。
『サワサワ サワサワ』
すると、爽やかな風がふたりの間をすり抜けて、月美の長い髪をなびかせた。
その髪が、まるすけの鼻のてっぺんをくすぐると
「ワンッ!ワンッ!くぅ〜ん」
ハッ!…ふたりは同時に喋りだす。
「あさひくんが!、あさひくんが大変なの!」
「なんでここに?ってゆ〜か、おまえ…
つきみ?」
「……」
私は泣きながらうなずいた。
「あーちゃんが?…どうしたって?」
「いないの」
「いない?」
「待ち合わせしていたのに…
公園じゅう探してもいないし…
私が少し遅れてしまったから・・・・
また・・・イジメとかされているのかもしれないと思って…どうしよう!」
光陽くんは私の頭に手をおいて、軽くポンポンとしながら
「なんだ…ビックリした…
たぶん…
寝てるんじゃないかな」
「え?」
「あーちゃん昨日 ・・・
つきみとまた遊ぶんだって、すっげー喜んでてさ、 うれしさのあまりほとんど寝てなかったみたいで、今朝も寝坊したんだぜ…」
「…ねぼお?」
「ああ…」
「でも、わからないよ!・・もしものことがあったら!」
「…ふっ…
そんなに心配なら、家に行って見てこいよ…携帯持ってる?」
「うん…」
「貸して」
スマホを出して光陽くんに渡した。
「パスコードは?」
「…3・7・8・5…」
光陽くんは私のスマホを手にすると、手際よく操作していた。
「ほら、あとは、ナビで行けるだろ?
オレはまだバイトのこってるからさ…
アッ…こいつがマロンすけ?、よろしくな!」
「ワン!」
「じゃあな!」
光陽くんはまるすけの頭を撫でると、また、店の中へと戻って行った。
心配なら、見てこいよって言われても…
私はスマホの画面を見ながら
お父さんと、お母さんと、その下に…
大地 光陽 の名、 新しい連絡先が…
追加された。
SUNSHINE –––
「大地くん?」
「店長! すみませんでした、ご迷惑をお掛けしまして…」
「ふ〜ん、さっきの子…もしかしたらあなたの彼女?」
「いぇ…ち、違います、ただの同級生です、たいしたことじゃないのに、大騒ぎして…」
「まっいっか、さあ早く戻って、お客様がお待ちしてるわ」
「はい!」
「いらっしゃいませ…」
あいつ…
学校にいる時と別人みたいだ、結んでいた髪が、あんなにも長かったとは、おまけにメガネもしてなくて、最初見た時誰だろうと思った。
おとなしい子だと思ってたのに、あーちゃんのことで夢中になって、人目も気にしないで大騒ぎして
ふッ…




