結集
<アイリスの秘密基地にて>
ぼくたち十番隊とシオンとキキョウはアイリスの手伝いに来た。約束通りみんなを集めて、ぼくはアイリスの前に立った。
「約束、守りましたよ。アイリス」
ぼくは言う。『皆を集める』、それがアイリスとの約束だった。
「アイリス……久しぶり」「久しぶりー、あはは……」
と、気まずそうに言ったのはルーナとヘレーラだった。まぁ、昔アイリスの挑戦を手伝っていた側としては雰囲気的に気まずいのだろう。
「うん! みんな久しぶり!」アイリスはニコリと笑顔を見せた。
ルーナにヘレーラ、それから他の女性陣はまだ気まずそうにしている。
すると、
「なんだなんだ? おれたちは葬式にでも来たのか? 久しぶりだな、アイリス。あの時はすまなかったな! でも今回のおれはお前のように諦めたりしねぇから安心しろ」
アーサーは言うと、持っていた袋から農作業の道具を取り出して、みんなに配り始めた。
「あ、懐かしい」「あー、これわたしが昔使ってた移植ベラだ!」「もう捨てちゃったと思ってたらアーサーが持ってたんだ」「アーサー、お前農機具好きなの? もしかして農機具フェチなの? みんなの農機具取って置くなんてヘンタイだろ」「ヘンタイじゃねぇよ! もしかしたらまた集まるかもしれないから仕舞っておいたんだよ」
「アーサー、ありがとう」とアイリス。
「別にいいよ」
「ツンデレか? アーサーお前キモいぞ」
「あ? やんのかコラ!」
『あはははは!』
よかった、みんな嬉しそうだ。
「さて、十番隊長殿。あんたのおかげでみんな集まったわけだが、おれたちは何をすればよろしいので?」
と、アーサーに訊かれてぼくは困った。何をすればいいのか? 彼ら彼女らを集めたが何をやらせればいいんだ?
困ったぼくはアイリスの方を見た。
「昔と同じく、畑に苗を植えるってわけにもいかないから、みんなで種蒔きをするんだよ」
「ポットに蒔くの?」とヘレーラ。
「ポットにも畑にも種を蒔くの。たくさんたくさん蒔くの」
「ならこの人数が適当だろうな」とジュノ。
総勢十二人。皆でやれば負担は軽減される。
復興の時代でやっとチーム一丸となれる日が来た。
「そんじゃま、さっそく種蒔きといきますか」
「賭けに負けちまったからやるしかねぇか」
「賭け? 何を賭けたのかしら?」
「アーサーとジュノは隊長と賭けをしたんだよ。ヲウス討伐で誰も死なせない完全勝利っていう賭け」とヘレーラ。
「完全勝利、まさに願いが叶ったわけですね」とキキョウ。
「ありがとう、十番隊長さん」とアイリス。
ぼくだけでは完全勝利できなかった。皆が協力したから完全勝利できたんだ。
「約束でしたから」
ぼくは微笑んだ。約束、ただそれだけの理由でもぼくは裏切ることはできない。
「ま、久しぶりに一族が集まったんだ、宴会も兼ねて農業ってのをやってみようじゃねぇか」
「ぼくは……今度は途中で投げ出さないようにする」
「わたしは、進展のないツラさを味わっても諦めないようにする」
「それそれ、わたしも諦めない!」
「アイリスの力になれるように努力するわ」
「来れる時はなるべく来るようにします」
と、それぞれ忙しいなか目標を掲げていった。
照らし合い、支え合う。これが日人のあり方だ。酷い時代に生まれ落ちようとも、皆が照らし合い支え合えばいつの日か復興できる。ぼくはそう信じている。
</アイリスの秘密基地にて>




