第四話
翌朝――。
小夜は目覚ましが鳴る前に目が覚めた。
昨日の出来事......。
小夜は思わず頬をつねる。
「......痛ひ......夢じゃなかった......ハァ。大変なことになったなぁ......さて、と。今日は学校だから参道の掃き掃除をパパッと終わらせて......」
「おはよう」
「ん。おはよう。......? おは、よう?」
小夜は聞こえないはずの声を聞き取り、思わず聞き返してしまった。
辺りを見渡すと、ベッドの縁に腕をついた、白と茶の混ざった髪のうさ耳少年を見つける。
「だ、だ、だ、誰ぇええええ!! 白妙様!! 白妙様、起きてぇ!!」
「?! 何事だ?!」
部屋の隅で胡坐をかきながら眠っていた白妙が、勢いよく顔を上げる。
――神様を差し置いてベッドで寝るなどと......と昨夜、白妙は小言を言っていた。
いや、今はそれより......。
「!! 小夜!! 僕が見えるのだな!!」
「白妙様ぁ! 謎のうさ耳美少年が居るよう......」
「嬉しいなぁ!! やっと僕のことが見えるようになったのだな!!」
そういうと、うさ耳少年は泣きながら小夜に抱き着いてきた。
小夜が目を回していると、白妙がうさ耳少年を引っぺがした。
「貴様!! なにをする!! せっかく小夜が霊感に目覚めて僕の姿が見えるようになったというのに......!!」
「その霊感を目覚めさせたの我のお陰ぞ?」
「れ、霊感?! 私霊感目覚めちゃったの?!」
白妙はうさ耳少年をジッと見ると――。
「そなた、"守護霊"か?」
「そ、そうだ!! 僕は小夜の守護霊なんだぞ!! 僕は死んでから、ずっと小夜を見守っていたのだからな!!」
「......死んでから? ずっと?」
(それって新手のストーカー?)
なんて観点違いのことを思っていると、うさ耳少年は白妙の手から抜け出した。
「小夜!! 僕だよ僕!! うーちゃんだよ!! 今は守護霊として"兎月"と名前を貰ったけど」
「"うーちゃん"?!」
「!! そうだよ!! やっと見つけてもらえた......!!」
兎月は思わず小夜に飛びつこうとしたが、白妙によって阻止された。
そんな騒ぎに朝の勤めを終えた父、権蔵が小夜の部屋へとやって来た。
「小夜!! 朝っぱらから何を騒いでいるんだ!! まったく。どうしてこんなに母さんに似ずに育ったのやら......って、兎月と......誰だ? その美青年は? 朝から輝いて......」
「あ、お父さん。紹介するね。こちら我が神楽坂神社の神様の――白妙様、です」
「......は? 白妙、様?」
「そう。白蛇神様の」
「は、はぁああ?!」
権蔵は思わず腰を抜かした。
――そしてもう一つ。
「こっちは守護霊のうーちゃん!!」
「う、うーちゃんって......お前、兎月が見えるようになったのか?!」
「え? うん。あれ? もしかしてなんだけど......見えてなかったの私だけ?」
「......透も見えてたぞ。......あいつは弱いながらも上位の神、守護霊が見える程の霊感があるからな」
「え、え、えええええ?!」
小夜は頭を抱えた。
「私だけ見えてなかったのぉ?!」
白妙も、兎月も、権蔵も――。
小夜を見つめる。
そして小夜以外の三人が心の中で同じことを思った。
(朝から元気だなぁ)




