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白蛇神様の運命の恋  作者: 朱音小夏


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第十七話

 朝早くからの境内での掃除を軽く済ませる。

 今朝は兎月が手伝ってくれたおかげで、いつもより早く終わらせることが出来た。

 なお、白妙はいつも通り見ているだけだ。

 小夜は箒を片付けると、拝殿へ向かい、お参りをする。


「わざわざ拝殿でせんでもここにおるではないか、神が」

「......白妙様のその自信、どこから来るんですか?」

「自信も何も事実だからな。それより腹が減ったぞ」

「......夜通し飲んでたくせに」


 小夜はボソッと呟いたが、白妙は地獄耳のようで、そこからお小言が始まった。

 ......もうこの流れは何度目になるだろうか。

 慣れてしまって、小夜は諦めの境地である。


「......白妙様。お小言はいい加減にしないと朝ご飯の時間が遅くなるだけですよ?」

「む......仕方がない。それでは家に戻るぞ」

「ハイハイ。......食いしん坊」

「何か言ったか?」

「いいえ! それより着替えなきゃいけないので先に居間に行っていてくださいな」


 小夜は白妙と兎月と別れて、自室へと入っていった。

 部屋着へと着替えてキッチンへと向かう。

 そして、朝食の支度を始める。

 すると珍しく白妙がキッチンまでやって来た。


「うむ。やはりそなたの飯はいい匂いがするな」

「もう。何度いうんですか?それ」

「それだけではないぞ?巫女装束も似合ってはいるが、普段着ているものの方が年相応でいい」

「......白妙様、酔いが残ってます?いつもならそんなこと言わないのに」


(なんだか言っているのが変態オヤジ臭い......)


「小夜。失礼なことを考えてはいないか?」

「い、いえー? そんなことはありません!」

「小夜! ご飯ご飯!!」

「はいはい! 今行くよー! ほら、白妙様も手伝って!!」

「......そなたくらいだぞ? 神を顎で使うのは」


 その白妙の言葉を聞き、小夜はハッと何かを閃いたかのように目を輝かせた。

 その目の輝きに、白妙は若干嫌な予感を覚え、身構える。


「白妙様! 人間になる事は可能でしょうか?!」

「......一体急になんなんだ......」

「今日は土曜で休日! 参拝客は多い! よって、白妙様にも働いていただきます!!」


 小夜は「名案!!」といわんばかりに無い胸を張りながら白妙に言った。


「我はいるだけで大丈夫だぞ」

「ふっふっふ......。働かざる者食うべからず、ですよ? 白妙様......!!」

「......クッ!! 仕方あるまい......。飯のためならば......!!」


 白妙はそう言うと、目を閉じ、神経を集中させる。

 すると、みるみるうちに白妙の体は淡い光に包まれた。

 小夜はその眩しさに目を細める。

 やがて、その光が収まると――。

 白銀の長い髪は、艶やかな黒髪へ。

 そして、白妙はゆっくりと瞳を開く。

 赤かった瞳もまた、墨のような黒へと染まっていた。


「この姿であれば、良いか?」

「......」


 小夜はしばらく、ぽかんと白妙を見つめる。


「......白妙様が黒くなった......?」

「そなたのお言う通り人間に化けてやったのだ。感謝しろ」

「......ありがたやぁ」


 こうして――。


「ドキドキ! 白妙の神社で働こう!」


 白妙の、人間としての神社勤務が始まったのであった。


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