第十四話
小夜は食後の片づけを終えると、兎月を連れ脱衣所へと赴いた。
「うーちゃん、服脱げる?」
「うん! 大丈夫だぞ!!」
小夜と兎月は服を脱ぎ、浴室へと入っていく。
まずは浴槽に浸かる前に体を清める。
「うーちゃん、頭洗ってあげる」
「わぁい! 小夜が洗ってくれるのか?!」
「もちろん! 目に泡が入ったら大変だから目を瞑ってね?」
小夜がそういうと兎月はいわれた通り、目を瞑る。
生前、ただのうさぎだった頃はよく小夜が体を洗ってくれていた。
それを思い出すと、兎月は懐かしい気持ちになって、心をほわほわさせていた。
「痒いところはありませんかー?」
「んーん! 気持ちいいぞ!!」
「それはよかった」
兎月の頭を洗いながら、小夜も子供の頃を思い出し笑みを零した。
そんな小夜に兎月は不思議に思い目を向ける。
「? 小夜?」
「あぁ、ごめんごめん!なんだか懐かしくなっちゃって」
「?」
「うーちゃんが生きてた頃もこうしてお風呂に入れてあげてたなぁって思って」
「僕も同じことを思ったぞ!!」
二人は顔を見合わせながら笑った。
兎月はの頭と体を洗い終えると、今度は小夜の番である。
「うーちゃん、先に湯船に入ってて?」
「僕も小夜の頭洗ってあげたい!!」
「えー?じゃあお願いしようかな?」
「!! 任せろ!!」
兎月はたどたどしい動きで小夜の頭を洗い始めた。
小夜はその動作にくすぐったさを感じて思わず笑い声を零す。
「ふふっ。くすぐったい」
「ご、ごめんよ!!」
「大丈夫よー。優しい手つきで眠くなっちゃう」
小夜は目を瞑りながら兎月の手に身を委ねた。
兎月が小夜の頭の泡をシャワーで流すと、先に兎月に湯船に入ってもらい、小夜も体を清めた。
「小夜! 早く早く!!」
「もう洗い終わるからね」
シャワーを浴び終えると、体にタオルを巻き、小夜も湯船に浸かった。
「ハァー......生き返りますなぁ......」
「そうですなぁ......」
二人は小夜が兎月を抱きしめるような形とる。
――兎月の顔がみるみるうちに赤くなるが、小夜はそれを見て湯あたりでもしちゃったかな?と的外れの感想を抱いた。
「うーちゃん、顔が赤いよ? なれないお風呂で湯あたりしちゃった?」
「!! だ、大丈夫だ!!」
「そう? ならいいんだけど......」
小夜には、兎月が何故そこまで慌てているのかわからなかった。
ただ――。
昔とはどこか違うような気がする。
「......小夜」
「ん?」
「僕がずっと守るから」
「ふふっ。ありがとう、うーちゃん」
小夜は笑って、兎月の頭を撫でる。
その瞬間、兎月が少しだけ寂しそうな顔をしたことに、小夜は気がつかなかった。




