第十一話
小夜達は、新たに仲間に加わった小判を連れ帰路へと着いた。
小判は貧丸が透から引き離されたことにより、今まで離れていた期間を埋めるかのように透にベッタリとしている。
「小判姉お姉様、本当に猫みたいですね」
「んー? どうして?」
小夜の指摘に、小判は首を傾げる。
「だって、今まで姿も見せなかったのに、今じゃ透にベッタリじゃないですか」
「......猫は気ままな生き物だからね。また離れたくなったら離れるわよ?」
「オレの守護霊じゃないんですか?!」
透は思わずツッコミを入れる。
せっかく貧乏神が離れたというのに守護霊まで自分から離れると宣言しているのだから。
「ふふっ。冗談よ」
「......冗談に聞こえないんですけど」
そんな二人のやり取りを横目に、白妙がふと足を止める。
「......ところで、なんだか腹の虫が鳴っているのだが」
「え? 神様って何も食べなくてもよかったんじゃないんですか?」
「そのはずなのだが......」
ぐ~~。
「......」
「......」
「......白妙様って人間だったらきっと食いしん坊なんでしょうね」
「小夜。そなた、我をバカにしておるのか?」
「いえ。ふふ。可愛らしいなとギャップ萌えです」
白妙は小夜の言葉に思わず頬を赤く染める。
しかし、そこに兎月までもが「腹減った」といい始めたのだ。
今までにない感覚に白妙と兎月は「一体何なんだ」と混乱する。
「へー。神様と守護霊でも腹が減ることがあるんだぁ?」
「いや......そんなことは......」
「おいら、たまにお供え物食べてるけど、腹が減るって感覚は知らないなぁ」
「アタシなんて何も食べてないわよ?」
貧丸と小判の言葉になおのこと謎が深まるばかりだ。
「何か変わったことでもしましたか?」
「......小夜の作った飯を食べたな」
「僕も僕も!!」
「へ、私、ですか?」
突然名前を出され、小夜は目を丸くする。
「でも、私の料理を食べたのは今日が初めてですよね?」
「だからこそ、だ」
「どういうことですか?」
白妙は原因を探るように、小夜の頭に手をかざした。
すると――。
「......」
白妙の表情が変わった。
「白妙様?」
「......小夜。そなたの中に眠っていた霊力が我と出会ったことにより開花したようだ」
「......と、言いますと?」
「一例をあげるとすると、今の我と兎月のようにそなたの作った物が、神や霊に様々な影響を与える」
「様々とは?」
「それは......様々だ」
「ぷぷっ。分からないんですね?」
「さーよー!!」
白妙は小夜の頭をぐりぐりと押し撫でる。
小夜の髪はぐしゃぐしゃだ。
「白妙様!! 申し訳ございません!! どうかお許しを!! 乙女の髪をぐしゃぐしゃにするのはよしてくださいぃ!!」
「何が乙女だ!! そもそも、そなたは神に対する態度がなっていないのだ!!」
「まるで、夫婦漫才でも見ている気分だわ」
「小判お姉様!! 火に油を注がないでください!!」
小判は早速新しいおもちゃで遊んでみせた。
――この二人、楽しすぎるわね。
しばらく退屈せずに済みそうだわ。




