第十話
小夜達は休み時間になる度に、校舎中を歩き回った。
しかし、運命の相手らしき人物は見つからない。
やがて放課後になり、小夜達は人気のない屋上で集会のような集まりをしていた。
小夜は気づいた。
人数が一人多いことに。
「な、な、な、何しれっと入り込んでるんですか!! 誰ですか、あなた!!」
「あらー? 久しぶりに人間に見つかったわぁ」
その人物は、小夜が羨むほどのグラマラスな身体つきで、頭には可愛らしい猫耳が。
「......そなた、もしや神楽坂神社にもいたか?」
「え? 白妙様、お知合いで?」
「違う。こやつの気配を感じたことが何度かあるのだ」
「なるほど......。てことは、人間では、ない?」
「......そなた、何者だ?」
白妙は謎のグラマラス美女を目を細めながら見つめる。
グラマラス美女はケラケラと笑いながら、透に抱き着いた。
「な、なんですか?! なんでオレ?!」
「アタシは、この子の守護霊よ。しゅ・ご・れ・い♡」
「......の割にはずっと傍にいなかったようだが?」
「アタシは猫だからねぇ。猫は気ままな生き物なのよ。......まぁ、目を離した隙に貧乏神に憑りつかれて近づけなくなったけれど」
「ひぇえ! おいらを睨まないでおくれよ!!」
グラマラス美女は貧丸をジトーっと睨みつけながら、「シャー」っと威嚇をした。
そんなやり取りを見て、小夜はあることに気づいた。
――名前を聞いていない。
「あのぉー、ところでお姉様のお名前は何と?」
「ん? なぁに、このちんちくりんな子は」
「ち、ちんちくりん?! 失礼な!!」
「だって、貧相な身体つきだし......、今まで神社に居たのにも気がつかなかったみたいだし?」
「ぐっ......」
小夜は何も言い返すことが出来なかった。
たしかに、白妙に出会うまでは神社の娘にも関わらず、霊感が全くなかった。
そのため、白妙が言うまで彼女の存在に気がつかなかったのだ。
「まぁ、いいわ? アタシの名前は"小判"。小判お姉様とお呼び」
「......小判お姉様」
「うふふ。素直な子はだぁい好きよ♡」
小判はそういうと、小夜をギュッと抱きしめた。
――小夜はというと。
「くっ!! この柔らかい感触が羨ましい!! 小判お姉様!! どうしたら私もグラマラスになれますか?!」
「こればっかりは遺伝だから♡でもそうね......。好きな人にたくさん触ってもらいなさい? それだけでもだいぶ違うと思うわよ?」
「......好きな人」
小夜はそう呟くと自身の小指を見つめ、そして遠い目をした。
――私の運命の人。
「......小夜? どうかしたのか?」
「い、いえ! 何でもありません!! 白妙様の運命の人も探すけれどわたくしめの運命の人も探してほしいでございます!!」
「......気が向いたらな」
誤魔化すような小夜の態度。
そして煮え切らない白妙の返事。
「......」
そんな二人を小判はジッと見つめていた。
やがて――。
「ふふっ」
面白い。
とても面白い。
まるで――。
自分の大好きなおもちゃを見つけた猫のように。
小判は、楽しそうに笑った。




