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小学校の男子トイレ事情

その事件は小学5年の時。

2時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った後だった。

男子トイレは急速に飽和した。

むっと立ち上るアンモニアの熱気と、タイルの音。

一番奥にある和式個室の扉へと手をかけた。

その時。

挿絵(By みてみん)

【乃雅小学校トイレ】

扉のノブが指先に触れた瞬間、背後から服の袖を強く掴まれた。


抵抗の余地はなかった。

身体が宙に浮き、次の瞬間には冷酷な硬さを持つタイルの床へと叩きつけられていた。

鈍灰色の床面は、長年の汚れと不完全な清掃によって油膜のような光沢を放ち、

剥き出しの天井蛍光灯の青白い光を濁らせて跳ね返している。


「おい、乃雅。

 なんでいつも個室んだよ」

 見下ろす同級生たちの目が、獣のような好奇にぎらついていた。

「確認させてもらうぜ!」


複数の腕が、乃雅の肩と手首をタイルの床へ圧着させた。

背骨が直に硬い床と衝突し、逃げ場のない鈍い痛みが走る。

同時に、ズボンとパンツが、容赦のない力で膝下まで引き下ろされた。


「はっ……! あっ、やめて……そこは……!」


懇願は、閉鎖空間の残響にかき消された。


下半身を包んでいた生温かい空気の層が、一瞬にして剥ぎ取られた。

トイレの冷気と、同級生たちの値踏みするような視線が、

剥き出しになった『空白』に容赦なく突き刺さる。


固く目を閉じた


だが、押し寄せるはずの嘲笑の代わりに、

頭上から降ってきたのは、

拍子抜けしたような短い沈黙だった。


「……なんだよ、普通にあるじゃん」


手首をへし折らんばかりに固定していた腕の力が、ふっと緩んだ。


「ちぇ、なんだよ。

 いつも個室にこもるから、

 てっきり女の子みたいに割れてんのかと思ったぜ」

「気のせいかよ、つまんねえの」

にやにやして

「廻旋塔やりにいこうぜ」

しかし完全に興味を失った少年たちの足音が、遠ざかっていく。


乃雅は恐る恐る目を開け、自分の『空白』へと視線を落とした。


そこに鎮座していたのは、

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