馬サイド
ワシは馬場照馬44歳
週1回の女の子のお店と毎日のうどん、年3回しか行けないアニフェスが楽しみだ。
そして今日は週末、待ちに待った日だ!!
朝も昼もうどんを食べて気合いも入れた。
友のりっきーと共に夜の街に繰り出す。
何と、今日は体験入店の娘が居た。
ツイてる!指名も取れた。
体験入店の、初々しい娘を引き当てるために生きてると言っても過言では無い。
お店に入って直ぐにシャワーも浴びた。
早速プレイスタート!と思ったら口だけで果ててしまった…
悔しいが、お金も払ってるし、まだ時間もある。
もう1回チャレンジだ!
ビィィィィィィィィィ
けたたましい音が鳴り響く。
部屋の外からドタバタと激しい足音や叫び声も聞こえてきた。
だが構わぬ、ワシはこの娘と楽しむまでここを離れる訳にはいかないのだ。
「私、外の様子見てきますね、少し待っていてください」
と言って、女の子が服を着て部屋の外に出ていく。
…永遠と思えるほどの時を待った。
時計の針は5分しか進んでいないが…。
女の子はまだ帰って来ない。
2時間しか時間が無いのに何をやっているんだ。
と思い仕方ないので、ワシも服を着て外の様子を見る為に急いで服を着る。着替えが終わって振り返るとドアが燃えていた。
どうやら先程のサイレンは火災報知器だったようだ。
ドアを蹴破り外に出る。
廊下は激しい炎と真っ黒な煙でどちらに向かえば良いのかも不明な状態。
だが、ワシはこの店に毎週通っている。
例え停電であろうと普通に歩き回れる。
念の為、服を着たままシャワーを浴び、全身を濡らしてから走った。
あとこの階段を過ぎて角を曲がれば出口、という所で、上の階に案内されていた客が必死の形相で飛び出してきた。
りっきーだった。
「馬場さん!?まだ逃げてなかったんですか?」
「うむ、女の子を待っていたら逃げ遅れてしまった、りっきーもか?」
りっきーがこちらに気付き、走りながら声をかけてきたので答える。
「僕はエレベーターが止まっていたからです」
2人で浮かれていた中の不運の火災、水浴びはしたが布を口に当てるのも忘れ、走りながら会話、そこでワシの意識は途切れた。
目が覚めると…なんか視野が広い。
病室…ではない。
凄まじく巨大な木、青い空が目を引く。
「ヒヒン」
どこだ?と言おうと思ったら上手く声が出ず、どこからかヒヒンと馬のような鳴き声が聞こえた。
もう一度。
「ヒヒン」
火事の後遺症だろうか?声が出せない。
それにしてもどこの田舎の病院だ?
恐らく、暫く意識の無かった患者のワシを外に出し牧場にでも連れてきたんだろう。
目の前には馬のケツが見える。
患者のワシを放置して、看護師は何をやっているんだか見当たらない。
ロクな病院では無いようだ。
…暫く待ったが誰も来なかった。
このまま待っていても仕方がない、と歩き出す。
パカラッ…パカラッ
歩く感覚がおかしい。
それに歩く度に、蹄の様な音が聞こえてくる。
まさか馬が着いてきているのか?
首だけ横に動かし後ろを見る。
何も居なかったが、視界の端に馬の背中が写った。
…待て待て、落ち着くんだワシ。
向き直り、目を閉じて深呼吸。
目を開け再び後ろを見る。
…先程と変わらぬ風景が広がる。
考えられない事が起きている?
いやいやいやいや、そんなはずは無い。
夢でも見ているんだろう。
もう一度だ。
再び向き直り、目を閉じて深呼吸。
先程同様振り返る。
巨大な馬が背後に立っていた。
「息子よ、何をしているのだ?」
ちょっと待て!
馬が喋ったぞ?!
あぁなるほど、これ夢だな、きっと病院で寝てて夢を見ているんだ、そうに違いない。
そぅでなければ、ワシが馬になったとか漫画や小説みたいなアホな話になる。
頬をつねりたくてもつねる指も無いではないか。
それに良く見れば足元にこれは…ペンギン?みたいな物も落ちてるし。
そのまま自由気ままに夢の中を生きていて、判明したのだが、あのペンギンはりっきーだった。
ほら、言ったであろう?これは夢なのだ。
凄まじく長く感じるがまぁ夢だからな、時間感覚なんて曖昧な物よ。
夢の中での体感時間はもぅ何日なのか、何年なのかはわからない。
ただこの夢は凄かった。
なんと快楽がある!夢なのに。
ワシが気が付いた場所は、神木の里と言う場所と呼ばれる場所らしく大きな木が生えている。
その木の周りには、盗賊から奪った財宝や遠くの国からの捧げ物?やらがばらまかれている。
夢じゃなければ、こんな野ざらしで、盗まれないわけもあるまい。
夢ではあるがやはり対象となるのは、人間の女だったのには驚いた。
人間の女を初めて見つけた時は興奮が抑えられなかった程に猛ってしまった。
途中男に邪魔をされて殺してしまったがそんな事は些細な事だ、どうでも良い。
ただ問題は、興奮したのに疼くのは下半身ではなく、頭の角だった事、頭の角を男の子供に刺してしまった事だろうか。
父馬には、母体は年に1人まで、男に刺してはならぬ掟だ!と言われていたのだが。
興奮してて4人も刺してしまった、(´>∀<`)ゝ。
これは夢であるからして登場人物の行動は読める?いや無意識に調節ワシが調節しているのか?
だが1人だけ、何故か行動が読めない男の子に刺してしまってから我に返った。
父に怒られる…と震えた、夢の中の父は怖かった…。
紐で木に縛られたがこんなものはあって無いような物だ、ただ泣きながら殴ってくる子供にはまいった。
めんどくさい。
夢だから痛みもない、ただただ殴られてやっていると、そこへ行動の読めない方の男の子がきた。
会話の流れで1発殴らせる事にしたのだが、なかなかに良い動きをする少年だった。
踏み込みの瞬間は見失うほど、パンチもかなり強そうだ。
だがやはり痛みがないので思いっ切り馬鹿にしてみた。馬だけに!
すると突然痛みがはしった。
んっ?夢、夢何回言うんだって?
ふっ…ワシは認めぬ!認めぬ限りこれは夢なのだよ…
だが、微弱ではあるが現実を突きつけるようなこの痛み…。
いやっ違うから!そんなわけないからっ!
これが現実なんてある訳ないからね!?
転生したら馬でしたとか絶対認めないからね!?
冗談も大概にしないと困るよ君…
……わかってるのだ…これが現実だなんて事…認めたくなかったのだ…。
だがもう仕方ない、痛みがあった、行動が読めず、ワシに痛みを与える事の出来る存在が現れた、
動きは速く力もある。
だがほぼ痛みがない。
となるとまず間違いなく、手加減されている。
怒りを買う前に媚びを売って許してもらおう。
ワシの育てたキャロッツォに加え、芋の様な根菜、玉ねぎの様な物もあげる事にした。
兎の様な動物の肉も用意したし次いでに魚まであげた。
ワシ偉い!。
これでカレーでも作って食べるだろう。
ワシだってカレーの材料位わかるのだ。
だがやはり男より、我が子を身ごもっている母体が優先だ。当たり前である!ヒヒン!!
男の子様に取った食べ物を、近くに居た幼女にあげたのは誤算であったが、まぁ良かろう。
食べ物もあげたしこれでワシは許された。
父には後日、誤魔化して説明して、あまり怒られ無いようにしよう。
なんて思って居たら里に少年が来るわ、嘘がバレるわ散々であった。
誤魔化したせいで余計に怒られるのは世の常よな…。
でもマンドラゴラとか名付けとかほんとにワシ知らんし。
少年が居なくなってからも、父はずっと怒っている。明日は、泉に隠れているりっきーと愚痴り大会にしようと決めて今晩はふて寝するのである。
私は田舎カレーが好きです。




