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111Labirinto  作者: 白米
第一章 喪失者
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028 儀式の成功例

 修行生活三日目。

 家が改築されていた。

 ベットが葉っぱから文化的な物へとジョブチェンジしていたのと、掘立小屋からログハウスへジョブチェンジしていたのと。

 Cモンキーマジ凄い。

 一日でここまでやるか。


 後、朝起きたらCモンキーの数が五〇匹を突破していた。

 家の中には俺とドミニカしかいないのだが、Cモンキー達は一体どこで休息を取っているのだろう。


 閑話休題。


 今日も魔方陣の中で素振りを始める。

 まだ三日目だというのに、Cモンキー達の協力で成果も大きい。

 Cモンキー達が一刀流の型は教えつくしてしまったと若干落ち込んでしまった。

 どうやら俺は飲み込みが早いらしいことはその様子から読み取れる。


 そんな訳で、二刀流に移行します。

 何事も挑戦とよく言う訳で、そんなことを口にした瞬間のCモンキー達のテンションは半端無かった。

 どんだけ世話焼くのが好きなのか。

 俺はそう思いつつも、ハデス・アイアンを片方三〇キロの双剣へと変形させる。

 分散させたせいか軽くなったように感じたため、それぞれに超高純度鉄を追加し、四〇キロにしてから特訓を開始する。


 二刀流の動きはなんというか、とても奇妙な動きだった。

 巨体のCモンキー達が扱うとは到底思えない精密さを追求された無駄がありそうでない動き。

 力強さとしなやかさを備えたそれは、否応無しに柔軟性を強要される戦い方で、筋力を鍛えるに伴い柔軟性を組み込む必要が出て来たのだった。


 最初は剣の重さで双剣本来の動きを引き出すことも出来なかった。

 そこで流用されるのが、Cモンキー直伝の重い物を少ない力で操る技能だった。

 取り敢えず言えるのは、一刀流の七倍位体を行使する戦い方だということだった。


 毎日ダンジョンへ潜り、運動していなければ全身筋肉痛で修行所じゃなかっただろう。





 修行三日目、成果。


 STR 7.49

 ノミ            以下。


 Cモンキーのやる気パーセンテージ。

 100%


 仲間になったCモンキー。

 30匹。

 累計67匹。






 修行四日目。

 なんかアホ毛が動くようになった。




 修行四日目、成果。


 STR 9.65

 ノミより一ミクロン上。だったら良いねクズ。


 本日のアホ毛。

 なんか周囲の生物の気配に反応した。

 感情の変動に伴いそれに合った動きを見せる。

 何故か二本目は絶対に立たない。


 仲間になったCモンキー。

 105匹。

 累計172匹。






 修行五日目。

 なにやら大所帯になってきているこの合宿、指導者が多すぎてドン引きである。

 一人の人間に対し、百匹以上のCモンキーが三六〇度全方向から観察、完璧主義者らしいCモンキー達より完璧から一ミリでもずれると指摘される。

 重い剣を振るう奴に求める次元の制度ではない。

 今なら重りを外せば飛べる気がする。


 ちなみにCモンキー達の助言から、重りを一つに付き一〇キロ増やした。

 本当に鬼畜。


 まあそれは置いておいても構わない事後報告で、今日はそれよりも重大なことが分かる日だ。

 何時ものように朝食を食べて修行、休憩に昼食を食べてからの修行中な今現在。


『後五分で完成する!』


『もうすぐ。いやはや楽しみ』


『楽しみ過ぎるとはコレ如何に』


『しかし人間にやって本当に大丈夫かね』


『うーん……多分大丈夫だろ』


『我らの仲間になったりしてな』


『はは、ないない』


『亜人なら分からんぞ』


『いや猿と人間足しても普通に人間だろう』


『盲点だった』


『人間の亜人……人間の上位種ということになるのでは?』


『おぉ! ハイエルフならぬハイヒューマンということか』


『ま、無いだろ』


『うん、無いな』


『学者がコレについて研究したが体を強靭化する以外の効果はない筈』


『あれ、全て解明したんだったか?』


『あぁ。実験しようのない人間がそれを行うっていうの以外は』


『今それが一番重要なのだが!?』


『久遠に何かあったらお前リンチにすんぞ!』


『お前もリンチにすんぞ!』


『そう言うお前もリンチにすんぞ!』


『そう言うお前もリンチにすんぞ!』


『そう言うお前もリンチにすんぞ!』


『そう言うお前もリンチにすんぞ!』


『そう言うお前もリンチにすんぞ!』


「普通に喧しいわ! 後五分で終わるってのに最後の最後で俺を不安にさせて楽しいか!」


『『『『『『ゴメン』』』』』』


『テメェらのせいで久遠の動きが〇.二ミリぶれたじゃねぇか! 邪魔すんな!』


『『『『『『ゴメン』』』』』』


 散々やらせといて今になって言い合うとか馬鹿かお前ら!

 例え儀式を完了させなくても十分過ぎる程成果を上げてはいるから中断しても良いんだぞ。

 別に中断しないけどな。

 Cモンキーになるかも? なった時はなった時で良いだろ。

 ハイヒューマン? ンなのいる訳無いだろ。

 リンチ? お前ら全滅する気か。


 ちなみに、Cモンキー達は俺が名乗ったその次の瞬間から俺の事を『人間』ではなく『久遠』と呼ぶようになった。

 ドミニカは何故か最初から『姐さん』と呼ばれてた。

 何故……?



 閑話休題。


 もうじき先程言った五分が経過しようとしている。

 Cモンキー達はカウントダウンを開始した。

 滅茶苦茶喧しい。


『一〇!』

『九!』

『八!』

『七!』

『六!』

『五!』

『四!』

『三!』

『二!』

『一!』

『発射!』


『誰だ今発射っつったの!』


 しまらねぇなオイ!

 だが、そんなずっこけてしまいそうな心境とは無関係に、足元の魔方陣が光り始める。

 元々青く光っていたそれは余りの眩しさに目を閉じざるを得ない状況を作り出す。


『今だ! 魔力込めまくれ!』


 えっ。


『おぉ!』


『えぇ!? そんなことしたら何起こるか分かんないよ!?』


 ちょ!?


『何時もより光が弱いんだから仕方ないだろ!』


 これでか!? 目も開けられないんだが!?


『やっぱ普通の方法じゃ人間には効かないか!』


『代々伝わってるだけあって無難な結果だよな、人間には効かないなんで』


『だから必要以上に魔力込めて強引に発動させんだろ! 気張れ!』


『本来十匹でやること百匹強でやんだからきっとできる!』


『あれ、二百匹超えなかったっけ?』


『そうだっけ』


「~~♪ ~~~~♪」


『言ってる場合か! 姐さんも応援してる! 行くぞ!』


 いやいやいやいや! 行くな止まれ!

 視界は真っ白だが、聴覚が必死に訴えかけるエマージェンシーに俺は心で訴える。

 無論それを言葉にするには時間が足りず、手遅れだった。


 Cモンキー総勢六百九十三匹(内四百匹余りは臨時要員)による魔力挿入により、光柱と化した魔方陣は天魔で届くのではないかという程の光を放つ。

 周囲に振り撒く光は消える直前置き土産が如く周囲に衝撃波を放った。


『うぉぉぉぉ! 姐さんを守れぇぇ!』


『この衝撃わァァァァァ! 成功の証だァァァァァァァ!』


『やべぇ! 周辺の木々が折れる! 儀式場でやんなきゃなんねーの忘れてた!』


『長老の説教が目に見えるッッ!』


『言ってる場合かぁぁ! 体重の軽い姐さんが吹っ飛ぶぞ!』


『姐さん風に舞いながらも唄ってんぞ!』


『姐さぁぁぁぁん! 歌ってる場合じゃねぇぇぇぇ!』


 光と衝撃波が完全に収まり、森の中に出来たクレーターの中心で俺は佇んでいた。

 双剣を地面へと落とし、手を握ったり開いたりしながらただ茫然と立ち尽くしているのだ。


 そして周囲から聞こえるCモンキー達の声に耳を傾けながら俺は実感していた。

 全く感じなくなった四肢に付けられた重りに気付いていた。



 俺は、強くなった。



「ハハッ、酷い惨状」


『呑気! 超呑気! 儀式後は今迄との圧倒的な高揚感から逆に落ち着くのが普通だったが、今この状況、落ち着いてなんていられねぇ!』


「まあ落ち着けよ」


『落ち着いてなんていられねっつってんだろぉぉぉ!』


『あ』


『どうした!?』


『衝撃に負けんとして姐さん逆方向へ投げちった』


『アホォォォ! おい久遠! 受け止めろ!』


 俺は実感として得られるほどの急激な成長に口端を吊り上げずにはいられなかった。

 何故か空から降って来たドミニカを俺は優しくキャッチすると、Cモンキー達の方へと歩き出す。

 状況判断が可能になった者から順に俺の方へと近寄ってきて祝いの言葉を洩らすCモンキー達。

 俺は、ニコリと笑って言う。



「修行、再開しよう」


『貪欲ッ! ここまで力に貪欲な人間を俺ぁ今迄見た事がねぇ!』


 いや、ちょっと手に入れた力(といっても筋力なのだけれど)が大きすぎる。

 逸早くその制御を身に付けないと俺人里に帰れねぇよ。


 その後俺は、Cモンキー達による更なる指導の下、力の制御を身に着けるべき精進するのだった。



 修行五日目、成果。


 STR 21.44

 おめでとう、ノミからミジンコへ昇華だ。


 久遠の疑問。

 なんか……筋肉が膨れ上がんないんだけど。


 仲間になったCモンキー。

 35匹。

 累計207匹。

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