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111Labirinto  作者: 白米
第一章 喪失者
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010 第一層の緑小人


 千壌土 久遠 19歳

 職業:勇者 Lv18



 モンスターハウスを出て、ゴブリンを狩ったことによって変動したであろう自分のレベルが気になって見れないか思考錯誤した結果、インテリジェンスカードと同様の情報を知覚することに成功した。

 後一レベル上げれば年齢に追いつく。

 年齢とレベルが並行するのが普通って訳じゃないだろうけど、何と無く越しておきたい。


 モンスターハウスで手に入れたマッピングツール。

 俺はそれを使って道を記しながらに奥へと進んでいく。

 実際の所は迷路と言って遜色ないダンジョン内に置いて奥へ進んでいるかどうかは定かじゃないが、一応は奥に進んでいると信じたい。


 後、モンスターハウス内に入って思ったのだがもしかして第一層はゴブリン以外存在しないのではなかろうか。

 俺が見たこと無いだけという線も捨てきれないが、罠として現れた魔物がゴブリンだけっていうのもおかしな話だ。

 ダンジョンに来て俺はまだ緑色の生物以外を目にした事が無い。

 進んでいる道がおかしいのか、人にすら会う事も無い。


 まさか第一層は誰もが突破可能で誰もここでの狩りをしないとか?

 その線は余り考えたくないな……だとすると俺はこの世界で最弱の存在になってしまうではないか。


 ……まあ流石にそんなことは無いと思うのだがな。

 現に、ここで殺されたからこそモンスターハウス突破の報酬たる宝箱があんなに充実していたのだろうし。


 そういえばオーディオプレイヤーなんてのがあったが、どうやら問題無く稼働するらしかった。

 コレはどうにも結構最近にあの宝箱へ収まったらしく、風化が無く傷も少ない。

 元々誰かの物であっただけに曲も入っている。


 ただ、この薄暗い中で聴覚を遮断するのは命取りになりかねないから試すのは部屋に帰ってからだ。

 聖剣アロンダイトがこの手にある以上、ゴブリン如きに遅れはとらないと思うが狩りにおいて念には念をいれておくに越した事は無い。



 ゴブリンLv14


 ゴブリンLv17



 マッピングしながらに歩いていたら、二匹ペアでいらっしゃった。

 やはりこの階にはゴブリンしかいないのか。


 そうなると少しでも早く上へ登りたい。

 一撃で倒せるのは良いが、狩っていてあまり良い気はしない。

 降りかかる火の粉を払っているだけなのに、虐殺している気分になるのだ。


 襲い掛かる二匹のゴブリンに対し、俺はその攻撃を避けながらに片方の脳天にアロンダイトを串刺して倒し、もう片方は続けて襲い来る前に首を撥ねる。


 これだけのことで簡単に費える命。

 生存競争に負けたのだと言えばそれまでだが、思考を持ってしまった人間からすればあまりいい気分では無い。



 それはそれとしてゴブリンは……というか魔物はどうにも生物っぽく無い感じがする。

 倒した時死体にならずガラスが砕けた様に散ることもそうだが、どうやら出血もしないらしい。

 これが、こんなのが本当に生物といえるのだろうか。


 まるでロープレに出て来る敵キャラのようだ。

 レベルを上げる為に何体狩ろうが幾らでも湧いて出る、いわばデータの様な。


 いやまあ知らないんだけどな。


 その後も第一層を周ったが、第二層へ続く階段が中々見つからない。

 ついでにいうなら、ゴブリンとも遭遇しないというただ歩き続けているだけの現状は、身体的にでなく精神的に疲労した。





 しかしそれも、終わった。

 ゴブリンにも遭遇出来ず、風景がほぼ全く変わらないダンジョン内を歩き続けて約二時間。

 漸く変化が訪れた。



「……門?」


 そこには大きな門があった。

 例にもよってモンスターハウスではないと願いたいが……というか変化がある度にモンスターハウスではたまったものではないが、兎にも角にもこれはそれと別の物であろうことが視覚的には見受けられる。

 この門の先に恐らく階段があって、第二層に行けるのだろう。


 そしてあるのは恐らく階段だけじゃない。

 階段だけならそもそも門はいらないだろうから。



「……さて、何が出るか」



 俺は大きな門へ手を掛け、勢いよく押して門を潜った。

 中は広く造られていた。如何にも敵さんを用意するんで殺し合って下さいと言わんばかりに広がった部屋を、突然灯に炎が灯り、部屋を明るくする。

 そしてそこには案の定、奴らがいた。



 ホブゴブリンLv20


 ホブゴブリンLv20


 キングゴブリンLv24



 ホブゴブリン達が家来のように左右で控え、中心のキングゴブリンは頭に王冠を乗せていた。

 全員血走った眼で此方を睨み付け、今にも襲い掛かってきそうな様子である。

 第一層で普通に出て来た魔物はゴブリンだけで、てっきりホブゴブリンが頂点かと思いきや、違った。

 しっかりと王の尚背負った奴が目の前に存在している。

 統治する国なぞ無いだろうに、ゴブリンの王は国も無く何を統べているというのだろう。


 閑話休題。


 こいつらはいうなればフロアボスといったところか。

 明るくなったことで部屋の中が良く見える。それ故にゴブリン達の居る所の更に奥に見える階段が上に続いていることは戦う前に知ることが出来た。


 こいつ等を倒せば俺は、先へ進めるのだ。


 俺はアロンダイトを構える。

 モンスターハウスでの調子を見る限り、ホブゴブリン達は軽く倒すことも出来るだろう。

 となれば問題は不確定要素たるキングゴブリンか。

 始めてみる魔物というだけでなく、今迄会った中で一番レベルの高い相手だが、アロンダイトによる攻撃を何回当てれば倒せるだろう。


 モンスターハウスで出会った奴とは違い、この場に居るホブゴブリン達は問答無用で襲い掛かって来た。

 俺はその巨体から繰り出される棍棒を、受け止めることなく横に逃げる。

 アロンダイトで受け止めたら相手の棍棒がスッパリ行きそうな感じはするが、ホブゴブリンの攻撃受け止めるとか結構な勇気がいる。


 別にわざわざ攻撃を受ける必要性も無いのだから、そんな勇気も要らないのだろうが。


 ……いや、マゾ野郎ならそんな勇気も必要か。

 それに俺の場合は今現在鎧も付けてないし受け身を取らない以上あの巨体の攻撃を喰らったら完全アウトだ。

 幸いにも動体視力が高いらしく棍棒は見えるし避けれない事も無い。

 ……体さえついてくれば振り下された棍棒の上にのることも叶うだろう。


 敵は三匹もいるが、どうやらコンビネーションとかそういう力を合わせたりする気は無いようで、うちはうちよそはよそを貫き通しているようだった。

 だとすれば結構簡単に決着はつく。


 一匹目の攻撃を避けてから一、二、三、四秒も遅れて別個体の攻撃が来て、俺はそれも避ける。

 そしてそのまま反撃へと移る。


 俺はホブゴブリンの懐へ入ると、精一杯の力でアロンダイトを振るい、腹に二撃当てて一度距離を置く。

 攻撃を貰ったホブゴブリンは武器の性能に身を任せた攻撃に敢え無く敗北。

 ホブゴブリンは割れたガラスのように砕け散り、後には何も残らなかった。


「りゃっ!」


 続けて後ろから迫りくるホブゴブリンを斬りつけて逃げる。

 多分逃げる必要は無いんだろうが、それでも俺は切り付けたホブゴブリンから距離を置き、その最後を見る。



 ホブゴブリンの鎧 ☆1



 今度は出た。

 ただ回収は後だ。今は早々に片付けてしまわなければならない。


 キングゴブリンの武器は鉄製のトゲトゲしたメイスだった。

 あれは棍棒以上に当たったら拙いことになるだろうことは容易に予想出来た。


 あれは打ちどころ悪かったら死ぬかもしれない。

 ……いや、ゲージがあれば死なないのか?


 俺は魔物と違って普通に血が通ってるし、けがをすれば血が流れる。

 ゲージがあれば死なないのは魔物の特権なのか人間もそうなのか、俺に知識が無すぎて苛立ちを覚える。



「ボォォォォォ!」



 雄叫びを上げるキングゴブリン。

 余りの音量に思わず耳を塞ぎそうになりながらも、前進した。


 そして、喚くキングゴブリンに上からアロンダイトを振り下し、真っ二つにした。

 ゲージは一気にゼロとなり、キングゴブリンは砕け散った。



 キングゴブリンのメイス ☆1



 キングゴブリンはメイスなのか。

 兎にも角にも、フロアボスを倒したことだし、ホブゴブリンの鎧とキングゴブリンのメイスを収集すると、奥へ進む。

 そして見つけた階段を前にして、俺はマッピングした結果を見てみる。


 ……ここに来るまでに、第一層全ての通路や行き止まりを全て行き終えてる。

 どんだけ運が無いのかしらないが、そこまで歩いて魔物の遭遇は雀の涙程度ときたもんだ。

 ゴブリンの棍棒とかが幾らで売れるのかはしらないが、これではやっていけないだろうな。




「……さて」


 そろそろ行くか。

 俺は有る筈の無い忘れ物を確認する様に後ろを見た後、目の前にある階段を使って第二層へと進むのだった。



 第一層、クリア。

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