100万人に1人の逸材
「やはり筋がいいな」
ルアは早朝から素振りを始めていた。剣を振るたびハッと声を出し、今まで見たことのないほど真剣な顔で取り組んでいる。それに本当に素晴らしい素振りだ。重心の移動もしっかりしていて、その上綺麗にまっすぐ振れている。まあ、剣が木の枝でなければかっこよかっただろう。
「ねえ、ルアったら魔法学校に通うそうよ」
一緒に見ていた母さんが呟く。魔法学校、基本的に冒険者や国を守る騎士、それに魔道具師を目指す人が通うところだ。この世界では剣に魔力を込めて戦うのが一般的で、極めればほんの少しの魔力で魔王も倒せたりする。まあ本当に極めたらの話だが。
「まあ、いいんじゃない」
「ええ〜、お母さん心配なのよ。それにルグもついていくんでしょ?」
「まあね」
魔法学校に通うということは基本的に心配されることだ。冒険者になるせよ、騎士になるにせよ、危ないからな。まあ魔王がいる時は魔法学校大人気だが。
「でもね、止めたくないの」
母は少し名残惜しそうな瞳で、真剣に剣を振るルアを見つめた。
「…そうか」
ダメだと行かせてもらえないことも多いのに、ルアは良い母を持ったようだ。とはいえ父さんがなんと言うかはわからないがな。まああいつなら特に気にしないだろう。
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「魔法学校だって!?」
父さんは机を叩いて立ち上がると、興奮した様子で叫んだ。
「うんうん、お父さん良いよね?」
「良いも何も、最高じゃないか!!」
父さんはとても嬉しそうな表情を見せると、ガハハと笑い始めた。この男はとてつもなく能天気なのだ。まあ変に縛りをつけられるよりか良いがな。
「父さん、魔力が無さすぎてなぁ! 100万人に1人の魔力の少なさらしいッ!」
父さんは悲しい話を大笑いしながら話した。100万人に1人は地味にすごいな。この世界の人は必ず魔力を持って生まれてくる。魔力がない人もいるとは言われているが、実際に確認されたことはない。
「あははッ! それは困るよぉ私まで魔力ないかもじゃん!」
「ガハハハ!」
この2人は本当に似ているな。ザ・親子って感じだ。この中に僕みたいなゴミが混ざっているのが本当に申し訳なく思う。
「父さん昔から魔法を使うのが夢だったんだ。もし覚えたら見せてくれよ〜?」
「もちろん!」
そうしてルアは特に止められることもなく、魔法学校に入学することが決まった。まだ4年後の話なのでその頃にはもう剣なんて飽きている可能性が高いが、それでもまあ僕はなんでもいい。ルアは僕より何倍も才能がある。だからこれからもし剣を続けてくれるのなら、もしかしたら面白い展開になるかもしれないな。




