8/10
2-5
ジェームズは体力には人一倍自信があるが、さすがにくたくたになってしまった。天気の良い朝の絶好調な時なら、どんな者にも負けないスタミナを発揮できるし、得意な拳闘なら同じ体重の若者でも負けない自信があった。今日はもう遅いので、仕方なく屋敷へ戻ることにした。ジェームズの屋敷は、スコットランドの隅っこにあった。
それも辺境の地にである。
なんでも、ジェームズの祖父は荘園領主だったが、イギリスとフランスでおきた100年戦争当時に、狡猾な彼は、非常に攻められにくい場所に屋敷を大急ぎで立てて戦争に参加していたのだそうだ。
ジェームズは、屋敷の門のブザーを押すと、門がゆっくり開いて、屋敷から多くの使用人が集まって来た。女中頭と執事へ向かって、明日からまた出掛けるからというと、そこで、ジェームズは酷く愉快になり笑いだした。
「……これは、まいったな。間違いなくこれが八宝石の一つ。笑うトパーズの呪いなのだろう」
ジェームズは、涙目で訝しんだ。




