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ネイの決断

 術後4週間。

 寝たり起きたりの生活を続けている。春のうたた寝に入ったり出たりしている時に、ドアのノックで目が覚めた。


 コンコン


「あ、はい」

「寝てた?ごめんね」

 ネイだ。

「いや、ぼうっとしてたとこ」

「調子はどう?」

「うん割合悪くないよ」

「そう。それならよかった」

 ネイはベッドの下に置いてあった面会者用の椅子を取り出して、ベッドサイドに座った。

「快里くん。そういえばね。私、いま予備校に行ってるんだよ」

「へぇ。どうして?」

「今まで理系クラスだったから。文系教科を勉強しないとならないの」

「あぁ。でも、文系から理系よりは楽なんじゃないの?」

「そうは言うけど、結構文系は文系なりに難しい勉強があるんだ」

「そうなんだ」

「快里くんは、大学。どこに行くの?」

「え?まだ決めてないよ」

「でも決まっちゃったらあっという間に合格しそうだよね」

「どうだろ?」

 大学なんて何も決めてない。自分は、親父と兄貴とは何となく系統が違うから……。

「快里くん。早く決めてね」

「どうして?」

「だって、快里くんの行く学校の近くにするんだもん」

「え?ネイ……自分の意志で決めた学校に行った方が良いよ」

「うぅん。これが私の意志。快里くんを大学の友達に取られたくないから」

 ネイがそういって笑う。

「メイともそう約束したの。続けられる限り続けて行くって」

「なんか強くなったね。ネイ」

 相対的に自分が弱くなったんだろうか。

「ちっとも強くなんかなってないよ」

 ネイは苦笑いをしながら言った。

「あ……でも。目的が決定したからかな」

 コンコン……

「はい」

 快里が返事をする前に、ネイが返事をした。

 扉は返事を待たずに開いた。兄貴だ。

「快里。ちょっといいか?……ネイちゃんが来てたのか。じゃ、あとでいいかな……」

「あ、良いですよ。お兄さん」

 ネイはそういうと立ち上がって、椅子を克之に差し出した。

「じゃ、快里くん。また明日来るね」

 快里はネイを見送ると、何となく惜しいような気がしていた。


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