依入の孤独
依入は朝方、早くに目が覚めた。
枕に少しだけ着いたファンデーションで、自分が昨日、着の身着のままで、化粧も落とさず、着替えずにそのまま寝ていたことに気がついた。早起きする習慣に感謝しつつシャワーを浴び、スーツに着替えると、急いでパンを焼いて朝食の支度をする。
一人だけの朝食。
初めてというわけじゃないけれど、やっぱり母の体調の問題で……となると、寂しさが倍増してくる。
テレビをつけながら食事をする習慣はないのだけれど、静かなのが寂しすぎたから、テレビをつける。ありがちなニュースとゴシップ。
これを母が見たら、なんていうだろう?そう感じてしまうことが、依入の心を締め付けた。
依入は半分ぐらいかじったパンをみて、どうするか迷い、ゴミ箱にすてた。正直、どこに入ったのかわからない感じだが、食欲も湧かなかった。
化粧をしようとして鏡を見て、自分がひどい顔をしてることに気づく。
「はぁ」
念入りに目の腫れをごまかすようなメイクをして、依入は学校に行くために家を出た。
朝の教員会議。依入は、上の空で話を聞いていた。
「藤木さん、目が腫れてない?」
三崎先生に声をかけられた。どうやら朝のミーティングが終わっていたらしい。
「あ、三崎先生……わかりますか?」
「どうしたの?」
「母が昨日から、入院してしまったんです」
「えぇ?ほんとに?……そう。じゃあ私が、八組の試験の準備をやっておいてあげるから、早めにお見舞いに行ってあげたら?」
「すみません……ありがとうございます」
がんばろう。私。お母さんの入院の支度をしなくちゃ……
なんとか日中の仕事をこなしながら、そう考えていた。昨日はショックで、母の入院の支度をろくにできなかったから。




