快…里?
家に帰ると、快里はソファに深く埋もれるように沈み込んだ。
藤木先生の家に行ったら、いきなり依入先生のお母さんである依子さんが、僕のことを自分の夫だと思いこんだ。そして藤木先生のお母さんは病院にそのまま検査入院。僕は病院までご一緒したものの、耐えられなくなって帰ってきた。
依入先生の話だと、最近依子さんの様子がおかしくて、気がかりだという話だった。真っ暗にして電気をつけずに、そこには存在しない誰かに向かって話しかけていたり、あるいは石になってしまったようにぼうっとしてたりするらしい。
いや、最近じゃないな。
兆候が出始めたのは、依入先生が大学を卒業したぐらいだというから3年ぐらい。そこそこ長いことになる。
依入先生の父は、依入先生が生まれる前に死んだみたいだ。ということは、依子さん一人で依入先生を育てたことになる。
テンションが常に張っていて緩んだせいで、自分が愛していた夫が精神的に必要になったのだろうか?そこに僕が現れて、僕のことを自分の夫だと仮定、いや定義した。あり得ない話じゃない。
石になってしまってぼうっとしている……か。
誰かみたいだな。
メイやネイが自分にいう台詞を思い出した。
そう言えば、今日はメイとネイと一言も話さなかったな。それどころか二人が話してるとこを見ていないことに気がついた。
……ネイとメイのけんか……今回長いな……
快里はそんなことを考えていた。またもや、抜け出せない闇に自分が入っていることに、気がつかずに。




