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「貴女との婚約を破棄する」 そう言ってあなたは柔らかく微笑んだ  作者: 曲尾 仁庵


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35/40

細い月

 隊長が剣を抜き放つと同時に、男は右の袖から出した何かを隊長に向かって投げつけました。粉状のそれを顔に浴びた隊長は悲鳴を上げてのけぞります。隊長と皇子、どちらを優先するか――周囲の部下が一瞬迷いをその顔に浮かべました。ルシアン皇子を縛っていたはずの縄がパサリと地面に落ち、男はリアナの身体を抱えて叫びました。


「来い!」


 ルシアン皇子の手を強引に引っ張り、男は走り出します。言葉の意味を理解するより先にルシアン皇子は足を動かします。兵士たちが剣を抜き、男が兵士の間を強引に突っ切り、兵士たちが剣を振り上げ、ルシアン皇子が走って――兵士たちの剣がルシアン皇子の髪をわずかに掠めて空を斬ります。隊長が目を押さえながら怒鳴りました。


「追え! 逃がすな!」


 兵士たちが一斉にルシアン皇子の背を追い、地面を蹴りました。




 腰を抱えられ、荷物のように運ばれながら、リアナは泣き腫らした目を何度もしばたたかせました。何が起こったのか、捕まったのではなかったのか、まだ、終わりではないのか――リアナは自分を抱えている男を見上げます。男は躊躇なく森を飛び出し、林道へと身を躍らせました。遠い篝火がわずかに照らすその横顔は、ずんぐりとしていて、まるでおとぎ話に出てくる小人(ドワーフ)のよう――ほんの数日前まで一緒にいた、懐かしい顔がそこにありました。


「ホウリ!?」

「しゃべるな! 舌をかむ!」


 怒られて、リアナは慌てて両手で口を塞ぎました。声も、しゃべり方も、確かにホウリです。ホウリが、生きていたのです。

 月光が照らす細い林道を数歩で駆け抜け、ホウリは向かいの森に飛び込みます。藪を蹴散らし、生い茂る草を踏み倒して、一時も足を止めずに森の奥へと向かいます。背後に迫る兵士たちの足音が徐々に遠ざかっていきます。


「ホウリ殿!」


 ルシアン皇子がこらえきれなくなったように叫びました。その声は喜びに満ちています。ホウリは声に応えず、苦笑いを浮かべます。木々の間を抜け、少し開けた場所に出たところで、ホウリはようやく足を止めました。リアナを地面に降ろし、息を整え、ホウリは二人を見つめます。


「ここまで来ればとりあえず――」

「ホウリ!」


 言葉の終わりを待たず、リアナはホウリに抱き着きました。その目から先ほどとは違う涙が溢れます。ホウリは「あー」と困ったような声を上げ、頭を掻きました。


「ホウリ殿……」


 ルシアン皇子に再び名を呼ばれ、ホウリは顔を上げます。ルシアン皇子は何を言っていいか分からない顔をしてホウリを見ていました。泣かないルシアン皇子にホウリは優しい笑みを返しました。


「死ぬために別れたわけじゃないんだ。再会したからってそんなに驚かないでくれよ」


 リアナは抱き着いたまま首を横に振ります。涙と鼻水でホウリの服がべしゃべしゃになりました。ルシアン皇子は何度もうなずきます。皇子の腕を右手でぽんんぽんと叩きました。




「さて、感動の再会を喜んでパーティでもしたいのはやまやまだが、残念ながら余裕がない。簡潔に言うぞ。スール将軍はもう皇領森林にはいない」


 リアナがホウリから手を離し、一歩下がって涙を拭います。ルシアン皇子が表情を引き締めました。ホウリが感心したように目を見張ります。


「驚かないな。もう知っていたか」

「スール殿に何が?」


 子供の成長を喜ぶ顔でホウリは答えました。


「第二皇子派が館に踏み込み、将軍を拘束しようとしたらしい。それを返り討ちにして逃げた、ってことのようだ。もっとも、将軍はリアナ殿下の危機に黙って座っているような聞き分けのいい爺さんじゃない。館を出る口実を探してたんだろうぜ」


 ルシアン皇子が納得したようにうなずきます。リアナが前のめりに声を上げました。


「爺は?」


 リアナの頭にぽふっと手を置き、ホウリは答えます。


「百人ほどの兵を率いてこちらに向かっています。もうすぐ会えますよ」


 リアナは祈るように胸の前で手を握りました、目に涙が滲み、鼻をぐずぐずと鳴らします。ホウリは少し乱暴にリアナの頭を撫でました。泣き顔のまま、リアナは口を尖らせてホウリをにらみました。

 口を開きかけ、迷い、何も言えずに、ルシアン皇子は視線を落としました。ホウリはルシアン皇子をじっと見つめると、


「街道組の連中は――」


 穏やかに話し始めます。ルシアン皇子の肩がわずかに震えました。


「――計画が露見したことを察知して隊を解き、散り散りに逃げたそうだ」


 ルシアン皇子は顔を上げてホウリを見つめます。ホウリは力強くうなずきました。


「あいつらは、生きてるよ」


 固く目を閉じ、


「ありがとう、ございます――」


 ルシアン皇子は絞り出すようにそう答えました。




 遠ざかっていた森のざわめきが再び戻る気配がして、リアナは後ろを振り返りました。闇の向こうにちらちらと松明の赤が揺れています。「思ってたより早いな」とホウリは忌々しげにつぶやき、厳しい表情を作ります。


「時間切れだ。よく聞け。こっちの地面を見ろ」


 ホウリは森の奥へと向かう闇の入り口を指し示しました。細い月光が照らすその場所は、知っていなければ分からないような、人が通ったわずかな痕跡がありました。


「俺が通ってきた足跡だ。これを辿れ。絶対に外れるなよ。できるな?」


 できないとは言わせない、というようにホウリはルシアン皇子を見据えます。小さく喉を鳴らして皇子はうなずきました。リアナは無言でホウリの袖を掴みます。ホウリはリアナの手に自らの手を重ねました。


「密偵はしなきゃならん雑用が山ほどあるんですよ。殿下の面倒ばかり見てはおれんのです」


 ホウリはリアナの手をそっと袖から外します。リアナは心細げにうつむきました。ホウリは幾分声の調子を和らげました。


「必ず追いつきます。今はルシアン殿下についておいきなさい。そうすれば大丈夫」


 リアナはうつむいたままうなずきを返します。ホウリはルシアン皇子に顔を向け、


「行け!」


と背を押すように告げました。ルシアン皇子はリアナの手を取り、森の奥の闇を見据えて、短く強い息を吐くと、微かに残るホウリの足跡をなぞるように足を踏み出します。リアナは後ろを振り返りながら、ルシアン皇子に手を引かれて森へと消えていきました。

 葉擦れ、草分け、枯れ枝を踏む乾いた音――二人の音が遠ざかり、ホウリは大きく息を吐きます。痛みに耐えるように顔をしかめ、ホウリは脇腹に手を当てました。たった独りで敵を翻弄し続けた代償を抱え、ふらふらと木の側まで歩き、背を幹に預けます。懐から白い錠剤を取り出し、口に放り込んで、水袋の水をあおり、軽く咳き込んで、ホウリは空を見上げます。少し開けたこの場所からは大きく欠けた月が青白く浮かんでいる姿が見えました。


「悪いな。大人は、嘘つきだ」


 守れない約束も、大人はしてしまいます。それは、今、ここで必要な希望があると知っているからです。たとえそれが後の絶望であるとしても、今ここにある希望となるなら、それは無意味なものではないはずです。ホウリは皮肉げに口の端を上げました。


「……言い訳だな。約束したなら守れって話か」


 そう遠くない場所で鳥が一斉に逃げ出す音がしました。ホウリは預けていた背を離し、剣を抜きます。森がざわめきを強くしました。松明の火が迫っています。


「今日は、いい月だ」


 そう言ってホウリはざわめく森を見据えます。


「そう思わないか?」


 呼び掛けに応えるように一本の矢が風を裂いてホウリの心臓を狙います。剣で矢を切り払い、ホウリは不満げな表情を浮かべました。


「無粋だな」


 枝葉を揺らし、剣を抜いた敵兵が姿を現します。先頭にいるのは、さっきリアナたちを捕まえた隊長でした。


「目の調子はどうだい、隊長殿?」


 ホウリの軽口に苦々しい様子で隊長は口を開きます。


「二人はどこだ?」

「とっくに逃げたさ。当たり前だろ?」


 バカなことを聞くな、と言いたげな口調に、隊長の目が険しさを増します。しかしすぐに、哀れむような、侮るような表情を作り、隊長は軽薄な口調で言いました。


「それで、お前は独りで殿(しんがり)か? 無駄だってことは分かってるよな?」

「俺は体験重視でね。無駄かどうかはやってみてから判断するさ」


 隊長は剣の切っ先をホウリに向けます。部下たちが一歩前に出てホウリを半円に囲みました。


「やめとけ。もう分かってんだろ? お前みたいなタイプが敵に姿を晒してる時点で、状況はもう詰んでるんだ」


 ホウリはくくくと喉の奥で笑います。


「そっちこそ分かってるんじゃないか? 俺みたいなタイプが敵に姿を晒してる時点で、もう仕込みが終わってるってことをさ」


 ホウリが無造作に剣を振り、空を斬ります。何もないはずの空間がポン、と弦が切れる様な音を立てました。切れた細い糸が月光に照らされ、次の瞬間――


――バキバキバキッ!


 轟音を立ててしなる枝が二人の敵兵をなぎ倒しました。


「この森はもう罠だらけだ。森の東で散々体験したはずだぜ? 殿下を追うなら相応の痛みを覚悟してもらう」

「はったりだ! お前に大量の罠を仕掛ける時間はなかったはずだ!」


 鋭くにらみつける隊長の視線に侮蔑で応え、


「試してみるかい? 全滅覚悟でいいんなら――」


 ホウリは不敵な笑みを浮かべて剣を構えました。


「――相手をしてやる」


 隊長が無言で剣を振り、それを合図に兵士たちが一斉にホウリに襲い掛かりました。

 腰を抱えられ、荷物のように運ばれながら、リアナは泣き腫らした目を何度もしばたたかせました。何が起こったのか、捕まったのではなかったのか、まだ、終わりではないのか――リアナは自分を抱えている男を見上げます。男は躊躇なく森を飛び出し、林道へと身を躍らせました。遠い篝火がわずかに照らすその横顔は、ずんぐりとしていて、まるでおとぎ話に出てくる小人(ドワーフ)のよう――ほんの数日前まで一緒にいた、懐かしい顔がそこにありました。


「ホウリ!?」

「しゃべるな! 舌をかむ!」


 怒られて、リアナは慌てて両手で口を塞ぎました。声も、しゃべり方も、確かにホウリです。ホウリが、生きていたのです。

 月光が照らす細い林道を数歩で駆け抜け、ホウリは向かいの森に飛び込みます。藪を蹴散らし、生い茂る草を踏み倒して、一時も足を止めずに森の奥へと向かいます。背後に迫る兵士たちの足音が徐々に遠ざかっていきます。


「ホウリ殿!」


 ルシアン皇子がこらえきれなくなったように叫びました。その声は喜びに満ちています。ホウリは声に応えず、苦笑いを浮かべます。木々の間を抜け、少し開けた場所に出たところで、ホウリはようやく足を止めました。リアナを地面に降ろし、息を整え、ホウリは二人を見つめます。


「ここまで来ればとりあえず――」

「ホウリ!」


 言葉の終わりを待たず、リアナはホウリに抱き着きました。その目から先ほどとは違う涙が溢れます。ホウリは「あー」と困ったような声を上げ、頭を掻きました。


「ホウリ殿……」


 ルシアン皇子に再び名を呼ばれ、ホウリは顔を上げます。ルシアン皇子は何を言っていいか分からない顔をしてホウリを見ていました。泣かないルシアン皇子にホウリは優しい笑みを返しました。


「死ぬために別れたわけじゃないんだ。再会したからってそんなに驚かないでくれよ」


 リアナは抱き着いたまま首を横に振ります。涙と鼻水でホウリの服がべしゃべしゃになりました。ルシアン皇子は何度もうなずきます。皇子の腕を右手でぽんんぽんと叩きました。




「さて、感動の再会を喜んでパーティでもしたいのはやまやまだが、残念ながら余裕がない。簡潔に言うぞ。スール将軍はもう皇領森林にはいない」


 リアナがホウリから手を離し、一歩下がって涙を拭います。ルシアン皇子が表情を引き締めました。ホウリが感心したように目を見張ります。


「驚かないな。もう知っていたか」

「スール殿に何が?」


 子供の成長を喜ぶ顔でホウリは答えました。


「第二皇子派が館に踏み込み、将軍を拘束しようとしたらしい。それを返り討ちにして逃げた、ってことのようだ。もっとも、将軍はリアナ殿下の危機に黙って座っているような聞き分けのいい爺さんじゃない。館を出る口実を探してたんだろうぜ」


 ルシアン皇子が納得したようにうなずきます。リアナが前のめりに声を上げました。


「爺は?」


 リアナの頭にぽふっと手を置き、ホウリは答えます。


「百人ほどの兵を率いてこちらに向かっています。もうすぐ会えますよ」


 リアナは祈るように胸の前で手を握りました、目に涙が滲み、鼻をぐずぐずと鳴らします。ホウリは少し乱暴にリアナの頭を撫でました。泣き顔のまま、リアナは口を尖らせてホウリをにらみました。

 口を開きかけ、迷い、何も言えずに、ルシアン皇子は視線を落としました。ホウリはルシアン皇子をじっと見つめると、


「街道組の連中は――」


 穏やかに話し始めます。ルシアン皇子の肩がわずかに震えました。


「――計画が露見したことを察知して隊を解き、散り散りに逃げたそうだ」


 ルシアン皇子は顔を上げてホウリを見つめます。ホウリは力強くうなずきました。


「あいつらは、生きてるよ」


 固く目を閉じ、


「ありがとう、ございます――」


 ルシアン皇子は絞り出すようにそう答えました。




 遠ざかっていた森のざわめきが再び戻る気配がして、リアナは後ろを振り返りました。闇の向こうにちらちらと松明の赤が揺れています。「思ってたより早いな」とホウリは忌々しげにつぶやき、厳しい表情を作ります。


「時間切れだ。よく聞け。こっちの地面を見ろ」


 ホウリは森の奥へと向かう闇の入り口を指し示しました。細い月光が照らすその場所は、知っていなければ分からないような、人が通ったわずかな痕跡がありました。


「俺が通ってきた足跡だ。これを辿れ。絶対に外れるなよ。できるな?」


 できないとは言わせない、というようにホウリはルシアン皇子を見据えます。小さく喉を鳴らして皇子はうなずきました。リアナは無言でホウリの袖を掴みます。ホウリはリアナの手に自らの手を重ねました。


「密偵はしなきゃならん雑用が山ほどあるんですよ。殿下の面倒ばかり見てはおれんのです」


 ホウリはリアナの手をそっと袖から外します。リアナは心細げにうつむきました。ホウリは幾分声の調子を和らげました。


「必ず追いつきます。今はルシアン殿下についておいきなさい。そうすれば大丈夫」


 リアナはうつむいたままうなずきを返します。ホウリはルシアン皇子に顔を向け、


「行け!」


と背を押すように告げました。ルシアン皇子はリアナの手を取り、森の奥の闇を見据えて、短く強い息を吐くと、微かに残るホウリの足跡をなぞるように足を踏み出します。リアナは後ろを振り返りながら、ルシアン皇子に手を引かれて森へと消えていきました。

 葉擦れ、草分け、枯れ枝を踏む乾いた音――二人の音が遠ざかり、ホウリは大きく息を吐きます。痛みに耐えるように顔をしかめ、ホウリは脇腹に手を当てました。たった独りで敵を翻弄し続けた代償を抱え、ふらふらと木の側まで歩き、背を幹に預けます。懐から白い錠剤を取り出し、口に放り込んで、水袋の水をあおり、軽く咳き込んで、ホウリは空を見上げます。少し開けたこの場所からは大きく欠けた月が青白く浮かんでいる姿が見えました。


「悪いな。大人は、嘘つきだ」


 守れない約束も、大人はしてしまいます。それは、今、ここで必要な希望があると知っているからです。たとえそれが後の絶望であるとしても、今ここにある希望となるなら、それは無意味なものではないはずです。ホウリは皮肉げに口の端を上げました。


「……言い訳だな。約束したなら守れって話か」


 そう遠くない場所で鳥が一斉に逃げ出す音がしました。ホウリは預けていた背を離し、剣を抜きます。森がざわめきを強くしました。松明の火が迫っています。


「今日は、いい月だ」


 そう言ってホウリはざわめく森を見据えます。


「そう思わないか?」


 呼び掛けに応えるように一本の矢が風を裂いてホウリの心臓を狙います。剣で矢を切り払い、ホウリは不満げな表情を浮かべました。


「無粋だな」


 枝葉を揺らし、剣を抜いた敵兵が姿を現します。先頭にいるのは、さっきリアナたちを捕まえた隊長でした。


「目の調子はどうだい、隊長殿?」


 ホウリの軽口に苦々しい様子で隊長は口を開きます。


「二人はどこだ?」

「とっくに逃げたさ。当たり前だろ?」


 バカなことを聞くな、と言いたげな口調に、隊長の目が険しさを増します。しかしすぐに、哀れむような、侮るような表情を作り、隊長は軽薄な口調で言いました。


「それで、お前は独りで殿(しんがり)か? 無駄だってことは分かってるよな?」

「俺は体験重視でね。無駄かどうかはやってみてから判断するさ」


 隊長は剣の切っ先をホウリに向けます。部下たちが一歩前に出てホウリを半円に囲みました。


「やめとけ。もう分かってんだろ? お前みたいなタイプが敵に姿を晒してる時点で、状況はもう詰んでるんだ」


 ホウリはくくくと喉の奥で笑います。


「そっちこそ分かってるんじゃないか? 俺みたいなタイプが敵に姿を晒してる時点で、もう仕込みが終わってるってことをさ」


 ホウリが無造作に剣を振り、空を斬ります。何もないはずの空間がポン、と弦が切れる様な音を立てました。切れた細い糸が月光に照らされ、次の瞬間――


――バキバキバキッ!


 轟音を立ててしなる枝が二人の敵兵をなぎ倒しました。


「この森はもう罠だらけだ。森の東で散々体験したはずだぜ? 殿下を追うなら相応の痛みを覚悟してもらう」

「はったりだ! お前に大量の罠を仕掛ける時間はなかったはずだ!」


 鋭くにらみつける隊長の視線に侮蔑で応え、


「試してみるかい? 全滅覚悟でいいんなら――」


 ホウリは不敵な笑みを浮かべて剣を構えました。


「――相手をしてやる」


 隊長が無言で剣を振り、それを合図に兵士たちが一斉にホウリに襲い掛かりました。


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