18話 支配
時は鈴鹿が出雲の料亭の松の間にて、灰ヶ峰に自死を強要されているところまで遡る。
「どうする。自死を選ぶか? それとも俺たちと泥沼の闘争を選ぶか?」
濁る赤い瞳で鈴鹿を覗く灰ヶ峰。
灰ヶ峰は強い。特級に至れる程度には。だが、まだ特級に至っていない。この場には鈴鹿よりもレベルの高い者たちが灰ヶ峰含め数人いるが、鈴鹿よりも強い者はいない。驕りではなく事実である。正面から戦っても勝てないからこそ、こんな姑息な搦め手を使っているのだ。
だが、灰ヶ峰には底知れぬ凄味が宿っている。鈴鹿がどちらの選択をしようが対処できる自信があるのだろうか。いや、鈴鹿が身内の安全を取ることを確信しているのだろう。
それは正解だ。鈴鹿は迷わず身内を取る。
鈴鹿は博愛主義者という訳ではない。この出雲に住む雲太を含む全市民の命と自分の命であれば、鈴鹿は自分の命を取る。仇は取ってやるからなと、拳を握り締め泥沼の戦いだろうと身を投じるだけだ。
だが、一定以上の友誼を結んだ者が対象にされてしまえば、鈴鹿は身を切る選択をする。友人や家族を犠牲にしてまで生き永らえたいと思うほど、鈴鹿は生きていたいと思っていない。
ちらりと周囲の人間を見やる。何とも悪そうな奴らだ。人を害することに躊躇いが無く、自己の利益のために他者から絞りつくしてきましたという面をしている。
鈴鹿はこんな奴らがいることを知っていた。川崎でも悲惨なことが起きていることも聞いていた。だが、それは対岸の火事で、自分事としては考えていなかった。
甘かった。そう、甘かったのだ。
鈴鹿が歩んできた道を、選択を、甘いとは断じて思わない。
鈴鹿は強くなることに邁進し、たった一年弱という期間で探索者の頂に手をかけている。これほどの偉業を為した鈴鹿に、甘いなどいう者は天が許しても狂鬼が許さない。
では、何が甘かったのか。
それは目の前の畜生共への対応である。
鈴鹿はパソコンの画面を見せられる前は、気配遮断を使ってお暇しようとしていた。こんな餓鬼のような醜い者たちが一堂に会しているというのにだ。
なんと甘く、なんともったいないことをしようとしていたのか。
世界がもっと健全であれば、鈴鹿はこの甘さを享受して生きていたことだろう。それは何とも幸せなことではないだろうか。自分が強くなることに邁進できる世界なのだから。
だが、目の前の日本に巣くう癌共が、鈴鹿の甘さを殺した。
甘さを享受していた小鬼は、今この場を以て死に絶えた。
死に絶え、灰になり、朽ちた後に残るは修羅。
一匹の、非情なる鬼だけが取り残された。
「……そいつらには手を出すな」
「では自殺すると? ならば5秒以内に死ね。でなければ一人ずつ殺害する」
5、4。鈴鹿に考える暇を与えぬように、思考を奪うように、灰ヶ峰が広げた指を折ってゆく。
「ほら、起きろ。従え。出なければ俺は死ぬぞ」
ぼそぼそと鈴鹿が言う。それに対し周りは何も言わない。鈴鹿という種として隔絶した存在が放つ圧力に、ただただ緊張していた。
3、2。気配遮断を使い控えていた一級探索者であろう構成員が、身構える。動くならここだと踏んだのだろう。まだ気づかれていないと夢を見ている探索者は、きっと鈴鹿が動こうとすれば即座に殺しに来るはずだ。
「うん、できるな」
「1」
「支配」
鈴鹿が告げた後、ゼロのカウントが紡がれることは無かった。代わりに灰ヶ峰が手を広げ鈴鹿へ向ける。まるで待てとでも言いたげに。
「案外簡単に死んじまったな」
「自己再生のスキルがどう作用するかわからん。ちゃんと死んでるか確認しろ」
灰ヶ峰たちは周りに控える構成員達に指示を出すが、彼らは動かない。
「心肺停止。完全に死んでます」
「なら首と胴体を分けてそれぞれ厳重に保管しろ。今回は死体を利用しない。出雲ダンジョンで吸収されるところを確実に見届けろ」
鈴鹿の近くにいる構成員が微動だにせずそう言えば、灰ヶ峰が周囲に指示を出す。
「おい、中継聞こえてるか。狂鬼は死んだ。撤収させろ」
『了解。戻ります』
鈴鹿の家族やヤスたちを監視していた者たちは、常にこちらの音声を確認していた。音声が切れたり異常事態が発生した場合、即座に狂鬼の家族や友人を殺害するために。松の間に控える構成員が繋がっていた通信装置を切る。カメラのライブ映像も消え、パソコンは落とされた。
「もう問題ない」
灰ヶ峰が鈴鹿にそう告げる。
静寂。身じろぎ一つない部屋で、鈴鹿だけが深く深く腰掛け天を仰ぐ。
「殺し尽くすと誓おう」
それは甘ったれた小鬼への別れの言葉か、はたまたこれから為すべきことへの誓いの言葉か。鈴鹿の覚悟はこの時を以て決められた。
「面白いだろう。指一本、視線一つも動かせないはずだ」
まるで人形の様に動きを止めた蜥蜴の人間たち。周りに控える構成員も、目の前に座る幹部たちも、鈴鹿に凶刃を突きつけようと気配遮断を使用していた人間も、等しく動きを止めている。
「それなのに思考ははっきりしているだろ? 金縛りの様に、身体は動かせないのに意識だけははっきりしている」
鈴鹿の言葉に、誰も反応を示さない。反応しろなんて指示を出していないから。
「気を付け」
鈴鹿が指示を出せば、構成員も座っている灰ヶ峰たちも皆背筋を正し気を付けの姿勢を取る。
「灰ヶ峰……は、リアクション薄そうだ。隣のお前、口を自由に使っていいぞ」
「おいガキ何しやがった!!」
「あっはっは!! きっも!!」
顔は眉一つ動かないのに、出てくるのは怒りを込めた罵声。スピーカーが勝手に話しているみたいだ。その一言だけを話した後は、また口を閉じ微動だにしなくなる。
「はぁー、きもいきもい。きもいお前たちには大役を与えよう。俺はこれからお前たちの組織を潰す。それはもう徹底的に」
鈴鹿は決めたのだ。蜥蜴という組織を完膚なきまでにこの世から消し去ることを。
「けど、末端まで探し出して殺すなんて面倒だし、ただ殺すなんてもったいないよね」
死は救済である。そう思ってもらえるような体験をプレゼントしてあげたい。
「だから君たちには働いてもらうよ。それはもう馬車馬の如く」
彼らは時が止まったかのように動かない。不気味な彫刻の様に、動きを止めたままだ。
鈴鹿は彼らを支配した。正確に言えば毒魔法により彼らを支配したというのが正しいか。
鈴鹿の求めに応じ、毒魔法はレベル10へと至った。手を硬くする。その一点のみを突き詰めていたら辿り着けなかったかもしれない境地に、この場の人間すべてを支配するという思いがスキルレベルを押し上げた。
異例中の異例。本来ならばありえない事態。そんな事象を引き起こすほど、鈴鹿は赫怒していた。
この場には、存在進化を経て一級探索者並みの者たちが揃っている。そんな彼らに毒魔法による支配ができるかというと、無理である。それはレベル10に至ったとしてもだ。
毒魔法はあくまで毒魔法である。酩酊させて正常な判断をできないようにしたり、意識を混濁させることで自白を促すようなことはできる。探索者にも作用する麻薬を創り出し、薬物を使うことで支配することは可能だろう。
だが、この現場の様に即座に完全に自由意思をはく奪し、意のままに操れることは毒魔法ではできない。それは毒魔法というスキルに与えられている権限を越えているからだ。未知なる毒は生み出せど、好き放題できる訳ではない。毒魔法には毒魔法でできる範疇が決まっている。
ではどうして鈴鹿は為せたのか。それは鈴鹿が持つ豊富で強力で凶悪なスキルが相互作用を起こしたからである。
鈴鹿は自殺か身内の死かの二択を迫られたとき、どちらも選ぶつもりは無かった。死ぬつもりは無いし、家族や友人を犠牲にするつもりは無い。二択なんて何故お前が決める?と灰ヶ峰の頭をかち割って脳みそが入っているか確認したい衝動にかられる程度には、納得してない二択だった。
かといって、選ばなければみんなは殺されてしまうだろう。鈴鹿は瞬間移動もできないから家族を助けに行くことも難しい。だから選んだのだ。三つ目の選択肢を。鈴鹿に理不尽な選択肢を突きつける者たちを、理不尽な目に遭わせる選択肢を。
以前猫屋敷と希凛に毒魔法について聞いた時、毒魔法で洗脳ができると言っていたことを思い出した。だが相手はレベル150を超える探索者たち。生半可な洗脳では鈴鹿が攻撃したことがわかり、みんなが殺される。だから毒魔法のスキルレベルが上がるよう願い、発動させたのだ。
この場にいる者たちを指先一つまで支配下に置くような、支配の毒を。
鈴鹿は毒魔法による支配の毒だと思っている。しかしこれは毒ではない。毒魔法はあくまできっかけに過ぎない。鈴鹿が保有するスキルたちが、鈴鹿の願いを遂行するために動き出した。
探索者たちの毒に対する抵抗を全て消し去るために、滅却の力が毒魔法に乗る。ただでさえ初見殺しの性能が高い毒魔法に滅却の力が加われば、対処することなどまず不可能。これにより、支配の毒は探索者たちに容易に浸透した。
だが、支配の毒では意識混濁による洗脳状態は作り出せるかもしれないが、支配には程遠い。
そこで鈴鹿が持つ最凶のスキルが初めて発動される。
そのスキルの名は『誘いの甘言』。2層5区のエリアボスであり、数多の探索者たちを飲み込み続け、最後には挑むことすら封じられたエリアボスの能力。それは精神干渉というにはあまりにも可愛すぎる代物だ。精神汚染、精神侵害、精神破壊。誘われた者たちは、ことごとくその甘言を受け入れる。
誘いの甘言は精神攻撃に対する凶悪な補正をするスキルだ。誘いの甘言自体には洗脳する能力はない。そこに、毒魔法を使って支配したいという不安定な毒が媒介となる。毒魔法だけであれば支配できず、誘いの甘言だけでも支配はできない。片手落ちのスキルたちが手を取り合い、最悪な効果をもたらした。
毒魔法による汚染、滅却の力による抵抗力の消滅、誘いの甘言による完璧な支配。それらが組み合わさり、この場にいる全ての者は鈴鹿の意のままに動く傀儡へとなり下がる。
「質問させてくれよ。俺がお前らを殺す選択をしたとき、どうするつもりだったんだ? お前ら程度じゃ俺を倒せないだろ?」
鈴鹿に支配の能力がなければ、結果的には自死を選んでいただろう。だが、それはあくまで結果論だ。この場にいる幹部っぽいやつらじゃ鈴鹿は倒せないだろう。
対立する前は勧誘されたので、その建前上幹部が必要だったのか? そんなものは別の人間でもいくらでも代役は立てられるだろう。鈴鹿について調べたのならば、その強さも当然理解しているはずだ。
蜥蜴はでかい組織と聞いているが、一級レベルの探索者が何人も所属しているわけがない。一級とは探索者の上澄み、花道を真っ当に生きていけるレベルなのだ。わざわざ蜥蜴のような暗部で働く必要はない。だからこそ、この場にいる灰ヶ峰を含む一級超えの構成員は蜥蜴であろうとも貴重なはずだ。それをわざわざ殺されるかもしれない現場に寄こすということは、鈴鹿をそれだけ殺せる確信があったということだろうか。
「そもそも戦うことを想定していない」
代表するように、灰ヶ峰が鈴鹿の質問に答える。
「お前は自死を選ぶ。これは確信があった。だからこうして俺が出向いたんだ」
「なにそれ。スキルかなんか?」
「それもある。俺は直感という自分の死に関係する事象に対し、事前に危険だとわかるスキルが発現している。直感によって俺は死ぬことが無いことはわかっていた」
まぁ、死んではないね。死んでは。
「スキルに関係なく、俺はお前が自死を選ぶとわかっていた。理由は経験則だ」
灰ヶ峰がまるで鈴鹿のマニュアルを読み上げる様に、説明する。
「お前は一度情を持つと義理を通す気質を持っている。自分の探索を止めてでも、兄や友人のレベル上げに付き合ったのもその一環だ。中学に在学中は何の理性か学校を休んでまで探索することはなく、門限なのか決まって日曜の夕方には探索を終えている。自分がやりたいことを優先するのではなく、親の意見を受け入れ従っているのは、親に対する義理を通しているからだ」
それは当然である。鈴鹿はまだ義務教育期間であったし、ここまで育ててもらった恩がある。親の言うことを聞くのは当然だろう。鈴鹿は一度大人の苦労を経験してきたからこそ、出来るだけ心配かけまいとふるまっていた。
「1層3区で探索者高校の生徒がモンスタートレインを起こした時、お前は助けに入ったな? その時の映像を見たが、ギリギリのところで助けに入っていた。あの場にいた3つのパーティー。zooというお前の友人がいなければきっと助けることは無かったはずだ。明らかに他の二つのパーティーが崩壊しかけているというのに、zooのメンバーがピンチに陥るまで姿を現さなかったのがその証拠。知らぬ他人を助けようという善人ではないが、友人であれば厄介ごとだろうが首を突っ込む」
あの時、探索者高校の生徒たちを助けたことでドローン映像に鈴鹿の様子も映っていた。探索者高校側の判断で一般生徒は閲覧できないような形を取られているが、削除された訳ではない。蜥蜴のような組織であれば、見ようと思えば見られてしまう。なぜなら彼らは猛虎伏草や警察ともつながりを持っているのだ。いくらでも映像を見させる言い分はたつ。
「配信を通してもそうだ。何かを受けたら、お前は何かを返そうとする。わざわざ2層5区の壁面をくまなく撮影したり、3層5区に出現するモンスターを間近に観察したり。配信で必要かはともかくアドバイスを貰えば、それに報いようとする。不撓不屈のスカウトや西成との食事で自分の情報を開示するのも、食事に連れていってもらったという恩に報いているからだ」
鈴鹿よりも鈴鹿に詳しいのではないだろうか。そうぼんやりと思うほど、灰ヶ峰は鈴鹿を調べ上げていた。
「それらの情報を照らし合わせ、お前は周囲の人間に自分が原因で害が及ぶことを許容できる人間ではないと判断した。そして、この手口は俺たちの十八番だ。自分を犠牲にする人間を嗅ぎ分けることなど造作もない」
横浜ではギルド員が実行犯となって代表の身内に危害を加えたと聞いた。恐らく今回のように家族でも人質に取られたのだろう。数多くいるギルド員の中から確実に裏切る人物を引き当てるくらいだ。その手の気質の人間を見分けるのが、蜥蜴の強みなのだろう。
「俺がお前らの想像通りの人物で良かったな。暴れたときの保険はなんかあったのか?」
「万が一戦闘になったときに備え、暗殺者のスキルを持つ大黒も控えさせていた。暗殺者は致命の一撃を入れやすいが、お前は自己再生を持っているから殺せるか怪しい。だから探索者の脳髄まで狂わせる薬物を注入し、脳を破壊する予定だった」
気配遮断を使っていた男だろう。始めからバレバレだったので意味は無さそうだが。
「それに加え封印という手段も使用していた。使用条件が決められたアイテムで、自分よりも劣る相手にしか使うことができないアイテムだが、発動すれば勝てる。お前と対立することが決まった時点で使用していたんだが、発動しなかった。俺はお前よりもレベルで勝るはずなんだがな」
直感のスキルにより安全を確認し、鈴鹿を分析することで確実に追い詰められる自信があった。それでいて鈴鹿を殺すための準備はしっかりと進めていた、と。ちゃんと罠を張り巡らせていた訳だ。失敗に終わった訳だが。
「ふーん。なるほどね。蜥蜴って西の暗部だろ? お前も言ってたけど、俺は猛虎伏草にスカウトもされてたんだ。俺を殺せってのは猛虎伏草からの指示? お前らの独断?」
「猛虎伏草の指示だな。今東西の勢力は西に傾いている。あらゆる手を使い東を雁字搦めにしてきた。ようやくこの戦いも終わりが見えてきたところに、お前の出現だ。最悪のタイミングと言っていい。お前のような人間を獲得するために起こした戦争だというのに、戦争に勝つためには取り除かなければいけないほどお前の力が強大になりすぎた。本当に、最悪のタイミングだ」
「そんなとっても強いスーパーダンチューバ―狂鬼君が東に付くのを、猛虎伏草は防ぎたかったと?」
「獲得できないのならば殺すしかない。東に付いた場合、我々の計画は大幅に狂わされるどころか、破綻すらありえた。逆に、お前が雨道と組む選択さえ選んでくれれば、東に構うこともなかったかもしれないがな」
これほどありがたくない評価があるだろうか。鈴鹿にとってはどっちにも付くつもりはなかった。戦いたいならダンジョンでやれよとしか思わないし、いい大人なんだからどっちが探索進んでるとかで勝負しろよと思っていた。
本当にはた迷惑なことである。東側のギルドにも苛立ってきた。こんなゴミ共放置してきたんだ。法治国家名乗るならちゃんとしろよ。
「それと、不撓不屈のスカウトと交友を深め過ぎた。どっちにも付かないと言うが、友人のスカウトが困っていたらお前は手を貸す。それは東に付くのと同義だ。そして、お前は健全過ぎる。きっと西のやり方に疑義を呈し、遅かれ早かれ東側に付くだろう。ならば、出雲という東から遠く離れたこの地で確実に殺す方が、計画へ支障がないと判断した」
それは確かにそうかもしれない。このやり方も含め、西はどうにもやり方が好かない。西成の店のチョイスも最悪だったし。センスがない。
まぁ、これではっきりした。これは西の総意ということだ。西が俺に喧嘩を売ったと。そういうことなのだな。
「いいだろう。まずは東京の安全確保が先だな。東京のゴミを一掃する」
「わかった。東の責任者に連絡を入れよう。大黒、お前は工作員側に連絡付けろ。なんて指示をすればいい?」
「俺が直接支配する。こっから東京だと明日移動の方がいいのか? 今日中に着くいい案あるか?」
「出雲空港の最終便がまだ残ってるはずだ。飛べば2、3時間で着く」
「調べます」
鈴鹿が指示せずとも、鈴鹿が望むように勝手に手足となって動き出す。
言われたことしかできないようではだめなのだ。鈴鹿が望むのは鈴鹿の意に沿うような行動。だからこそ、支配した瞬間に東との通話を自然に切るために彼らは勝手に話しだしたのだ。
そんな複雑な要望も、『誘いの甘言』によって完璧に遂行される。
「東の責任者に関係者を横浜の拠点に集めるよう指示をだした。ついでに猛虎伏草へも怪しまれないよう一報入れておこう」
「こちらも実行班の責任者に指示を出した」
「よし、じゃあそこに行こうか。明日の朝にまた戻ってくるよ。明日はこっちのごみ掃除だ。お前たちはいつも通り行動しながら、明日のために人員を拠点にでも集めとけ」
「横浜の案内は俺が行こう」
「そ。よろしく」
そうして、鈴鹿は出雲の地を飛び立った。目指すは横浜。鈴鹿の身内を害そうとしたごみ共を粛清するために。




