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魔獣

 本編には、闇地に棲息し、人間に強い害意を示す魔獣という生き物が登場する。また、物語の後半から、魔族という知性を得た魔獣も登場。ここではそれらを登場順に紹介する。特殊個体についての紹介は一般魔獣の後にまわしている。

 なお、後半の特殊個体の紹介はネタバレを含むので未読者は要注意。



 ◆魔獣◆……闇地に棲息する生き物の総称。人に対して無条件で敵意を示すという共通の習性があり、その理由は本編中で明かされる。一般的に闇地の深度が深いほど棲息する魔獣は強くなるとされている。


 刃毛豹(ブレズ・パーズィス)……ミツキが闘技場で戦うことになる魔獣。大きく裂けた口に鋭い牙と、極端に突き出した目、鈍色の毛が特徴的な、四足歩行の肉食獣。毛が非常に硬く刃物のように鋭いため、剣で斬りつけても傷さえ付けられず、逆立てた状態で駆け抜けることで敵を切り裂く。なお、本編中で魔獣種名は明らかにされていない。


 八角地龍(ティサバウロズ)……八本角の地龍。本編には登場せず、闘技場の選別でサクヤに倒されたことがアリアによって語られる。


 屍喰煙(グ・ドゥオロ)……黒い靄のような非実体系の魔獣。本編には登場せず、ベルレ・ダンドールのセリフの中で語られる。


 百目(アルヴァサ)擬龍(ロス・ルーチ)……闇地中~高深域帯の空に生息する飛行性の魔獣。顔に複数の目が並び、細長い体躯に三対の翼を生やしている。


 屍喰猩々(ゲラヴェノバ)……黒い剛毛に赤茶けた肌、赤い瞳のヒヒのような魔獣。知恵がまわり、群れで狩りをする。また非常に執念深く、一度目をつけ襲った獲物は、たとえ返り討ちにされたとしても、どこまでも群れで追いかけ隙を突いて狩ろうとする。


 露腸螠(インティ・スィルド)……巨大なナマコのような魔獣。スリンキー(バネ状の玩具)のような動きで移動し、獲物を丸呑みにして体内でゆっくり消化する。


 錆人(ゼ・ヒュー)……棒人間のような姿の魔獣。背丈が非常に高く、細い体で木々の影に隠れ、頭上から獲物を狙う。体に比べて頭はアンバランスに大きく、顔の中心には巨大なとび色の目があり、その周囲にも不規則な配置で小さな目が散らばっている。


 破翅蝗(ニルソージェ)……橙色のバッタによく似た生き物。体長は人よりふた回りは大きく、巨大な後ろ足以外に生えている四対の腕は、どれも人のような五指を持ち、その先端は鋭く尖っている。縦に割れた(あご)には、長めの牙が(うごめ)く。飛行能力と引き換えに、(はね)を武器に進化させており、普段は畳んでいる後翅を超高速で開くと、前方に向けて魔力の衝撃波が発生する。それを浴びた獲物は、全身に伝播(でんぱ)する魔力によって感覚を狂わされ、一定時間行動不能になる。動きを封じられた獲物は、産卵管を突き刺されて卵を産み付けられることになる。


 蛭翁(ペレヴージャ)……両生類を彷彿とさせるぬめりけを帯びた肌の、毛のないサルのような魔獣。皮膚の表面に粘性の防御皮膜があり攻撃が通りにくい。


 五角地龍(ヴェナトバウロズ)……全身が闇に融け込むような藍鉄色の、四足歩行の巨獣。頭部には脳髄のようなものが剥き出しとなっており、その中央部から大小五本の角が生えている。巨大な個体は雌であり、その体に虫のような姿の小さな雄を大量に付着させ、さながら鱗に覆われているように見える。雌が大型の肉食獣であるのに対し、雄は雌の分泌液を啜って生き、その身に宿す魔力を雌に提供しつつ、狩りの補助や繁殖などに消耗される。雌は外敵と遭遇すると、プラズマを発生させて攻撃する。


 人蚯蚓(ミールマ)……暗がりを好む魔獣で、洞穴や大きな木のうろなどに潜んでいることが多い。頭部と首、胴体と四肢があり、一見すると人に近いシルエットだが、関節がなく全身がくまなく稼働し、手足の先に指はなく先細っている。目や鼻や口からは、触手のようなものが(あふ)れて激しく動いているが、それは線虫という別の生き物。人蚯蚓と線虫は共生関係にあり、人蚯蚓は線虫を運ぶ乗り物の役目を果たすのと引き換えに、線虫が消化液で溶かした獲物を(すす)って生きる。この世界の学者の中には、人蚯蚓は元は闇地に潜った人間のなれの果てだと考える者もいるが、真偽は定かでない。


 二角地龍(エルムバウロズ)……体長三十メートル程はありそうな魚のウツボに似た魔獣で、頭から二本の角が生えている。闇地の奥でファナ・ローラルと戦っていた。なお、本編で名前は明かされない。


 幻視鼠(レマリ・セッチ)……ドブネズミに似た魔獣。他の生き物の視覚に干渉し、己を視認できなくする能力を持つ。ただし、欺けるのはあくまで視覚だけなので、魔力を知覚したり、嗅覚や聴覚の優れた相手には効果が薄い。幻視鼠は非常に知能の高い魔獣であり、己の不完全な能力を補うため、後述の人狗という魔獣を家畜化し、狩りの際には(おとり)として利用する。その隙を突いて自らは姿を消し、武器を使って獲物を仕留める。なお、自分だけでなく仲間(別種の魔獣なども含む)の姿を消すこともできる。


 人狗(バム・ベス)……幻視鼠に家畜化されている人面犬のような魔獣。狂暴な性質だが、魔獣としてはさほど強くない。


 鱗毬鬼(グリュー・ズーラ)……体高は二メートル以上、全身をカーキ色の甲皮に覆われた二足歩行の魔獣。筋肉質な人間に近い体で、顔はのっぺりと平たく、甲皮の隙間に小さな鼻孔と黄色い瞳の目が覗く。手の甲や、小指の根元から手首にかけて、手の側面に生えるスパイク状の突起と、太く長い尾が武器。甲殻は非常に頑丈なうえ、衝撃で体の内部を壊されても瞬時に再生する形状記憶体質。そのため人の手で(たお)すのは至難。


 雷鳴飛鱏(ツヴェル・ヤーチ)……雷を纏って飛行するエイのような魔獣。本編には登場せず、フュージが自分の槍の素材にするため狩ったと語っている。


 四手孩児(ヅマ・ヴェラ)……二足歩行で名前の通り四本の腕を持ち、体にはたっぷりの脂肪を蓄えている、カエルのような風貌の魔獣。見た目にそぐわぬ素早い動きで獲物に組み付き、岩をも粉砕する程の握力で相手の肉をちぎり取って食すという狂暴な習性の肉食獣。


 骸狼(アナ・ヴァン)……巨大な体躯が赤黒い毛に覆われたイヌ科の獣。群れを形成する。


 一角地龍(モルノバウロズ)……角の生えた巨大な蛇のような魔獣。口からガラガラという耳障りな威嚇音(いかくおん)を発する。


 嗤面蚰蜒(ディカ・ラッファ)……クモのような多脚の巨大な虫だが人間に近い顔を持つ。笑い声をあげながら凄まじい速度で走る。


 山砕蝦蛄(ゲルマ・アドラ)……巨大な節足動物型の魔獣で、折り畳んだ前腕を強靭な筋肉で引き絞り解放することで、凄まじい威力の打撃を繰り出す。本編には登場せず、ファナがこの魔族の腕を再現し切り札として使っている。


 擬人蟻(アティス・マフ)……二足歩行のアリのような姿で、低深域の闇地に地下コロニーを築く社会性昆虫型の魔獣。個体の力は然程でもないが、数百匹の集団で行動することが多いため、状況によっては高深域帯の魔獣を狩り殺すこともある。


 炮虫(エグズ・バルグ)……ハサミムシに似た、長い胴体に黒光りする体の虫型魔族。尻の先に円筒状の肛門を持ち、そこから爆発する糞を飛ばして敵を攻撃する。


 粘酸真核虫(アルバクター)……四階建ての建物ほどの体高のドーム状の体を収縮させて動く魔獣。体は薄茶色に透け、体内に血管や神経が縦横無尽に走っているのが外から見える。顔は虫のような見た目で、目は退化しているらしく、巨大な顎をそなえた口ばかりがよく目立つ。その口からは濁った溶解液が吐き出される。体からも酸を分泌しており、人間は近寄るだけで致命的なダメージを受ける。


 雪絲猴(ロクセノヴァ)……中型の猿のような魔獣種で、長い白毛に全身を覆われ、顔面と尻は青黒い肌が露出している。顔は異様に大きな目が突き出ており、乳白色の瞳が光を反射する。身軽ですばしこいうえに、鉄の鎧を(ひし)ぐほどの握力で、掴まれれば人体など紙細工のように潰してしまう。


 六角地龍(ハロラバウロズ)……山のごとき体躯が鎧のように硬くぶ厚い皮膚に覆われている四足歩行の魔獣。背中が大きく盛り上がり、巨大な前腕に鋭い鉤爪が伸びている。肩口から突き出た三対六本の角には螺旋状の溝が走り、これをドリルのように高速回転させながら突進することで敵を粉砕する。


 黒蠅鬼(ブラゲ・マーゴ)……蠅のような風体の二足歩行の魔族。ただし、口などは人間のそれに近く、昆虫と脊椎動物の特徴を併せ持つ。極めて高い知能を持ち、三対の腕に武器を持って戦う。


 擬人蜻蛉(タラト・マフ)……トンボのような姿だが、人間的な特徴も併せ持った魔族。透明な翅を高速で動かし飛行する。


 十一角地龍(イルマバウロズ)……体から数え切れのほどの針を生やした六本足の巨大な魔獣。針一本の長さは人の背丈を越え、先端からは強力な神経毒が分泌される。鎧兜のような頭部からは十一本の角が突き出ている。


 七角地龍(スレノバウロズ)……大型の地龍。体内で発生させた可燃性のガスとともに炎を吹き、広域を火の海にする。


 盾突亀(ランダ・トータヴ)……小城ほどもある体躯の、一見すると亀に似た魔獣。背負っている甲羅は、肩口から生えた副腕と繋がっており、背中から剥して前方に押し立てることで、盾として使うことができる。見た目と裏腹に脚は龍馬よりも速く、巨体ゆえに突進力もあり、行く手を遮るものすべてを押し潰しながら進む。


 獅子面(ラーガイフェ)蜘蛛(・スパイン)……人よりふた回りほど大きな蜘蛛のような魔獣。全身は剛毛に覆われ、正面には肉食獣の頭が付いているが、目は巨大な複眼。地上ばかりでなく壁面や天井でも張り付きながら高速で駆け、群れで狩りを行う。


 小群塊(ツァボラル)……後述する巨群塊の眷族(けんぞく)。人型、獣型、虫型に混合型など、個体によって形態は異なるが、一様に滑らかな白い肌で、全身に目や口や鼻をアトランダムにちりばめている。


 鎧獣騎(ウィシガヴル)……獣のような四つ足の下半身と、人に似た上半身の、ケンタウロスを彷彿(ほうふつ)とさせる魔獣。腕は六本生えており、それぞれが非常に細く長く、その先端は、手ではなくつるはしのような突起になっている。全身が騎士の鎧のような鈍色の甲殻に覆われており、頭部は獣の頭骨のような見た目で、窪んだ眼窩の中に赤い瞳が光る。


 剣角鹿(ソデオ・ヤァン)……鋭利な角を持った鹿のような魔獣。本編には登場せず、リーズとソニファの会話に出て来る。


 透喰蛞蝓(ドゥモ・ゲラル)……半透明の体に複数の眼球と口と肛門を兼ねる窄まった器官のついた軟体の魔獣。物語序盤の、闘技場での異世界人の選別で最初に登場したウミウシのような魔獣と近い種族。


 有鱗童(チル・ゲリクス)……闇地低深域に棲息するトカゲに近い見た目の魔獣。ただし顔立ちは人に近く、大きく裂けた口に鋭い歯が並んでいる。非力ながら素早い動きと、小さな群れで狩りをする習性が、冒険者や開拓民に恐れられている。


 煙吐蚋(グロ・ペッサ)……ハチやハエに近い見た目の飛行性の魔獣。


 飛火輪(バビル・リーン)……リング状の炎のような姿の、飛行性の魔獣。


 口凱虫(クァガラダス)……巨大な顎を持った甲虫のような魔獣。本編には登場せず、終章登場人物たちの会話に出て来る。


 眼吸鳥(キュリラス)……長い(くちばし)を持った、不気味な姿の鳥の魔獣。本編には登場せず、終章登場人物たちの会話に出て来る。



 ◆幻獣(副王)◆……五大闇地帯の頂点に君臨する魔獣。過酷な環境下で魔素を取り込み続け、進化の限界に達した生物種が、人類の繁栄によって生じた汚染魔素を取り込むことで同種間での殺し合いを繰り広げた結果、最後に生き残った個体。他の魔獣とは比較にならないほどの力を有し、単体でも人類を滅ぼせる程の力を持っている。


 絶影獣(ヴァルフェーン)……中央大闇地帯を支配する魔獣。全身を長い白毛に覆われた美しい獣。猫のように細身だが、四本の脚は体の大きさに対して馬よりも長い。顔は狼と狐を合わせたような見た目で、大きな目は鮮やかな青色。尻尾は長く、根元から三又に分かれており、先端から鎌のような突起が突き出ている。人の言葉を発する際には、幼い少女のような声で話す。

 音速を優に超える速度で駆けることができ、地上での戦いではほぼ無敵。本来、生物がそれ程の速度で移動すれば、慣性が働き肉体が崩壊してしまうはずだが、三又の尻尾が慣性制御装置の役目を果たすことで、力学的な制約から解放されている。また、大気を操り真空を作り出すことができるので、移動時に空力加熱で体が燃えることもない。

 性格は好戦的で誇り高い。魔獣でありながら高い知能と精神力で、汚染魔素のもたらす人への憎悪を克服している。それゆえ生物としてあまりに脆弱な人間のことは歯牙にもかけない。


 獄落鳥(ペルトライジャ)……火山大闇地帯を支配する魔獣。白く燃える巨大な鳥で、小さな太陽のように凄まじい熱と光を放っている。ただ飛翔するだけで地上のすべてを燃やし尽くすので、獄落鳥の飛び去った後には灰すら残らず不毛の砂漠だけが広がる。当然、人間では近寄ることすらできない。

 本来、幻獣は高い知能を持つはずだが、本編登場時にはある理由からほぼ理性を失いジョージェンス北部に甚大な被害をもたらしている。


 不凍體(ゼラスミリア)……雪氷大闇地帯の中心部に存在する謎めいた魔獣。体は透明で液状だが、トルソーのような大雑把な人型をとり、その体の中央で薄桃色の核石が光を放っている。凄まじい冷気を放っており、周囲どころか非常に広い範囲の気候を変動させる。知能や心は持っていないが、近寄るものがあれば、本体を形成する負温度の液体を飛散させ反射的な攻撃を行う。

 他の幻獣と比較しても極めて異質な存在であり、人に敵対的な核石を持つ生物ということで魔獣に分類されてはいるが、似たような生命体はこの世界で他に確認されておらず、どのようにして生まれたのか謎に包まれている。魔獣を研究する学者の中には、空の彼方から飛来した、別の世界から召喚されたなど、さまざまな説が唱えられているが、真相を知る者は存在しない。


 蜃楼妓(クーンピウロム)……湖群大闇地帯の支配者。幻獣の中では珍しく目撃例が多いが、その時々で異なる姿で確認されている。共通しているのは、美しい人間の女性の特徴を持つということ。本編においては、長く波打つ白金の髪に碧い瞳の完璧な容姿の美女として登場し、薄布を纏った姿で、常に(たてがみ)を持つ巨大な金の獣の上に寝そべっている。

 空間中の魔素を操ることで、かなり広範囲の生物の感覚や精神を思うままに操ることができる。非常に嗜虐的(しぎゃくてき)な性格であり、人間の心を弄んでいたぶることに悦びを見出す。


 天龍(スティグバウロゼス)……大山脈闇地帯の頂上に棲む龍の王。大型船程の大きさの体躯(たいく)で、全身が白銀の鱗に覆われ、首と尾は長く、脚は六本生えている。岩に覆われた山の上で活動するため、すべての足の先が人の手のようにものを掴める形状になっている。頭部には鬣じみた無数の角が生え、先端が(くちばし)のように尖った口は大きく裂け、六つの目は鮮やかな紅色に色付いている。

 飛龍でありながら翼は持たず、飛行時には背中に光輪が出現する。これは重力操作の魔法であり、体を浮かび上がらせた状態で、全身に備わった(えら)のような見た目の器官から魔力を噴射することで、空を泳ぐように飛行する。

 自身が飛行するために発展させた重力魔法は攻撃にも使うことができ、中でも口から発射される重力波砲は〝咆哮(ほうこう)〟と呼ばれ、大陸の形状を変えるほどの威力。



 ◆摂政◆……〝副王〟という肩書きを与えられ大陸各所に派遣された幻獣たちだが、元々群れることなどない孤高の存在であり、魔獣を従えることはできても、組織運営には絶望的に向かない。そこで、猿猴将が副王の補佐という名目で、幻獣に次ぐ立場を与えて同行させた魔獣たち。各国を支配する??軍のナンバーツーだけに、力も知能も優れている。


 十二角地龍(ゼファロバウロズ)……最強の地龍種。六足の巨獣で尻尾は長く、全身が赤褐色の緩く縮れた毛に覆われている。鳥と肉食獣の中間のような顔で、口は先が嘴状になっているが、大きく裂けた両端からは巨大な牙も覗いている。頭には十二本六対の巨大な角が生えており、光弾や落雷など、一対ごとに異なる能力を発動するトリガーの役割を持っている。


 人貌蝶(バーサ・ルファ)……蝶のように変態する魔獣で、成長する程に強くなる。本編では幼虫は登場せず、(さなぎ)は深紅の体の全身に単眼と複眼両方の目がいくつも付いており、その目で視認した敵を念動で攻撃する。

 成体は巨大な羽の生えた人型の魔獣で、体は灰色で華奢(きゃしゃ)、頭は大きく眼がない。羽は極彩色の絵の具を混ぜたように、刻々と色と模様を変化させる。蛹から続く攻撃方法の念動は、鱗粉を魔力媒体としたことにより効果範囲と威力が増している。また生き物の感情の動きを察知する能力を持ち、身を隠した敵の位置を探り当て、遠隔からの念動で一方的に仕留めることができる。


 悪龍猖獗(ニーヴルーン)……かつてハリストンの初代勇者によって封印されていた伝説の魔獣で、??軍では唯一、幻獣と同格の存在。体は巨大で蛇のように長く、表面は黒く光沢のある鱗で覆われている。その所々に紫色の薄膜の張ったヒレが生え、そこから凄まじい魔力が放出されており、体を宙に浮かせる。頭部は鎧のような甲殻に覆われ、口は大きく裂けて巨大な牙を覗かせ、先端は嘴のように鋭く尖っている。頭の中央には、赤く巨大な目が、ひとつだけ不気味に光り、後頭部からは長い鬣のようなものが生える。この鬣は人の親指ほどの太さの触手で、数千本生えているそれを伸ばして敵を攻撃できる。無論、巨体をうねらせた体当たりや尾激も破壊力抜群。最大の武器は口から放つ光線で、射程は非常に長く、直撃すれば一発で都市をも壊滅させる。


 虹石鞭手(ラウロ・スケイロス)……巨大な宝石の本体を触手が絡むようにして支えているという奇妙な見た目の魔獣。触手による激しい打撃が攻撃手段だが、その最大の脅威は、自身を中心として展開される魔法を無効化するフィールド。その中ではフィールド外で使われた魔法も多くは無効化されるため、虹石鞭手を討伐するためには魔法やそれに準ずる能力抜きで戦わなければならない。


 巨群塊(グラボラル)……城程の大きさの肉塊。表面には無数の目や口がアトランダムに配置されており、数え切れない触腕を自在に生やすことができる。傷をつけても瞬時に塞がり、魔法で大きく欠損させても肉が盛り上がって再生する。近寄る敵は触腕によって叩き潰すか捕食する。本体の動きが鈍い以外はほとんど弱点のない魔獣。しかも、体に女性器のような器官を形成し、人や獣などさまざまな形態の分体を大量に生み出し使役することもできる。



 ◆近衛◆……??の護衛のため王都に常駐する強力な魔獣。ただ護衛といって猿猴将以外は??の居城である黒曜宮の外を思い思いに動いている。それぞれの実力は〝摂政〟と同等かそれ以上。


 千遍万華(サウズフラブレム)……闇地に生える大樹の精、もしくは大樹そのもの。普段は地下に広く根を張り、幹も地中に身を潜めているが、いつでも地上に大樹を生やすことができる。闇地のあらゆる植物を生やすことができるうえ、植物を融合させて作ったアバターを大量に生み出すことができる。さらに、自分の養分として捕らえた人や魔獣に寄生植物をつけ使役することもできる。

 気の遠くなるような長い時を生きてきたため達観したような発言が多い。また長い生に()み、ある目的をもって人と戦う。


 金泥(エルドルブロ)……黄金に輝く不定形の魔獣。あらゆる攻撃に対し強い耐性を持つ。不定形であるため攻撃手段は非常に多彩。また、際限なく増殖し分裂するため、軍隊でも討伐することはできない。唯一の弱点は核石だけだが、体のどこに核石を隠しているのか見つける手段はない。

 元は闇地の奥で他の生き物の死体や排泄物にたかって生きるアメーバ状の単細胞生物に過ぎなかった。そのため強烈な劣等感を秘めており、美しい者や尊い者を(けが)して腐らせることに執着する。


 讐怨鬼(リヴルロイゼス)……朽ちかけた全身鎧に身を包んだ剣士。その正体は汚染魔素に侵された〝影人間〟だが、他のそれとは異なり自我を残している。汚染魔素を剣に纏わせることで強力な剣技を使い、人間離れした動きで人だったとは思えぬ戦闘能力を発揮する。

 元は高貴な身分の生まれで、理想に燃える高潔な人物だったが、裏切られ、すべて失い、絶望の中で闇地に迷い込み汚染魔素に侵された。しかし強烈な復讐心によって自我を保ち、??の配下となった今も復讐のために行動する。


 猿猴将(マジルゼラール)……屍喰猩々の群れのボス。最初に??の汚染魔素に侵され配下となったことで特権意識を持ち、??の参謀を気取っている。元々、屍喰猩々は賢い魔獣であったため、汚染魔素を浴びたことで高い知能を獲得しており、??による人類支配を実質的に取り仕切っている。徒党を組まれると??の脅威にもなりかねないと判断し、幻獣に〝副王〟という立場を与え、〝摂政〟という目付け役を着けて王都から遠ざけたのも猿猴将の判断。権力欲が非常に強く、??への忠誠と己の栄達のためにはあらゆる犠牲を惜しまない。

 魔族化の恩恵として、人間の脳を食らうことで相手の知識や能力を奪うという能力を得ており、大量の人間を捕食して来た。また、そうして得た能力を同族の群れでシェアするというもうひとつの力を秘めており、参謀であるとともに、群れぐるみで??の最後の護衛としての役目も担っている。



 ??……大闇地帯の汚染魔素が()()()()の体に入り込むことで生まれた得体の知れない存在。自ら放出した汚染魔素で魔獣を侵すことによって、高い知性を持った魔族に変化させ、己の眷族として使役する。??自身も闇地に滞留する汚染魔素を身に宿すことで、幻獣さえ大きく凌駕する力を使い、魔素を穢し続けた人の負の感情に従い人類への攻撃を開始した。

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― 新着の感想 ―
項目名入れ違いがあります。ネタバレ防止、くーんとぜらすです。 改めて設定見るとなかなか感慨深いというかなんというか…新作もお待ちしております。
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