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用語解説

 ここでは本編の設定や用語について解説する。以下、概ね本編に登場する順に取りあげていく。未読部分はネタバレになる可能性があるので閲覧の際は要注意。



 異世界人(被召喚者)……物語の主人公であるミツキをはじめ、異世界から召喚された生物。人間ばかりでなく、地球とはまったく異なる世界の生き物も大量に召喚されている。本編は、ティファニアという国に召喚された被召喚者たちが、コロセウムのような施設で〝魔獣〟という凶悪なモンスターとの戦いを強制されるところから始まる。何故に、どのようにして召喚されたのかを知るというのが、主人公と仲間のひとりの、この世界における行動指針のひとつとなる。


 魔法……この世界では当たり前に使われている、〝魔素〟という物質を操作することでなんらかの現象を引き起こす技術。


 魔素……この世界の万物に宿っているらしい目に見えない物質。魔法を使ううえで必要なだけでなく、人の生存にも不可欠。それゆえ、魔法を使い過ぎて過度に消耗すると、魔素欠乏となり最悪死に至る。


 魔力……魔素を使う際の力。機械にたとえるなら、魔素を燃料だとすると、魔力は馬力。


 魔獣……人類と敵対するモンスターの総称。闇地という土地に棲息し、例外なく人間に激しい敵意を示す。


 市民区と非市民区……序盤の舞台となるティファニア王都で、市民権を持つ民が住むのが市民区、市民権を持たない民が生活しているのが非市民区。前者は富裕層から中間層であり、貧困層である後者はスラム街を形成している。


 側壁塔……市民区を囲う城壁の塔のひとつ。とある事情から主人公たち異世界人は市民区にも非市民区にも身の置き所がなく、その中間にありながらどちらのコミュニティにも属さない側壁塔に収容されることになる。


 監督官……選別を生き延びた異世界人を管理する立場の人物。強い力を持った異世界人は制魔鋏絞帯(せいまきょうこうたい)という拘束具を装着させられており、符丁ひとつで動きを封じることができる。また、ティファニアの異世界人には死の呪いがかけられており、呪文を口にすると命を奪うことができる。監督官はその使用権限を与えられており、主人公たちは自由を奪われティファニアに使われることになる。


 神通……主人公のミツキが、サクヤの腑術(ふじゅつ)によって身に着けた能力。詳しくは「魔法と技」の頁を参照。


 シリー銀貨……ティファニアの市民区で流通している銀貨。市民区と非市民区では使われている貨幣が異なる。


 魔道具……魔法が付与された道具。生活必需品から軍の兵器まで、幅広く社会に流通している。


 転移塔……遠方に瞬間移動できる転移魔法を使うための施設。転移魔法は非常にその規模が大きく、魔導士ひとりで使うことはできない。そこで設置された魔法陣に常駐する魔導士が魔力を通すことで発動させる。なお移動先は別の転移塔に限られる。


 闇地……魔獣の生息域。詳細は「世界」の頁を参照。


 越流(えつりゅう)……闇地に棲息する魔獣が、闇地外へ大量に押し寄せる現象。他のファンタジー作品における「スタンピード」。


 水晶宮……ティファニア王都の中心に建てられた王宮。建物の大部分を構成するガラスのような建材は、後述の王耀晶。その美しさから王都のシンボルとなっている。


 王耀晶(ヴェリスティザイト)……ティファニア王家専属の魔導士と職人のみが創り出すことのできる魔素の結晶。精製技術は秘中の秘とされ、他国の間者に盗まれぬよう工房には厳重な警備体制が敷かれている。プレーンな状態ではガラスのような透明な物質だが、魔法を吸収するとその性質に応じて色を変える性質を持つ。魔法をかけると永久にその効果を留めるうえ、発動させるとその威力を強化させる。魔力媒体として極めて優秀であり、宝石としての価値も評価されている。ティファニアでは王耀晶を大量には生産せず、それゆえ流通もしていない。貴族や武人の功績に対する褒賞、他国の貴人への贈り物などの外交カードといった特別な理由でなければ個人の手には渡らず、その希少性ゆえ欠片程度の大きさでも小城ほどの価値が付けられる。


 副王領……王領を除く、ティファニアを構成する二十四の領。詳しくは「世界」の頁を参照。


 魔導兵装……複雑な機構を備えた魔道具の兵器。超文明国家であるカルティアによって輸出されているが、魔導技術を急速に発展させているバーンクライブがその開発に熱を上げている。


 彫紋魔法付与……肉体に魔法陣や術式の入れ墨を彫ったうえ、付与魔法を施すという技術。当人が魔法を使用せずとも恒常的に魔法の効果を発揮するというメリットがある反面、常に魔素を消耗するという大きなデメリットを伴う。


 祝福……魔法を使ううえでの特別な才能を示す言葉。祝福を持っている者は〝祝福持ち〟あるいは〝祝福者〟と呼ばれる。たとえば〝血の祝福〟を持つアリアなら〝血の祝福者〟と呼ばれる。その多くは特定系統の魔法に非凡な素養を見せ、詠唱をせずに発動させることができる者も多い。なお、祝福とは称号のようなものであり、各国の魔導協会などによって認定される。


 大闇地帯……闇地の中でも特に広大なもの。大陸には五つの大闇地帯があり、五大大闇地帯と呼ばれている。その中でティファニア北部に広がっている大闇地帯は中央大闇地帯(ティファニアでは北部大闇地帯)と呼ばれている。詳しくは、「世界」の項を参照。


 馬……この世界の馬は、現実の哺乳動物とは異なり、竜型と鳥型の二種類が家畜化されている。竜型はディノトプス、鳥型はパラケトラプラスと名付けられ、いずれも二足歩行である。前者は攻撃性が高く、両手に武器や盾を装備し、馬自体が戦闘に参加できる。それゆえ軍馬には竜馬を運用している国がほとんど。後者は素早くスタミナがあり性格も温厚で乗りやすいが、攻撃性は低くやや臆病なため軍馬には不向き。


 魔視……魔力を視認するための魔法。彫紋によって瞳に付与する。常時発動型の魔法ゆえ、体内魔素の少ない者には不向きとされる。


 影邏隊(えいらたい)……サクヤが重犯罪者を蟲憑きにして民兵軍の綱紀粛正(こうきしゅくせい)や戦場での武功認定などに利用した軍監(ぐんかん)部隊。平時は街の治安維持などに宛がわれた。部隊員は黒い軍服に身を包み顔をベールで隠している。サクヤの命令に忠実に従うが、意思を失った傀儡(かいらい)であるため、柔軟な立ち回りはできない。


 血獣(ラヴィ・ヅィーヴェ)……シェジア・キーフェが頭目を務める傭兵団。民兵軍に参加する以前は盗賊まがいの犯罪行為も行っていた。ただし、襲撃や略奪は民に非道を働く金持ちや支配者層のみを対象に行い、奪った金品は貧民に配っていたという。ゆえに、一部の民からは義賊として崇められていた。なお、民兵軍への参加と引き換えにすべての罪を特赦(とくしゃ)されている。


 精霊信仰……この世界の人間は精霊の実在を信じ、魔法も精霊の加護によって使えるのだと考えている。故に、人々は精霊を信奉している。ただ精霊信仰には、アニミズムの延長のような信仰形式で宗教施設というものがほとんど存在しない原初精霊派と、精霊神という絶対神を崇めており厳格な戒律が定められ布教活動も積極的に行われている神聖精霊派の二種類に大きく分かれている。なお、宗教国家ニースシンクは神聖精霊派の総本山である。


 魔導性合成脂……魔道機構技術の核に用いられる化合物。従来、自然素材を魔法の媒体として用いてきた分野に技術革新をもたらしたという。


 王命(ゼル)黒閃鉄騎団(グラーヴェン)……バーンクライブ王、アルハーン直属の魔導機兵団。国中から選抜された騎兵で構成されており、鉄騎を駆り長距離を移動し、魔閃砲で敵拠点を強襲する。鉄騎と魔閃砲は「武器、魔道具等」を参照。


 鉄騎兵……王命・黒閃鉄騎団に所属する兵士のこと。


 禁呪院……ティファニア中央政府で呪の使用や呪具の管理を行う魔術機関。国内では呪いの存在ごと秘匿されている。ミツキたちに死の呪いをかけたのも禁呪院の仕業。


 瘴癘呪詛(しょうれいじゅそ)……禁呪院が行使する伝染性の呪い。


 人造祝福者……先代のバーンクライブ王が配下の魔導研究者に命じ、実験によって作り出した祝福者。実験対象には幼い子どもが選ばれ、成功するまでに多くの死者を出している。実験施設はアルハーンの命を受けたベルレ・ダンドール率いる部隊に強襲されて壊滅。保護された人造祝福者はアルハーンの配下となったが、実験の弊害で皆短命であり、物語本編ではファナ・ローラルひとりを除いて既に皆死んでいる。


 汚染魔素……人間の悪意に染まった魔素。


 純粋魔素……魔法などによってなんらかの性質に染まっていない、純粋な魔素。


 幻獣……五大闇地帯の頂点に君臨する伝説の魔獣。詳細は「魔獣」の頁を参照。


 渡隼(ツィーラ)……猛禽(もうきん)の使い魔。人が使役する生き物の中でもっとも速く遠距離を移動できるため、緊急の手紙を届ける際などに使われることが多い。


 大聖女……精霊信仰神聖精霊派において〝聖女〟とは、単に尼僧を示す言葉だが、その頂点である〝大聖女〟は宗派の象徴として崇められる特別な存在であり、宗教国家ニースシンクの教皇と並ぶ権力を与えられている。


 絶対防衛線……とある理由から中央闇地帯北側の広範囲にて断続的に越流が発生した際、バーンクライブ軍が設定した最終防衛ラインのこと。


 王選将……軍事大国ジョージェンスには、国でもっとも強い武人を王に選ぶというしきたりがあり、その候補の武将が王選将。席次が高いほど王に近い立場であり、上席の武将に決闘で勝つことで席を入れ替えられる。王や王選将の戦いを〝選王戦〟といい、国で指定された闘技場で行われるのだが、見世物として公開されジョージェンスの国民にとって最大の娯楽となっている。


 勇者……覇権国家ハリストンが国でもっとも優秀な魔法戦士に与える称号であり、現勇者であるヴィエン・シンの武力は、個人では世界最強と言われている。勇者の起源は、国を滅ぼしかけるほど強大な力を持った龍型の魔獣を封印した流浪の戦士に送られた称号だと言われている。


 精霊騎士団……ニースシンクの騎士団。団員全員が神聖精霊派の信者であり、厳格な戒律を課せられている。また、神聖精霊派は信仰国から〝祝福持ち〟を集めて騎士に仕立てるケースが珍しくなく、それゆえ魔法的素養に優れた人材を大量に(よう)している。


 聖都防衛軍……ニースシンクの聖都シュパリエにおいて、精霊騎士団とは別に、都市を防衛するために存在する軍事組織。精霊騎士とは異なり魔法的な素養による選抜はなく、それゆえ騎士団ほどの戦闘能力は、組織としても個人としても有していない。


 魔増楔挿術(まぞうけっそうじゅつ)……先代のバーンクライブ王に仕えた魔導研究者、フソヨ・ヴンランが編み出した秘術。特殊な刻印魔法を施した(くさび)を人体に打ち込むことで、対象の潜在的な魔素を活性化し魔力を引き出したり、魔力を暴発させ自爆を促すなど、さまざまな効果を与えることができる。


 風翔鼯(スロッチス)……リスの仲間で、腕と脚の間に被膜を張って滑空する小動物。体の大きさの割りに体内魔素量が多く、魔力を風に変えて吹かせることで、いつまでも落ちずに飛ぶことができる。加えて齧歯類(げっしるい)にしては賢く、使役しやすいので、使い魔として好む魔導士も少なくない。


 黒曜宮……ある理由から、ティファニア王都の水晶宮が汚染魔素に染まったうえ、その形状を大きく変えた建造物。

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