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人物その2

 ここでは第十章以降に登場する人物を紹介する。


 ◆ジョージェンス◆


 フュージ・ディッツ……ジョージェンス軍の武官で王選将の七席。黄みがかった金髪を逆立て、ターコイズカラーの目を鋭く釣り上げた、ナイフのような危うさを滲ませた青年。〝雷槍〟の異名を持つ〝迅雷の祝福者〟。〝雷獣の槍(ゼルセズ・ランティア)〟という特注の得物を愛用し、雷を(まと)っての格闘戦を得意とする。性格は不敵で尊大。ジョージェンス以外の国の人間を見下したように振る舞う。ただし自分を負かした相手や恩人に対しては好意的に接し、命懸(いのちが)けで義理を通す気概(きがい)も持っている。


 エヴィエ・ティメフ……ジョージェンス軍の武官で王選将の九席。高齢ゆえ選王戦では負けが込んでいる。


 ラース・ヘルツ……ジョージェンス軍の武官で王選将の次席。緩くウェーブがかった鉄紺(てつこん)の長髪を無造作にまとめ、丈長のスケイルアーマーの上に群青色に染めた魔獣皮革のプロテクターを装着している三十代前半ほどの女性。キツネを想わせる顔立ちで、普段は糸のように目を細めているが、感情が高ぶると大きく見開くのが癖。フュージが畏れるほど苛烈な性格で、敵にも部下にも容赦というものがない。一方で、相手を見て態度を変える柔軟さも持ち合わせている。ミツキいわく「ニトログリセリンのような女」。


 ヨゼフ・ボッファ……ジョージェンスの宰相。武力をなにより尊ぶ国に貧弱な肉体で生まれたことから、文官として身を立てる道を選んだ苦労人。そんな身の上が影響し、極めて保守的な思想を持つ。



 ◆北部諸国連合◆


 ラムドゥール・シャンタッラ……北部諸国連合の盟主である異世界人。濃い茶褐色の肌色をした巨体の男で、尋常でないほど筋肉が盛り上がっており、体毛はまったく生えていない。その肌には、文字のような模様の白い入れ墨がびっしりと彫られている。瞳は白いため、一見すると白目を剥いているように見える。徒手空拳で戦うが、打撃の瞬間に己の体内で練り上げた魔力を放出することで、凄まじい破壊力の攻撃を繰り出す。

 元はシャーメスという小国に召喚され、他の異世界人と同じように戦奴として使われていたが、自らの信仰を布教することで己の信徒を増やし、シャーメスや周辺諸国を新興宗教の力で実質的に支配するに至っている。彼の信仰する教義はクシャーラナーグルーダと呼ばれているが、その詳細は本編では語られていない。



 ◆ハリストン◆


 ヴィエン・シン……この世界で最強と言われているハリストンの魔法戦士。〝勇者〟の称号を持ち、異国(主にジョージェンス)との紛争や魔獣の越流への対応など、任務のため広大な国の中を常に移動している。〝光の祝福者〟で、彼が自ら編み出した攻撃魔法は、この世界のすべての魔法の中で最高の破壊力と評価されている。


 ミラ・シン……勇者ヴィエン・シンの双子の妹。彼女自身も〝祝福〟持ちながら、生まれついて体内魔素が少ないため才能を使いこなせていない。それゆえ、能力自体は血を分けた兄とまったく同じだが、彼女の〝祝福〟は威力の低さゆえ〝仄明かりの祝福〟と名付けられている。幼少期から持病のため部屋から出ることができず、兄以外の家族に疎まれていたが、〝祝福持ち〟であると判明したことにより父親がニースシンクから治癒魔導士を招き、回復した。その後、兄を追いかけ軍に入るも、周囲からは〝勇者の出涸らし〟と(さげす)まれて来た。そういった生い立ちもあり性格は控えめで気弱だが、実は優しさと芯の強さを持ち合わせている。


 オキシ・ジャカッセ……ハリストン軍の士官で豪商の息子。愛国心が強く仲間から慕われている。とある理由からミラと対立する。


 ゾブァイ・ケイラグ……ハリストン軍総大将。とある理由から酒浸りとなっている。


 グィラル・フェンデ……ミラの部隊の副官。経験豊富な軍人。頭は禿げ上がり、顔の下半分は白髪混じりの髭に覆われている。ヴィエンやミラの生家に雇われていた時期があり、それゆえふたりを〝(ぼん)〟〝(じょう)〟と呼ぶ。


 ヴァニ・カッツィオ……ミラの部隊で切り込み隊長を務める女性兵士。赤毛を両サイドで束ね、体は細身だが引き締まっている。非常に快活であり、常に明るく振る舞うムードメーカー。ミラとは友人関係だが、同時に彼女を〝推し〟と認識しており、過保護に接する。実は特殊な出自ゆえ戦闘能力が非常に高く、また、普段の根明(ねあか)さからは想像もつかない程に酷薄な一面がある。


 リール・ラル……ミラの部隊の魔導士で、魔導士部隊を束ねる実力者。魔獣の頭骨を加工した魔道具を頭に被り、体は漆黒のローブを纏っている。かつてはハリストンの魔導協会に所属し、将来を嘱望(しょくぼう)された研究者だったが、しがらみを嫌って野に下ったという経歴の持ち主。


 ヴァル・ターメリク……ハリストン西部から兵を率いて軍に加わった武官。


 ロイリー・キステン……ミラの部隊の若い士官。有能でグィラルの代理を任されることもある。


 トリスタ・ルッツァ……王都第三騎士団団長で将軍。獲物は斧を愛用している。


 レヒト・デューラ……ハリストン王の親衛隊員。隊で最強との評価を得ている。魔法剣の使い手。



 ハマ・アザー……バーンクライブへ避難していた魔導士。義勇兵として絶対防衛線で戦っている。



 ◆ニースシンク◆


 マルリット・ティラ・シャール……ニースシンクの〝大聖女〟。二十代前半。青みの強いアースアイの瞳に雪のように白い肌、波打つようなサンディブロンドの髪の美女。神聖精霊教の象徴にして教皇と並ぶ権力を与えられた存在。性格は慈愛に溢れ、特に弱者への思いやりを欠かさない。また教団のトップでありながら、状況次第では教義を曲げることもあるなど、柔軟な思考の持ち主。〝大聖女〟に選ばれるためには強大な体内魔素と魔力の持ち主であることが条件であり、彼女も非凡な魔法的素養と〝祝福〟を持っているが、その能力については教団によって厳重に秘匿(ひとく)されている。


 クリッサ・ディル・ピジャン……精霊騎士団聖庁衛士分隊総長。マルリットの護衛騎士。ショートヘアに切れ長の目の麗人。性格は生真面目でやや融通の利かないところがある。マルリットを深く敬愛するあまり、彼女に不用意に近付く者や礼を示さない者に対しては攻撃的になることが多く、それがトラブルの種になることもある。魔力による疑似生命を生み出す〝獣精の祝福者〟。


 ヨルマ・ティエ・オブスズ……神聖精霊教のトップである教皇。温和な性格で国民や信者から慕われている。強力な防御魔法を操る〝壁の祝福者〟。


 ヘリス・ヴァロ・ムール……教皇に次ぐ立場の枢機卿(すうききょう)。痩せぎすで目つきが鋭く、いつでも冷淡な口調で話す老僧。時に教義を軽んじるマルリットに苦言を呈するなど規律に厳しい人物。実は元精霊騎士団長で、若かりし頃は優秀な魔法戦士だった。


 ミケラ・ラ・ジャロ……司祭長。人の良さげな中年男。体型は太り気味。



 ショーマ・ガウアール……ニースシンク軍精霊騎士の青年。たれ気味の三白眼で、片目が大きくうねった長めの髪に隠れている猫背の男。非常にネガティブな性格で、常に弱音を呟いている。氷雨を降らせることのできる〝雹雨の祝福者〟。


 ケイミ・セージュ……ニースシンク軍精霊騎士の女性。そばかすの多い顔に丸眼鏡をかけ、硬い質の薄茶髪をふたつ結びの三つ編みにしている。整った顔立ちではあるのだが、常に()びたような笑みを浮かべており、相対する者に卑屈(ひくつ)そうな印象を与える。マルリットに心酔しており、彼女に認められるためには命を懸けることも辞さない。魔法で地中からオイルを噴出させる〝油膜の祝福者〟。


 マジル・デラ・エウリッツ……精霊騎士団分隊長の青年。名家の出身で強力な〝祝福〟を持つうえ、頭も切れ剣の腕も立つ。実力相応に野心家で、尊大な性格。ニースシンク軍を率いるクリッサに対抗意識を燃やしている。〝力場の祝福〟の攻撃魔法は同軍の中でもトップクラスの破壊力。


 ヒニャーク・ドスキー……マジルの部下の精霊騎士。〝空操の祝福者〟。


 デーブ・ルビット……マジルの部下の精霊騎士。〝地操の祝福者〟。


 イルズ・ジョバワル……クリッサの部下の精霊騎士。優秀なスカウト。


 アナルト・アト……ニースシンク軍の魔導士。使い魔を用いた偵察を専門とする。


 ギム・リ・ヨンネル……聖都奪還作戦本隊指揮官。精霊騎士ではなく、聖都防衛軍の大隊長だった壮年の軍人。


 ブアル・ファラーニ……ニースシンク軍の経理士官。


 イザイ・ドゥブー……精霊騎士団第三師団副師団長。



 ◆ペラーレ自治区◆


 リヤ・プンヴァリガル……ペラーレ自治区の寒村に住む少数民族の少女。村を盗賊に焼かれ、バーンクライブ軍基地へ助けを求めに来た。



 ◆バーンクライブ反乱軍◆


 カーヴィル・ディア・バーンクライブス……先代バーンクライブ王の御落胤(おとしだね)を自称する青年。国に反旗を(ひるがえ)すための拠点としてペラーレ自治区の首都クールルを攻め落とそうとする。


 フソヨ・ヴンラン……カーヴィルを擁立(ようりつ)する老齢の魔導士。魔増楔挿術(まぞうけっそうじゅつ)の開発者。


 十五番……カーヴィルによって使われている〝人造祝福者〟の女。任意の空間に不可視の疑似物体を創り出す〝創質の祝福者〟。


 二十三番……カーヴィルによって使われている〝人造祝福者〟の男。生き物に寄生し操作する〝寄操の祝福者〟。



 ◆ディエビア連邦◆


 アニエル・ブロンズヴィー……ディエビア連邦の中の一国、マキアスの大統領。革命戦争の四大英雄のひとりで、アキヒトとヒカリの盟友。肩の上まで伸びた金髪をオールバックにした偉丈夫で、顔の彫りは極端に深く、アンバーグリーンの瞳に太い眉毛と長いまつ毛、割れた顎が特徴。性格は大胆にして豪快。突飛な行動や頻繁な高笑いなど奇行が目立つ一方、他人を導くカリスマ性があり、配下やマキアスの国民には慕われている。泥を自在に操る〝泥濘の祝福者〟。


 ラジイ・ミール……マキアスの副大統領。政治的手腕については凡庸なアニエルを陰で支えるキレ者。


 アレル・アーシヤ……元革命軍次席魔導士で、革命戦争後はアキヒト達と(たもと)を分かち、マキアスの魔法省に籍を置いていた。ラジイの依頼を受け、とある〝迷宮〟の探索へと赴く。〝風翔鼯(スロッチス)〟という使い魔を使役する。


 カハン・クシナウ……元革命軍の魔法戦士の女性で、〝迷宮〟探索隊の一員。魔法で鉄の壁を創造することのできる〝鉄壁の祝福者〟。


 ゴドフロワ……異世界人の剣士で、かつては革命軍に所属していた。クセの強い黒髪が顎まで伸びて陰気な顔を半分覆っている大男。革命軍時代はトモエと同等と評された実力者で、十字型の大剣を愛用している。また非常に信心深い性格なのだが、それゆえに異世界の神や宗教など知らないこの世界の人間からは、理解し難い人物と思われがち。革命戦争後は隠棲(いんせい)し、祈りの日々を送っていたが、アレルらとともに〝迷宮〟の探索を依頼される。



 セイリュウ……体の大部分が青い鱗に覆われた女性の異世界人。全身に魔力を帯びることで元々の身体能力の高さをさらに大きく底上げすることができる。性格は武人然としており勇敢だが、好戦的というわけではなく、常に落ち着いて周囲を見ている。召喚後は魔法で意思を奪われ戦奴にされ革命軍の前に立ち塞がったが、銃を得たフレデリカによって倒された。その後、マキアス南東の果てにある大坑穴監獄に収監されていたが、自由の身になることと引き換えに、ある任務に参加することとなる。


 カークス……異世界から召喚された魔人。顔は深紅の長髪で隠れ、体には赤い筋が何本も走っている。両肩から生える二本の偽腕から高熱の波動を発生させ、攻撃対象を焼き潰す。性格は粗野で乱暴だが、自分より強い相手には強気に出られないこともあり、やや精神的に弱いところがある。召喚後は魔法で意思を奪われ戦奴にされ、革命軍の前に立ち塞がったが倒され、その後、マキアス南東の果てにある大坑穴監獄に収監されていた。


 カブラカン……異世界から召喚された怪力の巨人。岩のような肌で、顔には赤い宝石のような目が無数に散らばっている。禍々(まがまが)しい見た目に反して性格は温厚かつ臆病で、子どものように振る舞う。召喚後は魔法で意思を奪われ戦奴にされ、革命軍の前に立ち塞がったが倒され、その後、マキアス南東の果てにある大坑穴監獄に収監されていた。


 ロゼッタ……異世界から召喚された浮遊する黒い板。宙に浮かんでいるばかりで生命活動は認められないが、時折、表面に緑色に光る文字のような模様が浮かび上がる。攻撃を受けると魔力の被膜を張り防御する性質がある。革命戦争では体制側の軍が城の入り口の防衛に利用していた。戦後は破壊することもできないので封印されていた。


 エリュニス……異世界から召喚されたコウモリのような女性の亜人。腕が翼になっていて飛行可能であり、口から超音波を発して攻撃もできる。ただし、もっとも特筆すべきは知覚能力で、視力と聴覚、魔力探知能力が異常に発達し、あらゆる危機を事前に察知できる。視力が良すぎるので、普段は目を遮光帯(しゃこうたい)で覆っている。見た目に反して性格は明るく軽薄。召喚後は魔法で意思を奪われ戦奴にされ、革命軍の前に立ち塞がったが倒され、その後、マキアス南東の果てにある大坑穴監獄に収監されていた。


 ナ・キカ……異世界から召喚された、頭部から触手を生やした亜人。二十四本の触手がマントのように体を包んでおり、顔は目と鼻の穴だけ。白い肌は光沢を放っており、顎がなく遠目には布を被っているように見える。触手の下に武器を隠し、戦闘では二十四本の触手に得物を持って攻撃する。この世界の言葉を話すことができず、声を発してもなにを言っているのか誰にもわからない。ただし、本人は言葉を理解しているようで、一方通行的なコミュニケーションは可能。召喚後は魔法で意思を奪われ戦奴にされ、革命軍の前に立ち塞がったが倒され、その後、マキアス南東の果てにある大坑穴監獄に収監されていた。



 ◆ティファニア王都◆


 クレス・ナイア……とある人物の弟子。ずば抜けた魔法の才能の持ち主。自分を拾ってくれた師に深く感謝し慕っている。


 リエッタ・ヴァミル……ティファニア軍衛士の少女。クレスに対抗意識を持つ。


 セアス・エオデッリ……リエッタの仲間の少年兵。

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