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七十一話

次回、とりあえず最終回! になる予定です!

「テイル!」


 息つく暇もないタイミングで、シェリーが俺に抱きついて来て、


「は! いやぁぁぁぁぁぁ! 私ったら、なんて……」

 物凄い速さで遠ざかっていく。

 いや、もうなに?


「ふざけるな! ケットルシーが負けたぐらいで……」


「そうだ! そうだ! まだ我が軍の精鋭は……」


「「「陛下!!」」」


 ハラル、リムル、どっちがどっちの王子だか、分からない。

 が、叫び、再び攻撃を仕掛けようとした時、橋から伝令らしき兵士が声を上げる。


「「「帝国軍が、我が国の境界を越えました!」」」


「「……」」


 三国の伝令に、口を閉ざす両王子。

 ライアンだけが微笑を湛えていた。


「ど! どどど……どうする? 主力部隊は、ここにいるのだぞ!」


「て……撤収だ! すぐに本国に帰るぞ!」


 慌てふためく二人の王子を尻目に、俺はリュカを見る。


「へへへ。皇私はただ、帝陛下に三国の主力がエターナに集結してるって、情報を流しただけですよ」

 なんて、照れながらやって来た。


 おいおい、たった一日二日で、大軍を動かせるものなのか……?

 いや、あの女狐…………。

 もしかして狙ってたな。


「リュカ。あの女狐に伝令を出せ。ケットルシーの王子は帝国の盟友となり、残りの二国は…………俺は知らないと」


「了解です!」


 笑顔で走り去る彼女見送りながら、俺は肺に溜まった空気を吐き出すように、深呼吸をして……脱力感に襲われた。


「テイル!」


 脱力する俺に、シェリーが再び駆け寄ってきた。


「大丈夫だ。まだ、やらなきゃならない事がある」

 俺は気が抜けると、一気に砕けそうな足腰に鞭打ち、貴賓席の宰相に視線を向けた。


「エターナ宰相ローマン! あんたの負けだ! 俺に大人しく降参すれば、一応、生きていくだけの財は残しておいてやる! だから、なるべく早めに降参しろ!」

 俺はシェリーに肩を借りながら、出来るだけ周りに聞こえるよう声を張り上げた。


「な⁉ 何を言っている! 国を裏切って……」

 宰相がガタリッと席を立ち、反論の声を上げようとした瞬間。


「号外、号が~~~い!」


 事の成り行きを見守っていた市民の間から、良く響く声が聞こえた。

 しかも、同時に複数の場所で。


「いままで宰相が行ってきた悪事が、この紙に満載! 見ないと損だよ!」


 何事かと困惑する市民に、ビラを配り始める気品あふれる、美少女メイドたち。

 当然、男たちはビラを求め、列をなす。

 メイドさんと、少しでも話がしたいため。

 だが、そのビラの内容は、驚くべきものだった。


『宰相ローマンのこれまでの悪事特集!


・シェリー姫暗殺未遂一〇五回。


・シェリー姫の婚約者暗殺未遂二〇三回。


・王家に無断で特別税収を行なった事、一七回。


・他国の貴族の接待として、必要経費を誤魔化したこと、二〇五四回…………』

 その他、色んな悪事が書き連なっていた。


「あ~あ。だから言ったのに。リアは俺より容赦が無いから、早めに降服しろって!」

 まあ、詳しくは説明してないが……。


「う! 嘘だ! これは帝国の情報操作だ! 国民よ! 騙され……」


「ご心配には及びません。このビラには、ちゃんとエターナ第一王女の印が入ってますから」

 狼狽えまくる宰相……いや、もうただのローマンでいいか? に、微笑でビラを渡すリア。


「…………ぐっ…………ぐふうう…………」


 ビラを見て、その場でくずおれる宰相。

 どうやら、自分でも弁解の余地が無いと分かったようだ。


 俺も見せて貰ったが余談を許さない、恐ろしく用意周到な内容だった。

 本当にリアが敵でなくてよかった。


「エターナ国元宰相ローマン! 数々の容疑により、エターナ第二王女、シェリーの名の元に拘束する! 速やかに縛に付け!」

 俺のすぐ横で響く凛とした声に、エターナの騎士が精も根も尽きた状態のローマンを引きずっていった。


「これで、一件落着なのか?」

 長かった。

 この二年間。

 本当に長かった。


「テイル?」

 俺の横で、優しい瞳を向ける少女。


「ああ……だい……じょう……ぶ……どうやら……緊張の糸が……ぶっちぎれたみた……」

 俺は、そんな事を言って意識を失った……。


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