五十七話
すみません。更新時間少し遅れました。
「敵将を捕えました! 我が魔王軍の勝利です!」
イリーナが持っていた剣を天に向かって突き出す。
「「「「「うおぉぉぉぉぉぉ!」」」」」
鉄騎兵が武装を解除していく中、魔物の雄たけびが響いた。
「よし、全軍攻撃中止! 武装解除した者から泥水の中から上げてやれ!」
イリーナからの合図を確認した俺は兵士たちに告げた。
「やりました! 敵大将に止めを刺した私って、一番手柄じゃないですか?」
本陣を落としたイリーナがこちらに戻りながら、にこやかに勝利宣言をするが、
「何言ってるんですか! 私の部隊が鉄騎兵の機動力を奪ったんですよ! 今回も私が一番です!」
普段はおとなしいリュカも、声を上げた。
「待て待て二人とも、そもそもイリーナが敵本陣に着くまでの時間を稼いだのはわっちじゃ。わっちが一番じゃ…………!」
「私ですよ! あの負傷した所なんか、舞台女優も真っ青な演技だったでしょ!」
馬を降り、ムフンッ! と胸を張るイリーナ。
「何を言っておるのじゃ! わっちが鉄騎兵を引きつけてたからこそ、敵はぬしの事など忘れておったのじゃ!」
シオンも負けじと対峙した。
ご自慢の胸を突き出す二人の隊長に、周りの魔物どもは勝利の余韻も忘れて息を飲む。
「二人とも! また私を無視しないで下さい!」
そこに参戦したのは、末の妹分のリュカ。
彼女も負けじとささやかな胸を張るが、どう見ても戦力的に差がありすぎる。
だが、
「がんばれリュカ様!」
「俺たちがついてるぞ!」
「俺はその胸についてきたんだ!」
なにやら人間の法律では完全アウトなことまで聞こえた。
「おいおい、まだケットルシーを降しただけだ! 戦功なんてまだ先だ! しかもイリーナ、いまだ呆然としているから良いようなものの、敵将であるライアンを野放しにするのはどうかと思うが?」
「それは……そうですけど……」
言い訳がましく、左右の指を突き合わせるイリーナ。
「ふふふ。一点減点ですね!」
「そうじゃな。これで…………!」
ニヤリッと笑ったシオンだが、次の瞬間、表情を引き締めた。
そればかりかリュカも身構え、イリーナまでも剣を構えて戦闘モードに入っている。
「ライアンが負けただけ! エターナは、私と私の国はまだ負けてはいないわ!」
漆黒の巨馬にまたがり、やる気をみなぎらせた瞳を真直ぐこちらに向けたシェリーがいた。
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