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四十八話

短くて済みません。

「「敵騎馬隊五百。突っ込んできます!」」

 エターナ、ケットルシー両軍の伝令が叫ぶ。


「騎兵はライアン殿下に任せて、こちらは敵主力部隊に進軍を開始する!」


「「「おおう!」」」


 騎上でシェリーの凛とした声が響き渡ると、大地を揺るがし、二千の兵が動き出す。


 エターナ軍が魔王軍の本陣を潰しテイルを捕えれば、エターナが一番活躍したことになる。

 そうすれば婚約の話なんて無効にして見せる。


「そして、もう一度テイルと……だからテイル。今度こそあなたを捕まえてみせる!」


 シェリーはグッと奥歯を噛みしめ、テイルがいるだろう敵本陣を睨みつけた。

 のだが、


「あれは……」


 シェリーは、視線の先に一騎の騎馬を見つけた。

 その騎馬が近付くにつれ、彼女の胸がドクリッと跳ねた。

 心配で、心配で、心配で……。

 いったい何日眠れぬ夜を過ごしただろう?


「……テイ……ル?」


 シェリーは我を忘れ、全軍の進撃を急停止。

 近衛騎士の静止を振りきり、視線をその騎馬に固定したまま先頭へと馬を走らせた。

 

 次第にはっきりしてくる輪郭。

 それに、


 寝癖の付いた髪。

 眠たげなまなこ。

 ダルそうな口調。

 そして、


「ようシェリー! 元気だったか?」


 まったく緊張感のない口調。

 影武者じゃない。

 間違いない。

 

 彼女の知っている、本物のテイルだった。


「あ、て、ぶじ……」


 言葉にならない感情が溢れだし、口に手を当て必死で涙をこらえるシェリー。

 それを見たテイルは、一瞬だけ申し訳なさそうに微笑む。


 だが、彼の口から出たのは、


「シェリー。悪いけどこの戦、勝たせてもらうよ!」

 

 なんの感慨も無い、開戦の合図だった。


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