三十三話
リサの回です。閑話です。
姫様の部屋から退出し自室に戻る間。
私は頭を垂れたまま、足早に自室に戻ります。
そして、
「ふっ……。ふふふふふふっ!」
自室の扉えを閉めるなり我慢に我慢を重ね、耐えていた笑みがこぼれます。
見ました?
見ましたあの笑顔!
私はあの笑顔を見るために、生きているのです!
あの若造。もといテイル様がいなくなって数年、ようやくあの笑顔が見れました!
「ぐふっ。ぐふふふふふ」
おっと、淑女らしからぬ声が漏れてしまいました。
まあ、自室だから問題ないでしょう。
でもまさか、あの笑顔を見られる日が来るとは……。
そのままお持ち帰りしなかった自分を褒めた上げたい!
もうテイル様はいらないかも!
……いえ。いります!
彼がいなければ、私は誰とシェリー様の話をすればいいのですか!
この数年、私の脳内に貯めに貯めたシェリー様のお美しい姿を、誰に自慢しろと言うのですか!
新参者や、にわかファンではダメです!
私が数分話しただけで、賢者のような遠い目をしてしまうのですから。
「……やはりテイル様でないとダメですね」
くぅ~~!
シェリー様の事を、彼に話したい! 自慢したい!
話して悔しそうな顔を、ドヤ顔で見下ろしたい!
「……ふう。どうやら私も限界のようです」
独り占めできるのは嬉しいのですが、この想いを貯め込んだままでポーカーフェイスをしているのも辛くなってきました。
そろそろテイル様を呼び戻しましょう。
そして、ここ数年間のシェリー様のことを、思う存分テイル様に自慢しましょう!
「まずは、余計なことをしている、宰相を探りましょうか……ふっ。ふふふふふふふふ」
数年前からつまらない事をしている彼の悪行をさらし、シェリー様に褒めてもらう想像をし、今夜は眠りにつきます。
そう。今宵のシェリー様の笑顔をオカズに…………。




