↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/75

十七話

メインヒロインが大活躍!

「ベーゼ将軍! 第二防衛ライン突破されました!」

「第三、第四ラインも突破され、残すはカロス少将の最終防衛線と、この本隊を残すのみです!」


 次々来る不愉快な報告。

 司令部の仮設テントの中で、ベーゼは苛立ちを隠さなかった。

 数時間前まで、覆しようのないほど優勢だったはず。

 そしてそのまま占領した土地の特産品を持って凱旋し、フランソワと楽しいひと時を思い描いていた。

 だが現在の状況は、敗戦色にどっぷり染まりつつあった。


「たかが、女騎士一人になにを手間取っておる! そんなもん、囲ってしまえば良いではないか!」

「ですが、敵騎馬の速度が尋常では無く、突破された陣の魔物ではまったく追いつけない状態です」

 都合の悪い事を言う伝令は、全て死刑にしてやろうかと思う。

 それほどまでに悪い報告ばかり来ていた。

「大丈夫だ! カロスは家柄も良く、頭の切れる……」

「カロス少将の部隊、突破されました!」

「……あの、役立たず! こうなれば槍のベーゼと呼ばれたわしが、その騎士の首取ってくれるわ!」

 そんな噂すら聞いた事の無い側近が呆然としている間に、ベーゼが槍を持ってテントから出てっ行ってしまった。


「どこだ! どこにいる! エターナの騎士め!」

 身の丈の倍はある長槍に思いっきり振り回され、喚き散らすベーゼ。

「ここだ、魔王軍の豚!」

 半狂乱のベーゼの背後に、現れる人馬。

 それはまさに、絵画のような完成度を持つ景色だった。

 周りを魔物に囲まれているにも関わらず、静かに剣を構えたたずむ少女。

「お、おおお! これは……私が求めていた理想の少女!」

 正気に戻ったのか、それとも違う次元でおかしくなったのか?

 槍を動かす手を止め、すでに肩で息をするベーゼが食い入るようにその姿を凝視する。

 黒馬に乗り、長い銀髪を黒く大きなリボンで束ねる少女は、その青緑の瞳でベーゼを異物として見下す。


「はあ。はあ。そのワシを見下すような瞳……お前、ワシと愛人契約しないか?」

 突然の提案に彼女は意表を突かれ戸惑うが、すぐにその視線を冷徹なものに戻した。

「お前が、ここの大将か?」

「いくらなら契約する? わしは帝国大将だから、いくらでも金を出せるぞ!」

 まったく噛合わない会話に、短く嘆息する少女。

「……こんな国にあいつはいるの?」

 呆れを通り越し、怒りすら感じている彼女の態度に気付かず、なおも言い寄るベーゼ。

「ああ! 鬱陶しい!」

 彼女の我慢の限界が超え、剣を振り上げるが、

「…………なんだか、剣が穢れるような気がする」

 直観的に何かを感じ、敵から奪った剣に持ち替えそれを振るう。

「うほぉぉぉぉ!」

 服を切り刻まれるたびに、奇声を上げるベーゼ。

「キモ!」

 その奇声に嫌悪感を露わにするが、早く戦闘を終わらせるためだと腕の鳥肌を気合で押さえ、ベーゼが持っていた長槍を愛馬に咥えさせ器用に受け取る。

「ひやぁぁぁぁぁ!」

 その槍でベーゼの残りわずかの下着をひっかけ、空高く持ち上げた。


「エターナの王女シェリーが、魔王軍大将を討ち取ったぞ! 戦は終わりだ! 魔王軍の者どもは即刻国に帰れ!」

 四千の敵に突っ込んだよりも、敵大将と対峙した時に大きい疲労感に襲われたが、シェリーは両軍が最小限の被害で済むよう、敵の士気を削ぐためベーゼを高らかと掲げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。