表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/77

4ー8・永遠の傷心

【残酷描写有】【流血描写有】


物語の構成上、

上記の過激な描写が含まれますので、

閲覧にはご注意下さいませ。

























  見てしまったら、いけなかったのかも知れない。



 その確証となる証拠を見た、

あの光景は今でも鮮明に焼き付いて忘れられない。



その瞬間からだ。

風花が、自ら自身の存在すら否定するになったのは。




 自身が跡継ぎに決まってから、すぐのこと。

兄の姿が見えなかったからか、風花が直哉を探しに行った時。


 きっと義理の祖父の部屋にいると推測しながら

祖父の部屋に入ろうとした瞬間に風花は絶句し、

眸は虚ろをと化した。




 何かが振り下ろされて、凄い音がする。




 義理の祖父が少年に向けて、何かを少年に振り下ろした。





 その瞬間に

少年から血飛沫が飛び始め、事切れた人形の様に少年は呆気なく倒れた。






 畳は瞬く間に深紅に染まり。部屋は一面、血の海と化す。

その血溜まりの真ん中に項垂れ横たわっているのは、双子の兄。




「……………直哉…………?」




 風花は呆然として、名前を呼ぶ。

ふらりとした足がゆっくりと、血溜まりへと近付き少女は座り込んだ。


座った途端にスカートの裾が、靴下が紅に染まっていく。




 揺すっても、揺すっても。兄は反応しない。

 ただ力なく項垂れているだけ。




「ねえ」



「ねえってば!! 直哉」




 涙を流しながら、何度も名前を呼んだ。


 けれど風花の傍で項垂れるだけで微塵も反応しない。




実兄を抱えたまま、涙目で風花は上を見上げる。

其処には怜悧な眸をした、義理の祖父。





金属バットの先には深紅に染まっていた。

涙を流す風花に、倒れる直哉を、厳造は冷ややかに見るだけ。




「……………どうして」

「……どうして? 後継者はひとりでいいからだ。

後継者が決まった以上、子供は二人も要らない。


風花、お前が北條の後継者と選ばれた以上、兄は要らないに過ぎない。


当然の判断を下したまでだ。

いいか、私を憎むでない。それは筋違いだ」


「…………」





 夢だと言ってくれ。

これは夢だと、もうすぐ覚めるなら、もう覚めてくれ。






「……………っ」






 風花を追ってきたジェシカも、口元を押さえて絶句する。

思わず風花に駆け寄り、己の胸に抱えた。

大人の雑音等、聴こえぬ様に、この主が、少女にまで手を出さない様に。


その惨状と厳造が直哉を殺した事を知るまで時間は要らない。


 風花は全てを見ていた。見てしまった。

みるみる少女の目が絶望に浸されていく。


 怯え切るジェシカの表情に、厳造は微笑んだ。



「風花には手は出さん」

「…………なら、どうしてこんな事を……」

「ジェシカ、お前も風花と同じ事を言うか。分からん奴らめ。

私は当然の事を下したまで」


「私は言いましたよね。

二人の面倒を見るから、兄妹一緒に居させて欲しいと。

後継者の件と引き換えに幸せに暮らせる様にして欲しいと。なのに……」


 涙ぐみながら訴えるジェシカを、厳造は鼻で嘲笑った。



「何を戯言を言うのだ。最初から決めておった。


双子のどちらが相応しいと決まれば双子のうち、

どちらかがこうなる運命だと。



仮にもし

直哉が決まっておれば風花は抹殺するつもりだった」





 聴こえていた。

幼心に大人の事情は呑み込みやすい環境なのだと、

数日、身を以て知った話だ。


その瞬間に、風花の中である感情が生まれる。






(…………私が選ばれたから?)






 自身が選ばれなかったら、直哉は死なずに済んだ?



 殺されずに生きていられた?




 私のせいだ。



自身が選ばれたから、直哉は命を落とした。

全てが間違いだったんだと気付いた瞬間に、

奈落の底なし沼の如き絶望に落とされた。


 自分自身には、もう誰もいない。








 直哉の葬儀。


 実兄の遺影を抱えながら、

風花は北條家への憎しみと自責の念に駆られる。

全てを失った少女は、本当の北條家の後継者として生まれた。




 己の感情を喪うと引き換えに_____________。



【最後に】


物語の構成上とはいえ、

ご気分を害してしまった読者様、読み手様、

心よりお詫びを申し上げます。申し訳御座いませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ