84 丘にある墓
俺は十分も経たずに敵を壊滅させた。
俺が『フリューゲルSP001』で見つけたやつに光線をぶっ放し一人ずつ撃ったからである。
たまに逃げ回ってるネズミがいたが『完全掌握』で絶対に当たるようにしたのでもうほとんど残っていないだろう。
残りの掃除はダーク・ナイトメアのメンバーに任せることにした。
俺は上空に浮上すると『復元』を発動し壊れた建造物を直していく。
そしてすぐにコウキのところに転移する。
宮殿はかなり攻撃されていて大破していた。
生存確率は低いだろう。
それでも俺はコウキを探し続けた。
しかしいつまで経っても見つからない。
俺は『召喚』を発動する。
すると足元に苦しんでいるコウキが現れた。
「おい、大丈夫か!?」
俺はコウキに話しかける。
「足がっ!足がぁあああああ!!!」
俺はコウキの足を『治癒魔法』で治療する。
「落ち着いたか?」
「はい。ありがとうございます」
「口、開けろ」
俺は手から水を出し口に流し込む。
「本当にすみません」
「いや、別にいい。他のやつは?」
そう問うとコウキは首を横に振った。
「そうか。すまなかったな。俺の判断ミスだ。まさか一斉に攻めてくるとは思わなかったから」
「あなたのせいじゃありませんよ。国民は?」
「無事であることを祈りたい」
「そうですね」
俺たちはその後、住民を保護し家に帰らせた。
まぁ俺がとっくに復元しているから建物は無事だ。
だけど死者はこの世に戻ってこない。
本当は死者にも家に帰ってきてほしい。
だがそれは死神である俺にも不可能なことである。
俺は丘に設置された大量の墓を目にして罪悪感でいっぱいになった。
「あなたがここでうじうじしていても亡くなられた方々は帰ってきませんよ」
「わかってる。でももうすこしだけこうさせてくれないか」
「・・・」
俺はしばらくその丘を眺めた。
この光景は絶対に忘れないようにしよう。
俺はそう決心しクルリと振り返る。
「ふふ…」
「なにを笑ってるんですか。不謹慎ですよ?」
「いやだってお前、泣いているじゃないか」
「え?」
シャルの瞳には涙が浮かんでいた。
俺はそれを拭ってやる。
「なんで私、泣いているんでしょうか」
シャルの瞳からボロボロと涙がにじみ出てくる。
「シャル、お前は亡くなった人は帰ってこないと言って悲しむことを否定しているかもしれない。だけど悲しむことを否定はできないんだよ。お前はきちんと悲しんでいるんだ」
「私は悲しんでいるんですね」
「ああ」
俺たちはその日をきっと忘れはしないだろう。
その一緒に泣きあった日を。




