82 死神の王
「あ。お疲れ様でーす」
『自由飛行』で逃げ回っている俺に聞きなれれた声が聞こえた。
「おい、シャル!どこに行ってた?」
シャルは俺の横を俺と並行して飛ぶとなにかをヒョイと取り出した。
「これを買いに行ってたんですよ。ちょっと高かったですけど」
そう言って俺にそれを渡してくる。
「これは…?」
「仮面です」
「そりゃあ見たら分かるよ。俺が聞きたいのはこの仮面がなんなのかなんだよ」
シャルが俺に手渡してきた仮面は髑髏のような模様の仮面だった。
これをつけろっていうのか?
これをつけるやつって大体悪役じゃないの?
まあ日曜の朝にやってる仮面をつけた兄ちゃんも同じようなもんだからいっか。
ランスが『闇の咆哮』を放つ。
俺はシャルを抱き寄せこれをかわした。
「シャル、肩に乗ってくれ。そっちのほうがやられずに済む」
「わかりました」
そう言うとランスは蜘蛛の姿で肩に着地した。
「それでこれ、なに?」
「これは古から伝わる神器です。長らく行方不明でしたが闇市に売られていたので買ってきました。神器にしては安かったですね」
「いくら使ったんだ?さっきは高かったって言ってただろ」
後ろからいくつもの弓矢が飛んでくる。
俺はそれを『攻撃無効化』でかき消した。
「まあいい。それで?これはどうやって使うんだ?」
「ただ顔につければ後は自動的に展開されるはずなんですが、この神器は真の死神じゃないと使えないみたいですね。私じゃ無理でした。でも最上位神であり死神でもあるあなたならきっとできます」
「わかった」
俺は鎌を持ってないほうの手で仮面を顔に持っていく。
《『神器・死神の王』が死神、テオ・マルティネスを真の死神と認めました。称号『死神の王』を獲得しました。『神器・死神の王』の効果によりローブが展開されます》
すると仮面から黒いものがスルスルと出てきそれはローブとなって俺のからだを包んだ。
ちなみにシャルはローブの上にチョコンと座っている。
俺は仮面から手を離した。
落ちるかもと心配になったがその心配は杞憂に終わった。
仮面はきちんと固定させられていて落ちることはなさそうだ。
《『神器・死神の王』の効果によりスキル『闇の結界』『結界破り』『魔力吸収』『魂搾取』が追加されました》
ランスが翼を羽ばたかせて俺に接近する。
俺は鎌を片手にランスを迎え撃った。
血の剣を鎌で受け止めると『魔力吸収』を発動させる。
そしてその奪った魔力を使って『闇』を放つが運悪くかわされる。
スキル『魂搾取』発動!
俺は鎌を振りかざしランスに襲い掛かる。
だが血を使って結界を張られ防がれた。
俺は即座に『結界破り』を発動し結界を鎌で直接斬る。
シャルが『蜘蛛の糸』でランスを糸で囲う。
ランスが糸を斬ろうと剣を振るが糸は最高レベルの硬さにしてあるようでなかなか斬れなかった。
そこに俺が『闇の咆哮』を放つ。
だがランスには血の結界で防がれてしまった。
俺とランスは『魔力吸収』で互いの魔力を奪い合う。
再び衝突するが血が俺のからだに触れランスにからだが侵食されていく。
俺は結界を張り血を払った。
その時、ランスの背中から翼が消えた。
ランスがなにか魔法を発動しようとするがなにも起きない。
スキル『魂搾取』の影響で魂が削られ魔法を発動できるほどの魔力が残っていないのだ。
だがランスは最後の力を振り絞って転移しようとする。
が、俺はそれを『空間転移妨害』で阻止した。
ランスのからだが唐突に赤く光る。
どうやらまだ『暴走化』を発動できるほどの力は残っているようである。
俺は『結界』で巨大な結界を張る。
俺はシャルを安全圏に転移させると彗星のように接近してくるランスのほうを向いた。
ランスは拳を掲げて殴りかかろうとする。
だが…
「終わりだ」
俺は『自爆』を発動させる。
俺を中心に闇の渦がなにもかもを飲み込んでいく。
これ使うとむっちゃ魔力食うんだよなぁ。
いや、死ぬからそこまで関係ないけど。
「正気ですか?」
ランスが信じられないというように俺に話しかける。
「やかましい。さっさと地獄に落ちろ」
するとすぐに白い光が俺たちを包み意識を真っ黒なところに引きずり込んでいった。




