77 慈悲なき神
「まったく使えねぇやつらだな」
その時、やつらの後ろから男が現れた。そいつの頭には狼のような耳としっぽがはえていた。
その男はかつて仲間だった死体をぐしゃりと踏みつけると俺たちを軽く睨む。
「そこのアンタ、名前は?」
男が俺に問いかける。
「アンタこそ誰だよ」
「俺はルプス・レメディオス・アーノルド。土の国の王だ。アンタは?」
「最上位神テオ・マルティネス」
「ほう、アンタが…」
男は下品にへへっと笑う。
「そうか、そうかぁ!アンタが偉大なる最上位神様かぁ!」
男はおかしな口調で喋り続ける。
「なにがおかしい」
「へへっ…ある日、変な女がやってきて俺に言ったんだぁ。アンタを殺せば俺様が最上位神になれるってなぁ!」
男が爆風を吹き荒らしながら足の筋肉を使って急接近する。
対して俺は鎌の結界でこれを防いだ。
男の爪と結界の間に火花が散る。
「お前ら、下がってろ!絶対に手を出すんじゃないぞ!」
俺の言葉に促されてダーク・ナイトメアのメンバーは後ろに下がる。
「逃がさねぇよ」
男が目の前からふっと消える。
気付いた時には男は一人のメンバー(ヤタガラス)のことを襲っていた。
「ひゃっはぁああああ!!!」
男は狂喜の表情でヤタガラスに爪を振り下ろす。
しかし彼は落ち着いた表情で焦ることなく剣を抜いた。
その瞬間、誰もなにが起きたのかわからなかった。
肉の塊が地面にぼとりと落ちる。
俺たちは遅れてそれの意味することを知った。
斬ったのだ。
目に見えないほどのスピードで男の腕を斬ったのである。
それはまさしく神速。
男までも驚愕の表情を浮かべている。
しかし男の対応は迅速だった。
男はバク転で彼から離れると何やら魔法陣を地面に展開し再び恐ろしいスピードでヤタガラスに接近した。
彼は剣を構えるとライトエフェクトを刀身に輝かせて走り出す。
男のアッパーカットを間一髪かわすと剣を肩から斜めに斬り落とそうとする。
だが男は驚異的なスピードで回避不可能と思われたその技を難なくかわすとヤタガラスの腹にパンチを食らわせる。
ヤタガラスは吹っ飛ばされ建物の壁に衝突し気を失った。
男は容赦なくヤタガラスのもとへ飛び込んでいく。
俺は『空間転移』でヤタガラスを自分のもとへ転移させるとすぐに『治癒魔法』で傷を癒した。
男が壁に突っ込んでものすごい音がなるが無視して治療を続ける。
男ががれきのなかから脱出すると俺は『洗脳魔法』で動きを止め『完全掌握』で攻撃不能にした。
男をうつ伏せの状態にすると俺は男に寄っていった。
「ひとつ教えてやる。本当はな、俺を殺しても最上位神にはなれない。ただソイツは俺の命を狙っていただけなんだ」
「ひゃへへぇ…」
「言葉も喋れなくなったか」
「アンタは噓つきだぁ。昔、最上位神を殺してその座についたやつがいたぁ。この事実があるということは今でも同じだってこったぁ」
男はただ狂ったように下品に笑うだけである。
「ただの昔話だ」
俺は容赦なく『フリューゲルSP001』の引き金を引いた。




