75 罠
それからすぐランスのほうで動きがあった。
土の国・エデン自治区連合軍が闇の国と神聖フリューゲル王国に宣戦布告したのだ。
理由は領地の拡大と経済発展だ。
闇の国には国民が大勢住んでいて奴隷となる。
そして神聖フリューゲル王国には高度なテクノロジーが存在する。
そのテクノロジーを使うためには大勢の人が必要である。
つまりそれを闇の国で確保する予定なのだ。
しかし国力的にもこの二つの国は闇の国と神聖フリューゲル王国にはかなわない。
どうしてこのような無謀な挑戦をする気になったのか不思議でならなかった。
だがこっちが慌てていてもあちら側は容赦なく襲ってくる。
そこで俺は眷属神の二人(自分が神に任命すれば勝手に眷属神になるらしい)を家に呼んだ。
「それで?俺たちにはなにをしてもらいたいって言うんだ?」
「お前たちには同盟を組んでもらう。力を合わせて迎え撃つんだ」
「どうやってですか?」
コウキが尋ねる。
「まず今回、主に敵に狙われてるのはラスターの神聖フリューゲル王国だ。でも敵はおそらく先に闇の国を攻めてくると思う。先に人間を確保したほうが戦闘で有利になるからな。たぶん洗脳でもして無理やり従わせるつもりなんじゃないかな。そこでだ。敵にバレないように最前線に住んでいる住人を避難させてそこに罠を張り敵をそこに連れ込むんだ。そしたら住民も連れ去られないし逆に打撃を与えることができる」
「もし失敗した場合は?」
「まあ待て。その最前線にはダーク・ナイトメアを派遣する。あいつらには新しくお前と同じようにスキル『拒絶』を与える。決して相手の思うようにはならんよ。そしてそこには俺も行く。これなら問題ないだろう?」
「まあ…」
「うむ…」
「じゃ、決まりだな!もしヤバくなったらお前も来てくれ。『念話』で呼ぶからさ」
「わかった」
「じゃあ早速、準備をはじめよう!」
俺たちはサリオスとは違う別の土の国との境界線にいた。
「本当に来ますかね」
ダーク・ナイトメアのメンバー、ヤタガラスが俺に話しかける。
「ああ、きっと来るさ。これいるか?」
俺はチョコを彼に差し出した。
「これ、どこで手に入れたんですか?」
「あっちの世界で買ってきた。懐かしいだろ?」
彼はそのチョコを口のなかに放り込んだ。
「あの…!」
「? なんだ?」
「俺もあっちの世界に行けますかね?」
彼はやっと見え始めた希望に目を輝かせていた。
しかし…
「それは不可能だ」
「なんでですか!?」
「俺ひとりではあっちに行けるが複数人は連れていけないんだ」
「…そうですか」
「来たぞ」
前を見ると敵の軍隊がこちらにむかって砂埃をたてて迫ってきているところだった。




