74 血に飢える者
「ありがとうランス。貴様のおかげで手間が省けた」
「なっ!?」
《称号『覚醒神』を獲得しました。スキル『魔力増幅』『攻…》
俺は女神(仮)の声を聞き流しながらランスのほうを向く。
「残念だったな。これで俺はお前を阻止できる」
「まさか黒魔術を自力で解除したんですか?」
ランスは動揺していた。
(ありえない。だって黒魔術の解除方法は存在しないんですよ?)
ランスは俺に『闇の弓矢』を放つ。
スキル『攻撃無効化』発動!
弓矢をかき消すと俺は右手に『フリューゲルSP001』を出現させリミッターを外し引き金を引く。
光線が翼によって防がれるとランスがこちらにむかって飛翔してきた。
「ちょっと大人しくしてろよ」
「え?ちょっとなにを…きゃあ!」
俺はシャルをお姫様だっこすると上空に転移する。
そして箒を取り出すとそれに乗せる。
杖の効力はなくなったが箒などの杖以外の魔道具は効力を失っていない。
「ここで待っててくれ。危ないと思ったら逃げていいから。じゃ!」
「ちょっと!」
俺はそのまま落下する。
スキル『自由飛行』発動。
俺のからだを光が覆う。
俺はランスのもとへ一直線に飛んでいく。
俺が『フリューゲルナイト』を起動させるとランスの手のなかから血のようなドロドロしたものが伸びてくる。
それはやがて一つの剣の姿となった。
俺は女神(仮)に正体を聞く。
《称号『血に飢える者』の効果で自身の血が流れたときに一時的に力が強化され自分自身の血を操ることが可能となります。例の剣はその血でつくられているものです》
俺とランスの剣が衝突する。
二人の間で火花が散った。
左手に『フリューゲルSP001』を出現させるとランスの腹部に押し当て複数回、撃つ。
その光線はからだに血を流すことさえも許さなかった。
ランスは俺の横腹を足で蹴りさらなる追撃を繰り出そうとするがそれはかなわなかった。
突然、背中の翼が消えたからだ。
ランスのからだが下へと落下していく。
そして不意にどこかへ消えてしまった。
俺はシャルを回収すべく箒に飛んで行った。
「待たせてすまなかったな」
「いえいえ。お体は大丈夫ですか?」
「まったく問題ない」
「それはよかったです」
彼女は本当に心配していてくれたようだった。
シャルが優しく抱き着いてくる。
「負けちゃダメですよ。絶対に」
「負けるわけないだろ。勝てるかどうかは知らんがな。良くて引き分けだろう」
「・・・」
「こんなくだらないこと言ってないではやく家に帰ろう。な?」
「はい」
二人はアズルートにある家にむけて転移した。




