35 ただいま。愛してる。
少年は信号機が変わるのを待っていた。
なぜかここの信号機は変わるのがおそいんだよなぁ。
ちかくには同じ高校の生徒たちが俺とおなじように待っていた。
俺、ああいうやつら大嫌い。
なんでって?
決まってるだろ。
みんな一緒になってイチャイチャしてて気持ち悪いからだよ。
見てるこっちが気分悪くなる。
しかもリア充多すぎだろ。
そう俺の通ってる高校は共学なのだ。
おまけにカップル成立率が高い。
また大学までついてることから人生は苦労しなくて済みそうだがやはり俺みたいな陰キャに彼女なんてできるわけがない。
このままだとつまらない人生を送りそうだ。
その時、俺の背中がバンッと押された。
「邪魔なんだよ!陰キャが!」
クラスのDQNの声だ。
あ、死ぬわ。
いや、これ死ぬよ。
うん。
短い人生でしたがお母さま、お父さまありがとうございました。
横からトラックが突進してくる。
思わず目をつむってしまった。
しかしいくらたってもからだにトラックは追突しない。
目を開ける。
闇。
目の前を闇が覆っていた。
「こんなことで死んでいいのか?」
声がするほうに振り向く。
そこには俺そっくりの少年が立っていた。
「言えよ」
「…」
「言えって」
「…嫌だ」
自然と口から声が出た。
「死にたくない」
「…それでいい」
少年が手を差し伸べる。
俺はその手を掴んだ。
すると手から光が溢れ出す。
なにかが、流れ込んでくる。
これは…
いきなり闇が消え、光が戻った。
横からトラックが突進してくる。
俺は新しい鎌を取り出した。
結界が発動する。
俺は『空間転移』を発動した。
久しぶりに我が家に帰ってきた。
少しの間だったけど俺が過ごした部屋である。
窓からは日光が降り注いでいる。
その時、部屋の扉が開いた。
俺は振り返る。
そこには最後に見たときとまったく変わらないシャーロットの姿があった。
シャーロットの瞳に涙が浮かぶ。
シャーロットは俺にむかって走り出し抱き着いてきた。
「おそいですよ!」
俺はシャーロットのからだを強く抱きしめた。
しばらく抱き合ったあと、シャーロットは俺のからだから離れた。
「おかえりなさい」
シャーロットは笑顔でそう言った。
ああ、やっと帰ってきたんだな。
「ただいま。愛してる」




