ニートの人・酔っ払い・三人組
気合いは便利ですね。一瞬で書き上げてくれます。
前回は悪事を働く二人組を楽に死なせてやった。
朝、私は起きる。神とはいえ今は肉体を持っている。肉体の休息時間は必要だ。
・・・仕留めておいたブラックボアーが、無い。
ふとユグの顔を見ると、食べカスが付いていた。
「はぁ。」
私はユグがこのブラックボアーを生で食べたのだと確信した。
「おいしかったですか?」
「まずかった」
「焼かないと肉は美味しくなりません。」
ユグが思い出す。いつも焼いていた。味をつけていた。
「はい・・・」
私は何も言わず、神の力でユグの体内にあるブラックボアーの肉。そこに含まれている寄生虫やら危険な物を取った。
「生で肉を食べると危ない場合が多いので、しっかり焼いて食べましょうね。」
「はい・・・」
少し暗い顔をしているが、生きるための問題だ。
そういえば、この子はどういった食事をしていたのだろう。
肉を食べた事、見た事が少ないようだが・・・奴隷。そうだ。奴隷という身分だから肉を食べさせてもらえなかったわけか。
「他になにか欲しい物はありますか?」
「にくがほしい。」
「分かりました。」
外へ出て適当に獲物を探す。
今回の獲物を発見し、倒す。
当然食べられる所には傷など付けず、持って帰った。
今回はブラックボアーではない。
『ブラックドローナイト』だ。ちなみにブラックは進化がもう出来ない所謂『最強の種族』の称号だ。
ブラックボアーより体が大きく、少し長めの尻尾があるのが特徴だ。
ドローナイトは2本の大きく曲がった角を持ち四足歩行で突進してくる。
ブラックドローナイトは突進したあと更に速度を上げて軌道修正してくる。
180°までなら急な方向転換も可能なため敵が死ぬまで追尾し逃げるのを止めたら更に増えた4本の角に引き裂かれるだろう。そしてでかい。
・・・始めの速度が弱い内に裏へ周り頭を切り落とせば簡単だ。
肉は溶けるような美味しさと聞く。
獲って来た獲物を持って帰り、料理する。途中ユグにも料理をさせてみようと思い、ゆっくりと分かるように教える。
「あとはいつも見ている美味しそうな色がしてきたら取り出してください。」
焚き火で焼いている。
ユグはじっと見つめているため私はある準備へと出かけた。
食糧だ。それも保存食を買いに行く。
斬り落としたブラックドローナイトの頭、そして尻尾は高く売れる。
私は一足先にこれから行く街に入り、保存食をできるだけ買った。
戻ってくると肉を腹いっぱいに食べ私の帰りを待っているユグの姿があった。
「では、満腹のまま体動かさせて悪いですが、次の街へ行きましょう。」
「うん。」
歩く。まあ割とすぐ近くなので大丈夫だろう。
保存食を買っている時に『目』で奴らを探している。そこには5人いるが、一人で行動しているのが二組。三人で行動しているのが一組だ。
三人で行動している奴らは避けたほうがいいだろう。もしくは奇襲で先手を打つか。
そうこうしている内に街に入る。金はまだ残っているが節約するべきだろう。
「ユグ、今日はこの街の近くで寝ましょう。」
「うん。」
「宿などで休めなくて辛いですか?」
「なれてるし、へーき」
「そうですか。」
優しくユグに話しかけたが、平気ならその方が良い。限りある通貨は出来る限り節約しておきたい。この世界の住人達と取引をするためにだ。
今日のところはもう辺りも暗くなっているので、街の外で休む事にした。
朝。私は早くに起きて狩りに出る。適当に狩ってきたがなるべく栄養の多い動物にした。
「むし?」
「蜂です。食べると元気になりますよ。」
本当の事だが肉ではないため怪しんでいる。
私は巨大蜂を3匹狩った。その3匹は今焚き火の上に取り付けた横に大きめの鍋で一匹一匹転がしている。
「よし。これぐらいで良いでしょう。毒は抜けました。」
『目』で確認した。
「私も一匹貰いますね。」
「うん。」
蜂をガブガブ齧る二人。
「では・・・仕事に行きましょうか。」
食べ終わるとユグにこう言って支度をする。
「ほんとうに、おしごとなんだよね?」
突然、そんな事を聞いてくる。私は何度聞かれても何度でも説明するつもりで説明した。
「ええ。実は、あなたの生みの親という事になる人間もその別世界の人間です。」
「あなたはその別世界の人間のせいで生まれ、そしてそれを喜ぶ事の出来ない苦痛の人生を歩んできた。」
「あなたは十分にその人間たちを倒す資格があります。私の一方的な押し付けになりますが・・・」
「ほんとうにその人たちをたおさないとせかいはほろびるんだよね。」
「ええ。正確には私は消えてしまい、あなたたちこの世界の人間を守る事が出来なくなります。」
「そうなってしまえばあなただけじゃなく他の、この世界の人間までその奴らに運命を握られるでしょう。」
「・・・逆らわなければ、奴らもあなたたちに手出しはしないはずです。しかし些細な事でも逆らえば。・・・賢い人達は皆自由を縛られて生きることを望みはしないはずです。」
実は、奴隷とかいうのも奴らが来てから始まった。安くて自分だけの人間。馬鹿な人間達は己の幸せの為に人間に働かせている。奴隷紋に自由という文字は無い。
「あなたはただ真っ直ぐに強くなり『自由』を勝ち取ってください。」
だから私は奴隷であった赤髪の少女に『自由』と言う。世界に訪れた闇の経験者としていつかこの世界を自力で救ってくれるだろう。
私一人の力ではどうにもならない問題もある。それをこの少女は実行してくれる存在になるだろう。
「わかった。つよくなればいいんだね。」
「それこそが私の願いです。しばらくしたらあなた自身の力で大きな選択をする瞬間がやってくるでしょう。」
私はなぜ私の体が朽ち果てる前提で話しているのか、分からなかった。
私の未来は一体どうなっているのだろう。
「・・・さあ、そんな話は置いておいて行きましょうか。」
「うん。」
もうこんな話はしたくないとばかりに頷いた。
ユグは街へ向かう間常に悩んだ顔をして歩いていた。
街の近くまで来た。街は遠くに見えてはいる。私は制限具である髪留めを外し、『目』を使用する。近くに一人の男がいるようだ。なぜか異人の中で女は見かけない。三人組の異人の中に一人いるが・・・それ以外は今まで一度も見た事が無かった。
『目』の効果範囲は非常に曖昧だ。あちらからこの身体へ送る事のできる情報量に限界がある。
その限界もすぐに到達できるほど低くなっており神様の世界で自由に観察できた物が今では一人だけ確認する条件にも拘わらず、私から約600メートル離れた地点で情報量の限界に達する。
よって現在にも増え続けている『ニホンジン』の総数は不明。更に準備の間その人間の動向を確認する事すら出来なかったため今『ニホンジン』が何をしているかも不明である。地道に発見次第殺すしかあるまい。
「一人発見しました。早速向かいましょう。」
もちろん救助のためではない、この世界から『追い出す』ためである。
―俺は神さまから貰った唯一の希望、『具現化』によってぐーたら生活を満喫していた。―
―具現化は強く心に抱いている物をこの世界、俺の部屋に呼び出す事が出来る。―
―しかし俺はゲーム、しかもファミコン系のゲームしか呼び出せなかった。時間泥棒をもう一度遊べるというわけだ。―
―この世界には娯楽が無い。なのですべてのアクションに運が絡む時間泥棒もたっぷり遊べていた。―
―本当は最新のゲームを遊びたいと思った。何度もあった。しかし、召喚できたのはこの家とゲームとゲーム機とこの世界には無い豪華な食事のみ。これだけでも十分足りていた。いや、十分過ぎた。―
―俺はこのゲームを大切に遊んでいた。何時もの様に殻に閉じこもる生活をした。誰も咎める者はいない。俺を知っている人は俺自身のみだ。―
「・・・どこへ行っても種は尽きない物ですね。」
―そんな生活もこの感情が少ない一人の女性によって掻き消される。そう、たった一人の人間によって―
―・・・俺はこの女性を犯したい事よりも怒りで殺したいという気持ちが大きく勝った。―
―俺の安眠快適、俺の聖域に踏み込んだ。それも無断で。ノックもせずに。―
―募る怒りはやがて俺の我慢の限界を超え、怒りから溢れ出す一口目を喋るのであった。―
「てめえ。早く出ていけ。」
「出ていけと言われて出る人間は居るかもしれません。ですがあなたは立場が下。」
―わざとなのかそうでないのか分からない口調で俺の神経を逆撫でする。―
―俺の怒りは口だけでは収まらないと思った。なぜなら、俺の快適部屋を一瞬でも汚されたからだ。―
「・・・へぇ。あなたはこんな娯楽を手に入れたのですか。しかしこの世界に存在してはいけない物です。」
「未知の鉱物。未知の装置。未知の映像。そんな物を持ち出す権利など私は与えた覚えはありません。」
「よくも・・・俺の楽しみを侮辱しやがったな!!」
―殴りかかる。今すぐにでもこいつの体のすべてを壊して壊して最期に「殺して」と言わせたかった。―
―要するに拷問だ。こいつに謝らせてその上で俺がこいつの頭を踏みにじる。―
―そんな考えに支配された。しかしそんな楽しい考えも1秒も持たず壊れ、恐怖だけが残った。―
「立場が下、と言った筈です。生産的価値もなし、人間的価値もなし。あなたに残されたものは害のみです。」
「この装置が世に出回れば、あなたのようなゴミクズみたいに堕落してしまう。」
「だから私はあなたを生かしては置けない。しっかりと説明はしました。長ったらしく話をするのも嫌でしょう。」
―剣??武器?俺がそんなものを持った事は一度もなかった。―
―俺は武器になりそうな『ファミコンの形をした何か』を手に取ろうとする。―
―・・・無い。俺がずっと使っていたソレは黒い灰のような物になっていた。―
「無い・・・無い・・・無い!!」
「カセットも。愛したテレビも・・・大好きだった食べ物まで!!無い・・・無い!!」
「あなたは好きな物だけを食べてこんなに丸々と太ったのですね。」
「!?」
―手を見る。頬を触る。体、足を見ようとするが足が見えない。立とうとすれば足がふらつき倒れる。―
―なぜ!?俺がなぜこんなに太っている!?俺の体はもっとすらっとした男だったはずだ!―
「あなたは夢を見ていたようですね。逃げた先を引っ張り出されたのでしょう。・・・しかし、このような歩けもしない豚にもはや価値などという物は存在しないでしょう・・・」
「俺は働ける・・・!足などなくても、このゲームが作れる!」
「未知の鉱物。これだけ言っても分かりませんか?話がしたいのなら私も付き合ってあげましょう。」
―目の前の『鬼』は俺に構ってあげているかのような態度を取る。もう足も上がらず動けない。―
―ゲーム・・・が、未知の鉱物・・・?それは作れないと言う事なのか!?―
「ちなみにその鉱物があったとしても、あなたはその装置を販売する事によって利益を生んでも、それはあなた一人だけの利益です。皆を苦しませずに苦しめて取った盗品です。私の世界にこれ以上踏み込むのなら、殺して差し上げましょう。」
「う・・・・」
「う?」
―女は首を傾げている・・・俺には何もできず、ただ殺される豚のように最期の叫びを上げた。―
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああああ!!!あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァァァァァ.......」
「用事を思い出したのでさようなら。」
―そう女性は冷静に口に出して俺の脳を斬り殺した。―
―目はもう見えない。そんな事を思った次の瞬間には俺の意識は死んだ。―
「ふぅ。」
私は今また血などの汚れを地面に落としているところだ。
街から少し外れた平原に立つひとつの民家。そこから例の人間を確認したので行ってみれば肥えた人間が座りながら気持ち悪く笑っていた。目の前には謎の機械。最終的にはこの世のすべての叫び声を集約したかのような魂の叫び(?)を大声で叫び、私は嫌になって殺してしまった。
さすがにこのような人間を世に解き放つわけにはいかない。もし解き放ってもさっきの「げーむ」という物でこの世界の住人がじわじわと殺されるだろう。
見た所彼にはこの「げーむ」をバラ撒く気はなかったようで、最後にはその謎の文明全てが真っ黒になっていた。私はほっとした。こんなものを出してしまったら私の世界は目に見えるように衰退する。
「街に急ぎますよ。」
「さっきのこえ、なんだったの?」
一言で聞いてくるユグの頭に手を置き、
「出荷前の家畜の叫び」
と私も一言で返した。
私は街へと到着する。名前などはどうでもいい。一刻も早く奴らを殲滅しなくてはいけない。
「とても景気は良いしゆったりとした街ですね。」
「そうだね・・・」
これから起こる惨状はゆったりとしていない。私の言葉は時に予期せぬタイミングで人を傷つける。
「この街は汚さないようにします。安心してください。」
半ば脅しとも取れるような発言をしたあと、一人で孤立している『にほんじん』をターゲットにする。
この人間は思いっきりビールにその他安物の酒を飲んでかなり酔っぱらっていた。
こういう娯楽は良い。人の逃げ道にしていて、かつその後しっかりと働く事ができる。
「見ていてください。」
「う、うん...」
出番が欲しいのか少し困り顔だが最後に危険なメインが待ち構えている。
この酔っ払いの男を連れ出すのに苦労はしなかった。この人間と親しいような振りをして街の外まで連れ出すだけなのだから。
「おいィ、こんなところへェ呼び出してェ。一体何が始まるッてんだいィ。」
ひどく酔っぱらっているがしっかりと言葉は喋れている。
まあこんな俗物は排除するに限る。
「死刑宣告です。」
武器は手。指でまずは眼球を潰す。
誰にも見られず誰にも助けを呼ばれない最高の状況。
「ああああああああああああ!!見えねえ!!目がああああああああ!!」
目を触ってしっかりと確認した上でこの反応。
「誰だ、よくもこんなことをしやがって!!」
「おや、毒は抜けきっているようですね。」
「人を馬鹿にするのもいい加減に・・・」
当然男は目が見えない。足はふらつき殴りかかろうと手を振りかぶったのも大きな一因となり顔面から草のよく生える土にダイブ。
「目が見えない人生も辛いでしょう。手っ取り早く殺してあげます。」
「てめぇぇぇ・・・・」
スパッ。
転がる瞬間、私だけを憎悪する顔で、しっかりと睨んでいた。
「おや。見えるじゃないですか。」
私の怒りはその程度では収まらない。当然だ。やめれば私は消える。
私はその醜い顔を四等分にした。殺した後でしっかりと大地へ還した。
遺体の証拠は無事消える。血などはモンスターを狩る上で日常茶飯事なため関係ない。
私は酒場付近で待機するように言ったユグを迎えに行く。
「あなたの出番です。共に頑張りましょう。」
「やっとおてつだいできるんだね。」
私が驚くぐらいにこの子は従順だ。もしこのまま成長すれば私を守るためなら何だってするとかいう人になりそうだ。
「元々はこの世界に入り込んだ異物です。感情移入する事も別に良いのですが、最終的にはしっかりと殺してください。」
「・・・、みんなをまもるためにしかたないし、わかった。」
「あなたはこの世界を守りたいと思っていますか?」
「うん。」
「その信念、今のあなたでは簡単に曲がってしまうでしょう。いつか私の教えに忠実に過ごすのではなく、自分の考えを持って判断してください。」
「わかった。」
私はこの子供を忠実な犬として育てるのではなく、一人の人間として育てたい。
「着きましたね。」
「ここ・・・へんだよ」
「はぁ・・・よりにもよって、ですね。」
正にここは子供が見てはいけない場所。しかし『目』には男二人が女一人と行為している現場を捉えている。元の世界の住人がやれば簡単に「どうぞ」と言えるのだが、害虫が子供を作るのならば「やめろ」としか言えない。少しこの子には目に毒だが押し切ろう。
今回の事態、私は何人か天国送りにしなければいけない。252人から35人増え287人。この世界の総人口が13000人程度な事を考えると何人も価値がある人間を天国送りにしてしまっただろう。
私はこんなことで人間を天国送りにしてしまって本当に申し訳無かったが、「せめて天国でゆっくりしてくれ」という願いの元この害虫三匹を殺す事を決行する。
まずは力のある人間を無力化する事。
「入りますよ」
「う、うん...」
見た事もない怖い雰囲気に気を落ち込ませながらもユグは私に付いていき、とうとうその館へ足を踏み入れた。
「すみません。326号室の人に用があるのですが。」
「すみません。その部屋に入室を許す事はできません。」
「はぁ・・・なぜですか?」
「よくその手の人は入ると同時に喧嘩をし、この館を滅茶苦茶にしてしまいます。申し訳ありませんが、この館の規約ですのでお帰り願います。」
「その館の外でなら問題ありませんか?さらに言えばこの街の外でなら。」
「それならば構いません。喧嘩をせずに穏便に事を済ませてくれれば誰も咎める人はいませんよ。」
相変わらず宿やこの館の関係者は客を何だと思っているのだろう。仕事が早くなり助かるのだが。
「では。」
そこで差し出された物は今サラサラと受付が書き上げた一枚の血判書。
『私は326号室の人物を、この館内に限り暴力又は口論などを一切しない事を約束します。』
『名、○』
名前の記入欄があるためナナシと書こう。本当に名前はナナシだし仕方ない。この丸は指を少し切り血を出してからその丸に向かって指を押し付ける、所謂血判のようなものだろう。血を鑑定し、その血で繋がれた『縁』を辿る職人がいるようだが、その職人はどこにいても『縁』を辿り場所が分かるためこの血判は普通の人間にとってはとてつもなく重大な意味を持っている。
「針は必要ないですか?」
「要りません。」
豪快にかつ傷がすぐ治るように指を噛み、その血をひらひらとした紙にしっかりと付ける。
「はぁ。覚悟はおありなんですね。」
経験を積んだ人間は言う事の一つ一つの重みが違うと誰かが言っていたが本当にその通りなのかもしれない。私がもし力のない人間だったらあのような経験を積んだ人間に憧れる事だろう。
「わたしもさわぎをおこさないようにするからいれてね。」
この子も文面としては普通な筈なのに何か重圧めいた物を感じる。受付は一瞬驚き、一瞬怯え、一瞬再度驚き、平静を取り戻した。
「わ、わかりました。そちらのお子さんはそこらの大男より強いかもしれませんね。」
「まあ、強さは誰よりもありますから。」
部屋までたどり着き、作戦内容を説明する。
「私は三人を眠らせ、街の外へ放り出します。その時、ユグは決して中を覗かないでください。」
「わかった。そこまでいうのなら」
「気になっているのでしたらあなたが十分に成長した時に教えてあげます。今見てはいけない物、そしてあとでいつでも分かる物、と思ってください。」
「うん。」
「ここに立たせて置くのも心配なのであなたは隠します。」
私はユグに簡単な隠ぺい能力を発動させた。すでに制限具は取っており、非常に急いでいる。
私は3人の愛に忍び込み睡眠波長をたっぷりと流す。
「な、なんか急に眠く...すぅー、すぅー」
女性はすぐに寝た。筋肉の中途半端な男二人も続けて寝た。
「さて。転移。」
神の力で無理やり対象に移動を与え、街の外、あの豚小屋の前に出る。
勿論ユグも一緒に移動させた。彼らには移動ついでに服も直しておいた。
「さて、この人達を起こしますか?起こさずに殺しますか?好きにしてください。」
「この人たちを家にとじこめるのはどう?」
「自然に殺す、ですか。それなら悲鳴もあの街に聞こえないよう、準備に取り掛かりますね。」
事前に『目』にて彼らの特徴を洗いざらい調べた後、安全だと分かると閉じ込めた。窓は封鎖、家も破壊できないように元が頑丈なため楽だった。死後少しは役に立った人間である。
まさか1から始めようと思っていた防音まで実装していた。本当にこの豚には感謝せねばなるまい。死んでいなければ私から感謝も生まない害虫であったが。
私はこの世界の元々の住人には常に感謝している。だからこそ私情で殺してしまった無実の人間も全員楽に過ごせる天国送りにもしているのだ。理想で最高の楽しさで溢れているだろう。
「ん・・・?」
目を覚ます。先に目を覚ましたのは女性のようだ。
「ちょっと、起きて!さっきの部屋と違う!」
「え、?」
「なんだよ。。ん?」
次々と起こしていく。
「ちょ、ここどこだよ!『GPS』!!・・・街から少し離れているが大丈夫そうだ。」
残念だが大丈夫ではない。
「え、『解錠』でもこのドアが開かない!」
「「は!?」」
混乱の渦を巻き起こし、そこからは全員パニックになった。ちなみにこの二人、一つでしかも使えないような能力しかないようで、女性はというと・・・
「何やってんの!!私達閉じ込められたのよ!」
何の能力も持っていないようだが、私の『目』にはしっかりと確認していた。
彼女は『洗脳』の隠された能力が存在しているようだ。
「で、でもこの扉・・・」
「知恵で開かないなら力づくで開けるのよ!!」
彼女は指示を出す女王様のようだ。尤も、指示を出せるだけで力などはない非力な存在だ。
それが更に裏目に出る。このパーティはさっきの『目』で分かったが全く強くはない。人数に圧倒されて損した気分にさえなる。
「駄目だ、開かない!」
タックルの音は全く聞こえなかったが・・・
「この…役立たずッッ!!」
大したチカラもない女王様が怒る。効果は薄いだろう。
「でも俺達がいるじゃないですか・・・ハハ。こんな部屋、もしかしたらアレで出られる部屋かもしれないじゃないですか・・・」
解錠の男が理由をつけて行為に移ろうとしているが、
「おい、『GPS』に反応がある。俺達の近くにいる。二人組だ!」
「はぁ・・・今度こそ助けなさいよね?」
何を言っているのだか。
「おおーい!助けてくれぇー!」
「誰でもいい、助けてくれぇー!」
叫ぶのも男だけだ。こんな生活苦しいだろう。少し同情してしまったために女を殺そうとする。ユグに頼もう。
「ユグ、女は見えますか?」
「・・・・・・うん。みえた。」
「その気功法は遠く離れた人にも当たりますか?」
「あたるとおもう。やったことないからわからないけど。」
ユグがロッドを置き、家に両手をつける。
「ぐぐぐ・・・」
ユグが踏ん張ると女性は声が漏れた。
「うッ!!」
「あ、あづい!!」
「だ、大丈夫か!姉さん!」
「僕たちを置いてかないでください!姉さん!」
哀れ。
女は熱さに耐えきれず、死んだ。
「誰だ・・・姉さんを・・・あれ?」
「なんか。姉さんに悪い事しかされた記憶がない。」
死ねば元に戻る。そういえばあの豚も同じだったな。
「え、二人・・・!?ぎゃ、ぎゃあああああああああああ!!!」
ああ、そう言えば女性は洗脳とこの家から出るのに夢中で気がついていなかったな。
男は洗脳の影響で気がつく事はなかったってことか。
「や、やめてくれよ....」
「俺だってやめてほしいよ....」
「そういえば・・・この女は何だったんだ。この女と居る間最悪な記憶しかないってのに。」
「に、兄さん。僕はこんなのから解放されて嬉しいよ...」
「俺も良い弟を持てて良かった・・・こんな弟で、本当に良かった・・・」
泣いて喜んでいる。泣き落とし?聞くか。耳にその声は入れるがそのまま反対の耳まで通過させているに過ぎない。
まあ、ユグは同情をしているだろう。悪い人、でもこの人はいい人にも見える。そんな感じだ。
「・・・」
ユグは何も喋らずじっとその叫びに耳を澄ましていた。
「お、落ち着いて来た。状況の整理からだ。」
「そ、そうだね兄さん。」
「まずここは塞がれている。さっきの最悪な記憶から分かっているが、もう一度確認するか。」
「じゃあ、『解錠』!・・・駄目だ、しかも押しても引いても動かない。」
「・・・はぁ。俺達、このまま助けを待つしかねーのかな。」
「そうみたいだね。とりあえずグロい死体はちょっとあっちへ除けとこ。」
協力しているな。出られるかどうかはこのユグさんに掛かっているわけですが。
「・・・『GPS』に二人、近くにいるぞ。」
「ま、まさか。おおーい!!助けてくれぇー!!」
さっきと同じ構図になったが無視。私はあの男二人には少し興味が失せてユグに注目している。
「う・・・ぬぬぬぬぬ・・・」
家の壁に片手をつきながら必死に頭の中で論争を繰り広げているユグの姿がある。
「ぬぬ・・・・ぬ?」
「おねえさん。あ、ナナシさん。この人達をだして。わたしがころしたい。」
落ちてたロッド二本を手に取りお願いした。
「はぁ・・・」
まさか助けるかではなく自分の手で殺すかどうか考えていたとは。
「わかりました。出してあげましょう。油断はしないで下さいね。」
魔法のような力で施錠されたドアを破るのは神の力を使えば簡単に開く。『魔法』という概念は神の力の破片のような物である。その力を弱める事が出来るのは同様に神の力の破片である『魔法』か、私自身が使える直の『神の力』ぐらいである。解錠が出来なかったのは魔法の強さが足りないからだろう・・・
「こんにちは。助けに来ました。」
しかしこの部屋から助けるだけであってその後を助けるつもりはない。
「あ、ありがとうございます!お蔭でたすかりまがあああああああああああ!!!!!!!」
「な、兄さんに何をごごごごご....」
口封じ、こいつにはしばらく眠ってもらおうか悩んだが結局兄が死んだ頃に起きるよう眠ってもらった。
「騒がれると面倒ですからね。」
「わかった。」
「な、何をずるぅあああああああああ!!」
音が怖い。人が集まりそうだ。
「すみません。音が大きいので家の中でお願いします。」
「わかった。」
気功法は人を拘束させる方法もあるようだ。
そのまま連れていかれ、放り出される。
私ももしもの時のために入ろう。弟は適当に置いてあったベッドにでも寝かせておいて。
「さあ、おまえのつみをつぐなえ。」
「お、おれが何をしたんだがががあああああ!!」
何か喋れば炎弾を浴びせられ発狂寸前にまで陥る男性。兄と言われた人物は必死に我慢していた。
「俺は、何としても生き残るッ!この『GPS』でッ!!」
「うるさい。」
「ああああああああアアアアアア゛ア゛ア゛!?」
容赦無く浴びせられる熱。おお、こわいこわい。
「あ・・・うぁ・・・」
「はぁ。」
ロッドを置き、焼けて少しただれている、ほんのり温かい男の胸に手を当て、
「やぁっ!」
直後凄まじい衝撃波が男性に襲い掛かっただろう。その衝撃波は男性を拠り所として一斉に突き抜け、人間だったモノは崩れ落ちる。最早息もできないだろう。
「弟はらくにしなせてあげる。」
「やっ。」
弟の方は頭を粉微塵にされ死んだ事も知らずに息絶えた。
「ふう。すっきりした。」
「中々に恐ろしいですねユグは・・・」
さすがにそんな考えを持っているとは思ってはいなかった。むしろ優しい性格だと思っていた。
いや、やさしさの方向を間違ったのか。今のユグは色々と凄かった。
「この杖、つかいやすいね。」
「そ、そうでしょう。」
「もっといいのはないの?」
「それで我慢しなさい。」
なんせ一個あたり10人が天国送りにされるのだから。只の我儘で私の人間を天国に送りたくはない。
「さて、この街に居る時間は少なかったですが、次の街へ行きましょう。食糧も十分に買いましたし。」
「かった?」
「いえ、隠れて保存食を買ってました。」
「ほぞんしょく?」
「長持ちする食べ物です。普通の肉ならすぐ焼いて食べなければ食べられなくなりますが、この食糧だけは別です。味は少し違いますが忘れた頃に食べても体を壊さない程長持ちします。」
「そ、そんなたべものがあったなんて」
この子食べ物に関してだけは敏感ですね・・・そう思い私は次の街へと向かった。事前調査した結果によるとこの街は人が居ないようです。規模は縮小していて村でした。
序盤をどれだけの量にするか困っています。次のストーリー的な物は考えていますが、どこを終点にして新しい章に突入させるか悩んでいますね。
相変わらずお姉さんと無垢な少女のシーンがよくありますがそれもこれも敵が弱すぎるせいでもあります。
序盤の敵は倒しやすいとは最近のゲームにも言える事です・・・




