二人組
第二話。ストックは切れました。
前回は同種を見捨てる人間と辛い事から逃げるだけの人間を始末した。
街に残る二人の『奴』は毎日二人組になる瞬間がある。倒す時は一気に倒さないと逃げてしまうかもしれない。
能力によっては私一人でこの彼女を守らなくてはいけなくなるだろう。私にとっては1%という強大な敗北の可能性を持ったハンデ戦だ。
この先敵と出会う度に敗北のリスク1%、2%、3%と上げられる可能性を考慮し、わずかな敗北の可能性は出来る限り潰していきたい。
そのためには奴隷さんという彼女が力を手に入れる必要がある。上手くいけばリスクを上げるのではなくリスクを下げるために役立ってくれるだろう。
「武器はまずは持たない。私が見て決める。」
連れ出したのは近くの山の足場がとても安定し動きやすい所。簡単に言えば休憩所に利用できるようなポイントだろう。
「さあ、私を襲ってみなさい。」
これまでに少し狩りで体を動かして来たが、実戦は初めてだ。(危なければいつも私が守っていたためである。)といっても反撃はしない。受け止め、回避し、ひたすらに避ける。相手に攻撃を当てる事から覚えさせる。
「たぁっ!」
綺麗な正拳突き。しかし動きが遅い。最適に体を動かして避ける。
「とっと・・・てい!」
少し転びそうになりながらも蹴り。これは適当に片手で受ける。
「遅い。攻撃のバランスを覚えてもらうぞ」
少し神の力を使い、技と技の組み合わせを披露する。当然奴隷さんに当たらないように、そして見せるように出す。
シュシュシュシュシュ・・・〆は顎に向けた飛び蹴りでフィニッシュ。その時生じた隙は技を中断して反撃や回避に移ってもらう。
「えーと・・・こう、に、こう・・・」
「・・・」
さすがにいきなりは難しいか。
すると、奴隷さんは私の予想を良い意味で裏切ってくれた。
「てやたたたとろぅ!」
私の動きの速さの3分の1ぐらいだが一発で覚えてくれた。
「一撃目が当たらなかったらすぐに回避かリカバリーに移れ。」
そう言って奴隷さんにさっきの技をやってみるよう促す。
「て、っとぅ!・・った!」
一撃目を外し、リカバリーに移る。しかしそれも難なく躱され、彼女はきょりを取る。
「そ、そうだ。」
この人は本当に人間なのだろうか。
人間には『才能』というものがあるらしいがさすがに才能だけではどうにもならない問題も入っている気がする。
「・・・」
丁寧にお辞儀まで。これは『目』で正体を確かめたい衝動に駆られるがまたの機会にしておこう。
「じゃあ、こんな感じで私を襲ってみて欲しい。私は少し制限を外させてもらうよ。」
少し。ここが重要だ。肉体が傷つかないギリギリを引き出しているという意味だ。
安全のため体の重要部分を物理的に柔らかくしている。この時専用に取った能力だ。なぜか0人で、神の力を利用できた。
「たーててととととと、やっとう!」
攻撃するたびに声を出すのだが、注意しづらい。何となく注意したら駄目な気がするのだ。
そう思っている間にも私はかわす。受け止める。奴隷さんは間髪入れず攻撃のラッシュを続けてきた。意外と吸収というか、教えられた事を忠実にやり、更に発展させて使用している。
「そこ。」
軽く腕にチョップを入れる。
「!!」
自分の改良の間違いに気付いたのか、驚いて確認作業に入る。
「うー、やっ・・・」
グッと親指を立ててくる。大丈夫になったようだ。この子・・・本当は天才だ。
「では、私に一撃当ててみなさい。当てたら終わりだ。奴隷さんの新しい武器を作ってあげましょう。」
武器が欲しいと思うことでさっきよりも攻撃の速度が上がっている。
・・・あれ?
壊れた機械のように突然動かなくなった。
少し湯気が出ている。額を触るとそれはかなりの高温だった。
「少し水を持ってきます。そのまま。じっとしていてください。」
水を冷やす。その方法は制限具を外して神の力を使い瞬間冷却(物理)をするのだ。高くそして垂直に容器を投げ、落ちてきた容器をキャッチするとそれはキンキンに冷えたお水へと変わっている。
さっと奴隷さんに戻り、容器を額にあてる。奴隷さんは寝ている。
奴隷さんの頭だけ熱を持っている。体は思ったより常温だ。
水が温まってきた。
私はその場で天高く投げ、キャッチ。そしてまた額にあてる。
少しだけの制限解放なら私の体は朽ち果てない。筋力もついてきたことにより制限解放時の負担は減って行った。
しばらく繰り返すと彼女は目を覚ます。
「ぅ・・・・う?」
「あ、おねえさん・・・」
いい加減名前を教えないといけない。
「長い間自己紹介を忘れていた。私はナナシです。」
「わ、わたしはユグ。ユグです。」
「そうか、ユグ、気分はどうですか?」
「ふつう・・・です。」
「熱くはないか?」
「・・・すこしあつい・・・かも・・・」
ぼーっとした様子で私に話しかけてくる奴隷さんもといユグ。
「うー・・・む」
私は悩んだ結果『目』を使い状態を調べる。非常事態だしユグの事はまたの機会にしておこう。
ただの発熱。ユグはどうやら物事をよく考える傾向にあるらしく、よく考える状態が続くと発熱を起こすようだ。
治す方法?普通にしてたら治るはずだ。
「すまなかった。戦いの練習は調子が良くなってからにしましょう。」
「いえ・・・・やらせて!」
・・・手っ取り早く、そして強大な効果を持つ治療薬が一つある。それは神の力だ。とにかく人間の病気などはすぐに治せる治癒活性をつけ、治療する。欠点は体力を普段よりも多めに消耗すること。
「あとでそれを治すために苦しんでも知りませんよ。」
ユグの手を取り立ち上がらせ、私が距離を取った途端、彼女の手から炎の球が生み出されたのだ。
自分は驚いている。まさかこの世界に存在していたことすら知らなかった技があったのだ。
似た物で、友神は格闘という概念の中で生まれた技が気功法。気功法だと言っていた。
まさか、友神の言っていた『それ』だろうか。
格闘の概念・・・・あっ。
私が教えた結果なのだろうか。
素手で戦う事が無かった世界に素手で戦う事を教えてしまった私の責任だろうか。
なんにせよユグさんにはその技を磨いてもらおう。
この状態での武器は逆に足枷となることだろう。
身体能力を向上させるアクセサリーの作成に密かにとりかかった。
「その技は、磨けば光るかもしれません。頑張ってください。」
「あづいあづい」
・・・
さっと私は炎を生むのをやめさせ、治癒活性をかけ体力の付く獲物を取って来た。
それからゆっくりと日は経っていき、
「そう、そう。」
もはや避ける事で手一杯になっているが・・・
ユグの事を心配し、『目』で見るが特に問題はない。普通の熱だ。体力を回復させる方法も確かその気功法にあると聞いたので少しアドバイスしたところすぐ出来るようになった。
どう見てもこの力は人間ではない。
私は彼女を『目』で調べた。
彼女は獣と人間が合わさった子供だ。普段から頭に垂れ下げている獣のような耳は無く、体の外見はほぼ普通の人間のように作られていた。
体の外見は人間だが、中身・・・神経の部分と技に対する異常な成長速度は人間と獣の良い所だけを取ったように見える。
獣の部分は人間に都合の良い所だけを取られている気がするが・・・
何より目を引いたのがその出自だ。こちらの世界の者ではない謎の人間がまたも絡んでいる。
人が創り出した最高傑作・・・?いや、失敗作と見られており、そのまま謎の人間の知り合いの手に渡った。それが最初で出会った少し大柄な男だ。人によって作られた人間?という事はあの時あの男は殺して置けばよかった。今頃人間を造る人間に助けを求めているのかもしれない。
殴るスピードはあまり変わっていないが、新しい『力』は着々とその子の手の中へ飲み込まれていく。
戦いの時は声は出すときの「あづいあづい」しか言わない。どうにか熱くならない方法を考えたい。
私はこれまで一回も打撃を受けていない。攻撃速度はあまり変わっていないため受け止める事が容易なのだ。
しかし、ようやく私にユグの攻撃が命中した。
少し吹っ飛びながら倒れる。
「!!」
少しやりすぎたのだと思ったのだろう。だが、すぐに大丈夫だと分かる。
「だ、大丈夫...です。」
「約束通り、武器を作りましょう。」
武器。この子には武器は必要ないだろう。手を保護するバンテージ程度でいい。
人間を18人天国送りにし、手に入れた装備。
これで天国送りは219人。許して欲しい・・・
見た目は布。簡単にほどけないように形状を作り、ユグの手に合うように作る。
ユグにそれを巻いてもらう。
しっかり巻くと、バンテージは持ち主の手を守りつつ、透明になって見えなくなった。
足も同じように布を巻く。
この布。自動修復・ステルス効果付きの布だ。
私には現時点でただ一つ心配事があった。
『技で手足を傷めないか』だ。
ステルス付きなら相手に武器が素手だと悟られる事はない。
足も巻き終わり、しっかり固定されたことを確認すると透明になって最後にはただの裸足に見えた。
まあ靴は履くため、足に必要なチカラは自動修復だろう。
ついでに3人天国送りにし222人。手に入れた物は、こちらの制限具とは別に「付けるだけで強さを得られる」能力具をユグに付ける。
しかし、この姿を見て更に欲望が増えたのだ。
彼女の本当の強さを引き出すために私はロッドを作る。気功法が安心して使える、先端に特殊な物質(神の力で創造した唯一つの品)を埋め込んだ杖だ。
もう少し足す。同じロッドを作り、両手に同じ杖を持った変な女性と思われるだろう。
一本15人。総数にして252人の人間が天国送りになったことだろう。
私は強くなりたいというこの子のためにかなりの強化を施した。強さに見合う強化だ。
ユグは少しこの拳の練習が意味を成さない物かと思い落胆したが、しっかり『それ』を使えると言うとはしゃぎながらその杖を振り回していた。
・・・仕方ないだろう。私にとってこの人は消滅のリスクを遠ざける頼みの綱。侵入し続ける『奴』を倒すにはまだまだ力が足りないのだ。
少し杖の性能について触れておく。
一言で言えば鈍器だ。気功法によって強化された鈍器といったところだ。
気功で作った少し炎を纏った弾をロッドの先端から沢山出して遊んでいる。
「忘れていると思いますが、そろそろ狩りに行きましょう。」
やりすぎたが丁度いい。謎の人間二人を倒す。
道中で適当に取ったモンスターを食べ、私達は少し騒ぎの大きい街の中へと入る。
「........」
話す声が多すぎて何を言っているか判別できない。
「ユグさん、わかりますか?」
当然、首を振るかと思ったが、
「ひとがころされてるっていってるよ」
・・・
とりあえずユグの頭を撫で、『目』を使い上から確認する。
本当だ、人が無残にも横たわっている。私が殺した人間ではない。この世界に元々住まう人間だった。
モンスターなどでよく人が死ぬこの世界ではあまり不思議な事ではない。
なぜ人が集まっているか。遊ばれたように殺されて、殺された金色で短い髪の男の表情が恐ろしいところにある。ここの人間はこんな顔は滅多にしない。大抵すぐ殺すか殺されるかだ。
私はこの世界の記録を見るように過去を見る。
過去と少し過去を見比べる。死体はここへワープしてきている事が分かった。
「犯人はこの中にはいないはずです。少し下がっていて下さい。」
そう大声で言われ、沢山の人は下がった。
濃密な奴の気配。それも魔法が使える人間だ。
念のため、『目』を使う。・・・いるじゃないか。死体から見て私がいる方向とは真反対の方向に。
当然この人間の事を調べる。出自不明な事はわかっているので、体の状態だ。
・・・平然としているようだ。
まあ、殺す相手。何か言わないか待ってみよう。
~少し前~
酒場。
「おうお前にちぃと殺して欲しい人間がいるんだわ」
「どんな奴だ?」
俺は頭のよく回る友人からどんな奴かを聞く。
俺達は偶然知り合ったが、日本人だと知った事もあり仲の良さはとても良い。
しかし、この世界の人間には毛ほども同情する事はない。
俺は人間の特徴を聞き、惨殺する。
誰にもばれないように、俺は「指定転移」と「ステルス」の能力をもらっている。最初はなぜだと泣きたくなるような能力だったが、今ではこんな感じに大活躍。俺の飯もそれで食えるってわけだ。
「やってきたぜ。朝にはもう騒がしくなってるだろ」
「ご苦労さん。報酬だ。」
誰かから依頼された物だったのか、少し袋が膨らみコインがジャラジャラいっている。
「おお、こりゃ3日と持つぜ」
「普通に暮らしてりゃ10日は持つだろうにお前はなんでそんな豪遊してんだ」
「そりゃあ、ストレス発散よぉ」
日々、新しい惨殺の方法を考え道具を買っている。それで俺は満たされている。
当然お金はすぐ尽きる。だから次の人を殺して金をたんまりと貰う。貰うはずだった。
~現在~
―お、だんだん楽しく騒がしくなってきたなぁ。―
―「犯人はこの中にはいないはず」だってよ。―
―私は笑いたくなる衝動を抑え、言われる通りに下がる―
―さて、この探偵気取りのお姉さん。一通り楽しんだら次のターゲットにするかな。―
「へえ、犯人はこの中にはいないはずですか!それは本当なんですか!」
―我ながら見事な演技だ―
「えぇ、いませんよ」
―ニッコリと微笑みながらいません宣言!ハッハッハ、探偵ごっこかよ―
「どうしてわかったんですか?」
―私は畳みかけようとする。民衆は味方だ。ハッwwこの人間いじめるの楽しい。―
「あなた以外、犯行は不可能だからですよ。」
「この世界の人間の中には犯人はいないはず。と言いましたよ?」
―青髪の探偵ごっこは徐々に私を追い詰めている。―
―今、この世界の人間?この世界の人間と言ったのか?何を言っているのだ。俺にはさっぱり理解できなかった。―
「えぇ、皆さん。疑いは晴れました。この男一人を除いて。」
―民衆が一瞬にして私を見る。―
「はぁ。私を犯人に仕立て上げようとしたって無駄ですよ?だって私はこの世界の人間です。」
―この時、『この世界』を勘違いしていたのは言うまでもない。―
―女性はニッコリ微笑みながら―
「では、この世界の人間という証拠を出してください」
―困惑した。―
―この世界の人間である証拠?―
「しょ、証拠ってなんだよ」
「証拠は証拠です。」
―女性は余裕そうに隣のガキにささやき声で話している。―
「皆さんはもってますよねー?」
「家!」
―ああ!やら、そうだ!やら、ばかにしてんのか!などの声が上がる。―
―え?・・・家?―
「この人間は家無し冒険者。だからこの街の住人でも、この世界の人間でもありません。」
「どこでもいいですから、自分のい えへ案内してみてください。」
―家無し冒険者?意味が分からなかった。―
「ちなみに、私の家はこの山にあります。」
―彼女はヒントを言っているのか?―
効いているようだ。
奴らの特徴。
謎の奴らは家は作らない、住んでいたはずの家族の家は確実にないのだ。誰もが成長した状態で他の世界から来ているためである。当然私は神なので家は無い。バレたら真っ先に私に矛先が向くだろう。
家がなければ家族の家を指すはずだが、それもなければなんとか言い訳をして自分の家が無い理由をしゃべる筈だ。
冒険者。奴らが目的を果たすのにちょうどいい職業。
誰かにそそのかされたか、誰もが一つの目的に向かって旅をしているわけだから必然的に家なんて面倒な物は持つ必要が無い。
彼らは『宿』を拠点にしているのだ。
毎日金払って住んでいる家を自分の家と呼べるだろうか。それは否。
「家、ないんですか?」
そう言ってやると、男は何か思いついたように無言で案内をする。
「着いて来るように。もしもがあれば頼みました。」
ユグにその事を言い、ついてこさせる。
既に戦闘態勢。制限も外している。
少し歩けばそこは洞窟だった。
広い。生活感のある。
正にこの男は『野宿』をしていた洞窟を『家』として案内したのである。
「ここならだれにもばれねえか。」
―少し顔は笑っていた。―
―たかが女と子供一匹ずつ。勝てるわけがないと思っていた。―
―俺はどんな拷問をするか、思いついたため指定転移で必要な物を取ろうとする。―
「ロッド。」
理解したユグが炎弾を飛ばす。
「だああああ!!よくも・・・よくもぉぉ!!」
―・・・奴ら。魔術師か!?―
こちらへ向かってくるが、これだけ広い洞窟だと何か・・・
スッ。
簡単に腕は斬り落とせた。
「次は足ですね。」
笑みは崩さない。
―誰だこいつは!!アイツの言っていた通りじゃねーじゃねえか!―
―強い人間が二人?奴ら。。見慣れない物を持っているな。―
―まさか・・・同族?―
―事実、大外れな日本人説を素直に信じる俺は、簡単に相手に情報を渡す事となった。―
「お、おめぇ・・・ら。にほんじん・・・なんだ、ろ?」
「にほんじん?何のことでしょう。」
―なんで・・・だ?―
―少し体の力が入らなくなってきた。―
―ああ、これから惨殺されるのかもな。―
―こいつ探偵気取りだけど十分に強いもんなぁ―
―俺は今まで完全に消えたと思っていた罪の意識が芽生え始めていた。―
思わぬ情報が手に入った。彼らは「にほんじん」と言うのか。言語は違うが、言っている事は理解できる。
奴らの『種族』だ。
「情報、ありがとうございました。」
―・・・―
―俺に楽に死ねってか?―
―それが最後の思考だった。―
苦しみ無く死ねるよう即座に止めを刺し、私は街へと帰る。
失念していた。奴は二人組。その内の一人だったのだと。
街へ帰って来た私は少し驚いた。私が悪者へと仕立て上げられていたのだ。
「ふむ。では私は用が済んだら帰りますね。」
用。奴(にほんじん)だ。ホラを吹いているのはいくら調べても奴である。
~~~~少し前~~~~
奴の様子をたまたま見に行った。
すると奴が悪者だと口々に言うのだ。
・・・ふむ。
私は殺したい物リストにその悪者だと言わせた人の特徴を書き、賞金も書く。
「その人が本当に殺した可能性は?」
と訊きました。
「本当はあの青髪の女性が殺したのではないですか?」
ざわめく。私は続ける。
「皆さん。あの人を殺した者には賞金1500ガル差し上げましょう」
民衆が冷静に戻る。
私を非難する。
「でも、家が無い人が犯人だと言いましたよね?彼女は」
「彼女を見かけた方はいますか?」
誰も手を挙げない。こんな特徴的な子供と女性見た事がないのだ。
「それなら、この街の人間ではないです。」
「彼はしっかり家を案内しました。それが唯一の証拠です」
民衆が続々と理解していく。なんて分かりやすいのだろう。
しかし、こいつらが味方になっているのは心だけであった。体は味方していないと初めて知るのはもう少し説得してその女性が現れた時である。
~~~~現在~~~~
「さあ、こちらへ来なさい。私はあなたへ話があります。」
死体はまだ片付けられてはいないようだ。
「その死体は綺麗に埋葬しておいてください。その人が報われないでしょう。」
ブーブー民衆がヤジを飛ばすが、早く、と言えばすぐに従った。
民衆は放っておいて。
「あなたですか。『にほんじん』という輩は。」
「な、何だよ。てめえか俺の仲間を殺したやつは」
―何か変だ。この女は。―
―死体を見ても何も怯えない。それどころか剣には地面に垂れてはいないがたっぷりと血が。―
―民衆はなぜみんな気がつかないのか?―
「頭は回るようですが。過去は変えられません。あなたも同罪です。」
それは奴から私の世界を守るための嘘なのだが、『罪』という事には変わりないだろう。
「ユグ。やっていいですよ。」
嬉しく、楽しく、ロッドから炎弾を乱射するユグ。
どうやらそれが気に入ったようだ。
そっちはというと、衝撃に熱で様々な所が変形している。
「びぇ!ぐ!ゲガガガガガ」
―あついあついあついあつい!!肌が溶けている。―
―俺にいきなり何すんだと口で応戦したいが暴力は止まる事を知らず激しく私の体を焼いて行った。―
二人目。間違いないと確信していた。当然『目』で事前に調べていたので確信などいらないのだが。
「止めもやりますか?」
「いいよ。そっちがやって。」
ユグは少したくましい。
首めがけて断剣でスパッとね。
首が転がるし邪魔なので、適当に遺体を持って外へ出て、土に還した。
「少しは楽になりましたが・・・」
そう言いながら体の汚れを神の力で地面へ落す。ユグは遠距離なので血が付く事もないだろう。
だが、どちらの人間も私達が先制攻撃だ。
その先制攻撃で奴らは大きく怯むので『一方的』という言葉が似合っている事だろう。
まだまだ私を消滅させる人間が沢山蔓延っているため次の「にほんじん」を探すため今日あの洞窟で寝た。
「明日の場所は・・・」
『目』で探す。色々とあるが近い所でいいだろう。
明日の朝飯であるブラックボアーを仕留めて私は休んだ。




