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【熱狂維持指定バンド】STARDUST NOISE ―元V系バンド、アイドルになる―  作者: 雪見もち子
第2章:スタノイ始動編

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【3-4】:謎に包まれし社長ーー襲来。

「ああ、NOXUSの社長、変わり者だって言うしね」


 快の言葉にふと記憶が呼び出された悠人は、腕を組みながら唸り声を漏らした。


「んー、なんだっけ? あれ、キラキラスパンコールのクソダサシャツに、ウエスタンブーツとか……」


「レインボー色がどうとか、サングラスをかけてるっていうのも聞いたことあるよ」


 悩ましげな悠人に、快が補足する。


「なんだそれ、抽象的過ぎるだろ……」


 悠人はますます混乱した。

 そして、想像を膨らませるように脳裏に言葉を並べ、姿を浮かばせる。


「……てか、キャラ濃過ぎね?」


 賑やかな脳内のイメージ図に、悠人は背筋を震わせた。


「……まあ、ヴィジュアルはとてもインパクトのある方ですよ」


 間を置きつつ、加納が言葉を濁す。


「ふーん。あ、そう言えば、俺ら挨拶してないけど良いの?」


 煌は今気づいたと言いたげに加納へ問う。

 その反応に三人がやや遅れて認識すると、加納へと全員の視線が向かった。


「ええ、その件に関しては、この後通知が――」


 加納がテーブルに置いたままのスマートフォンを確認しようとする。

 だが――。


「ん?……なんだ? この音」


 そこへ悠人の声が上がり、加納の手が止まった。

 悠人は何かを探るように耳元に手を当て、廊下側に向かって耳を澄ませた。


「どうした、何が聞こえた?」


 漣がじっと悠人の様子を観察し、悠人は廊下側へ視線を向けたまま僅かに眉間にしわを寄せる。


「あー……分かんねえ。けど、足音が近づいて来てるような……」


 全員が不審そうに廊下の方へ意識を向ける。

 すると、扉の外からドタドタとした足音が聞こえ、加納が何かを察したのか苦虫を潰したかのような表情を浮かべた。


 その時――。


――バーン!!


「うお!?」


「は……?」


「まぶし……っ!」


「……誰だ」


 突如控え室の扉が豪快な音を立てて開き、眩い光を放ちながら何者かが現れた。


 加納はズレた眼鏡のブリッジに指をかけ、小さく溜息を吐いた。


「……ああ、来ましたね」


「STARDUST NOISEの諸君!!」


 急な登場と大きく張られた声に、全員が無言で肩を跳ねさせる。


 だが、そんな彼らの空気など構わず、その男は逆光で暗くなるサングラスをクイっと上げた。


「君たちの活躍には今後期待している」


 くるっとターンを決め、背を向けたまま上半身だけを捻る。


「……熱狂度を維持せよ」


 ビシッ!と四人に向けて指を差した。


「「……」」


  呆気に取られ、何も言えない四人。


「……社長、入室前には事前にノックを――」


そこへ加納が真顔で苦言を呈するが……。


「社長。次のMTGがあと120秒後です」


 社長の隣にいる秘書の男が淡々と告げた。

すると、社長は固まっていたポーズからグルンと上半身を戻す。

 そして、彼らに背を向けたまま片手を挙げた。


「……以上! アディオス」


――バタン!!


 嵐のように過ぎ去る男。

 取り残された四人と加納。


 奇妙な時間に、しばし四人の思考が静止した。


「……は?」


「え、それ……だけ?」


「……まあ、社長はああいう方なので」


「いやいや。それにしたって、アレは常識的に考えてないだろ……」


「挨拶もだけど、あの格好、派手過ぎない? え? 新人類……?」


「……滞在時間、1分も無かったぞ」


「NOXUSの社長……うん。なんか、勢いスゲーんだな……」


  唖然とする四人。

 何とも言えない空気が控え室に広がった。


「あれが社長の普通です。癖は強いですが、仕事はできる方なので」


  遠くなる加納の目。


「皆さんも慣れてください……」


 そして、締めに深々と溜息を零した。

次回▶︎定期更新:金曜の20時。


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