第十一話 王太子は父を少しだけ知る。
この話を昨日に投稿できなかったので、今日は二話投稿します。
「父様、失礼します」
もう、夜の帳が降りてからどれほどの時間が経ったのだろうか。窓の外には、底の知れない夜の深淵が広がっている。そんな夜更けに、シルヴェストルは父の自室を訪れていた。『誰にも知られずに』と念を押されていたため、侍女を伴うこともなく、一人でここまで来たのである。
部屋の中にいたのは、父一人だった。豪華絢爛なソファに腰掛け、片手には何やら書類を持っている。しかし、書類へ目を落としているわけではない。その視線は既にシルヴェストルへ向けられており、自分が入室した瞬間から、じっとこちらを見つめていた。
「こんな時間にすまないな」
「いえ。こちらこそ、お忙しい中ありがとうございます。その日のうちに話せる方が良いですから」
「もし移動が面倒なら、今日は王宮に泊まっても良いのだぞ?」
「それでは皆に示しがつきません。きちんと寮に戻りますよ」
そう答えながら、シルヴェストルは立ったまま父と向かい合っていた。すると父は、自身が座っているソファの空いた場所を手で軽く叩いた。
「来なさい」
シルヴェストルは、思わず瞬きをした。
実は今まで、自分は父と二人きりになったことがない。父と会う時には、必ず誰かが傍にいた。それは執事や侍女であったり、母であったり、そして伯母であるリリスであったりした。特にリリスは、シルヴェストルと父を二人きりにさせることを極端に警戒していたようで、彼女が同席しているか、少なくとも誰かしら第三者がいることが常だったのである。
だからこそ、シルヴェストルは父について、実のところあまりよく知らない。知っているのは、威厳に満ちた冷徹な国王であること。そして、実の姉であるリリスには逆らえないこと。
その程度の認識しかない父が、何の躊躇いもなく自分を隣へ誘っている。そのことに戸惑い、シルヴェストルがその場から動けずにいると、父の瞳が不満げに薄紅色へと染まった。
「なんだ、嫌なのか」
「あ、いえ……し、失礼します」
慌てて、シルヴェストルは父の隣へストンッと腰を下ろした。
「あの、それで」
「学園での生活は順調か?」
本題を切り出そうとしたシルヴェストルを遮るように、父は何気ない調子で問い掛けてきた。
「えっと……順調だとは思いますが」
「そうか、それは何よりだ。学園には国中の貴族達が集まっているから、人も多いだろう? 何か問題が起これば、気兼ねなく相談しなさい」
「あ、ありがとうございます……?」
あれ、とシルヴェストルは僅かに首を傾げた。父は、こんな世間話をするような人だっただろうか。
そんな疑問を抱きながらも、質問には一つずつ答えていく。すると父は、シルヴェストルが学園でどのように過ごしているのか、勉強で困っていることはないのかなど、主に学園生活に関することを次々と尋ねてきた。
その一つ一つへ答えているうちに、少しずつ時間が過ぎていく。もしかして、このまま終わってしまうのではないだろうか。そんな不安が脳裏を過ぎり、シルヴェストルは意を決して口を開いた。
「あの、とうさ」
「それで」
先程までの穏やかな声音から、一段低くなった声が落ちた。その圧に、シルヴェストルの身体が僅かに震える。
「何故、今更ルシファーを側近候補に加えようと考えた?」
そう言って、父は手にしていた書類をひらりとシルヴェストルへ見せた。それは数時間前に父へ提出した、ルシファーを側近候補に迎えることについての書面だった。
「以前私達が勧めた時、其方は彼を断ったであろう。私はそれを、姉様の干渉を少しでも抑える為だと考えていたのだが」
「それは、そうですけど……」
「ならば何故だ? 以前の其方は、彼を入れる利点と難点を比較し、後者を選んだ。一体、何があれば考えを変える?」
「それはっ……!」
父から真っ直ぐに問われ、シルヴェストルは思わず言葉に詰まった。答えようとしても、息が上手く通らない。別に怒鳴られたわけではなく、それどころか父の声音は至って冷静だった。それなのに、目の前にいるのが国王であり、そして自分の父親でもあるという事実が、今更ながら重く圧し掛かってくる。
そんなシルヴェストルの様子を見て、父は呆れたように息を吐いた。
「こんな序盤で怯むでない。私はただ問うただけだぞ」
「そんな、無茶なことを言わないでください……」
ムッと唇を尖らせた瞬間、シルヴェストルの瞳がここに来て初めて、灰色から薄紅色へと変わった。
すると何故か、父が目を見開く。
「シルヴェストル、其方……」
「? なんでしょうか……って、うわっ!」
次の瞬間、父はシルヴェストルの身体をひょいと抱え上げ、そのまま自分の膝へ乗せた。
「な、何を……!?」
「ごめん」
「ご、めんとは……?」
あまりにも突然のことに、シルヴェストルは目を白黒させる。
「ごめんね、シル……こんな不甲斐ない父で……」
「いや、だから何が……」
何を謝られているのか、全く分からない。先程まで威厳に満ちた国王そのものだったはずの父が、何故か今は見る影もなくへにょへにょになっている。しかも、何気に初めて愛称で呼ばれた気がする。
そんな困惑するシルヴェストルを抱き締めながら、父は何故か嬉しそうに口元を緩めた。
「だって、シル。やっと瞳の色が変わったよ」
その言葉に、シルヴェストルは目を見開いた。
「今までず〜っと灰色しか見てなかったのに。今、薄紅色になってる」
嬉しいと呟く父に、シルヴェストルは何度か目を瞬かせた。
「……赤色で喜ぶ人、初めて見ました」
王族の瞳は、血統魔法の影響によって感情に応じて色を変える。そして、赤系統は『怒り』を表す色だ。その色に恐怖を覚える人間ならこれまで何度も見てきた。だが、それを見て歓喜する人間がいるとは思ってもみなかったのだ。
「だって〜、脅されたとはいえ、僕が姉様にシルを任せたせいで、シルってば全然感情が動かなくなっちゃったんだもん。責任感じちゃうよ」
本当にごめんね、と頭を撫でながら繰り返し謝る父に、シルヴェストルは次第に呆れてきた。
「……私の瞳が灰色なのは、心を守る為に身につけた防衛機能ですよ。何事にも『無関心』でいれば、伯母様もそんなに文句は言ってきませんでしたから。別に、父様が全面的に悪いわけじゃないです」
伯母が自分に付けられた当初は『こんのクソババアを充てがったクソ両親どもめ』と思っていたこともある。けれど、今となってはそこまで父を恨んでいるわけではない。母については兎も角、父が自分を心配してくれていたことだけは、幼子だったシルヴェストルにも何となく伝わっていたからだ。
ただまあ、父に対して苛ついていないのかと言われれば、そんなわけでもないのだが。
「シルは優しいね。本当に、こんな僕から生まれた子なの?」
「笑えない冗談はやめてくださいよ」
自分が生まれた当時の状況を把握しているシルヴェストルは、思わずそう突っ込んでしまった。
何故、今の王家に子供がシルヴェストルしかいないのか。それを一番痛感しているのは父自身だろうに。
「そうだね〜。笑えない冗談だった」
フフッと笑いながら言った父だったが、その目は笑っていなかった。どこか遠くを見つめるような、そして何かを睨み付けるような目をしている。
「ほんっと、笑えない」
何だか空気が悪くなってきた気がする。シルヴェストルは慌てて話題を変えるように口を開いた。
「それにしても、父様って素はこんな感じだったんですね」
「そうだよ。こんな感じだから、いつもは『キリリと格好良い国王』っていう仮面を被ってるだけだよ?」
「それ、自分で言うものではないと思いますけど」
「シルが僕に呆れてくれた……!」
ジ〜ンと感動している父を見て、シルヴェストルは頭を抱えたくなった。
呆れるくらいは今までもしていましたが!? と言ってやりたくなったものの、父の前では一度も無かったなと思い直す。いつも威厳に満ちた父に畏怖していたこともあるが、そもそも呆れることが出来るほど会っていなかったのだ。いや、正確には会わせてもらえなかった。
「そんなに私のことを気に掛けていたのなら、今までも会いに来れば良かったではありませんか」
「会いに行こうとはしてたよ。でも、み〜んな邪魔してくるんだもん。特に姉様」
だから、ようやく二人きりになれたのがとても嬉しいのだと、父は笑った。
「シルのおかげだよ。姉様達に気付かれないよう、連絡用の魔術具で僕に直接聞いてくれたんだよね?」
「まあ、そうですが」
シルヴェストルの気のない返事など気にも留めず、父は嬉々として言葉を続けた。
「僕からの面会依頼だと紙しか無理だから、どうしても人を介してしまうんだよね。でも、シルが直接聞いてくれたおかげで、僕は誰にも気付かれずにこの場を用意することが出来た。本当に頑張ったんだよ? ジュリエンヌ達には知らせてないし、執事や侍女も遠ざけたし、姉様にも勿論気付かれてない」
褒めてと強請る父に、シルヴェストルは嫌な顔をする。
「そんな子供みたいなこと言わないでくださいよ。もう47でしょう?」
「うぐっ」
大きな精神的打撃を受けたらしい父は、ガクッと頭をシルヴェストルの肩へ乗せた。
「もう、現実を叩き付けないでよ〜」
「場合によっては『おじいさん』と呼ばれる年齢ですよ。母様と結婚して、もう27年でしたっけ?」
「うわぁ、そんな歳について言わないでよ〜」
「本当に子供みたいですね」
シクシクと泣く父を見て、シルヴェストルは正直、少し引いた。
「……まあね、ちょっと気持ちが暴走しちゃったのは否めないけど」
ところが、父は次の瞬間にはパッと涙を止めていた。シルヴェストルが、まさかわざと涙を流したのではあるまいな、と疑いの眼差しを向けると、父は今度こそ真剣な表情でシルヴェストルを見返す。
「それで、なんでルシファーなんかを追加するの?」
「なんかって……」
「姉様の子供は全員信用出来ないもん。絶対何か吹き込まれてるし、必ず姉様の味方だよ」
あまりにも身も蓋もない言い様に、シルヴェストルは眉をひそめた。
「ルシ兄は伯母様の暴走を事前に察知して、私に伝えてきたのですよ。代わりに自分が伯母様の『お仕置き』を受けることになっても。これでもルシ兄を信用出来ませんか?」
「……シルはまだまだ分かってないね。あのルシファーの様子だけで安全だって決めつけるんだ。姉様がルシファーに命じて、わざとあの態度を取らせたという可能性もあるよ」
「父様が知っているのは『影』からの報告だけでしょう? それだけで信用出来るかどうかを判断するのですか?」
遠回しに自分の判断が間違っていると言われた気がして、シルヴェストルは思わず言い返した。
「そうだよ。その為に『王家の影』がいるんだ。信用出来る情報をくれる確信がある奴しか入れてない」
「『王家の影』に伯母様の影響が無いとは言い切れません。それに、逆に別の勢力の影響があるかもしれないのですよ。入れた後に懐柔される可能性もあります。父様は本当に『影』の全員を把握していらっしゃるのですか?」
「それは……」
今度は父が押し黙った。困ったように眉を下げながら、じっとシルヴェストルを見つめている。
「……シルは案外、頑固なところもあるんだね。初めて知った」
「話を逸らさないでください。で、結局ルシ兄を側近候補に入れて、マエルを外さないという許可を出してもらえるんですか? 父様は、あの場のやり取りをご存知なのでしょう?」
まどろっこしいやり取りに苛立ち、シルヴェストルはとうとう本題を突き付けた。
父は宙へ視線を向け、う〜ん……と唸る。
「僕個人としては、マエルを外す気はないよ。僕らが勧めた者達を断ってまで、初めてシルが自分で選んだ側近候補だもん。先祖に反逆者がいたことは分かってるけど、本人には何の関わりもないし、そういう危険思想を持っていないことは調べがついてる」
父はそこで一度言葉を切り、チラリとシルヴェストルを見た。
「問題は、ルシファーの方。前に僕が彼を推したのは、単に姉様がごり押したからだ。それが無ければ、逆にやめとけって注意したよ」
「……それは、何故ですか」
半ば涙目になりながら、シルヴェストルは青色へと変わった瞳を父へ向ける。父はそんなシルヴェストルの顔を見て少しだけ眉を下げると、あやすようにゆっくりと頭を撫でた。
「シルも気が付いているから、前は断ったと思うんだけど……ルシファーがシルの側近候補になったら、姉様がルシファーを通じて、今まで以上にシルの言動へ口出ししやすくなる。ルシファー自身がどうこうって話じゃないんだよ」
「…………」
「だから、分かってくれるかい?」
柔らかな声音で問われても、シルヴェストルは頭を横に振った。
「それでも、私はルシ兄を信じます」
迷いのない声だった。
「信じるなどという問題ではないことは分かっています。父様が言っているのは、ルシ兄本人が良い人か悪い人かという話ではなく、伯母様がルシ兄を通じて私へ干渉出来るようになることが問題なのだということですよね。それくらい、前々から分かってました」
一度言葉を切り、シルヴェストルは自分の中にあるものを確かめるように、静かに息を吐いた。
「ですが……今日のルシ兄の言動を見て、私はルシ兄とも一緒に歩みたいと感じたのです」
「そう。僕はあれだけでは信じないけど」
父の声は、先程までの柔らかなものとは違っていた。冷たくて、まるでそこだけ温度が失われたかのような声音だった。
それでもシルヴェストルは怯まず、父の冷徹な視線を真っ直ぐに受け止める。
「父様が危険を事前に避けようとするのは理解出来ます。私も、相手がルシ兄ではなく、例えばエル兄やクロ兄なら、今回も断っていました」
「まあ、そうだろうね。エルヴェやクロヴィスはもう学園を卒業して数年は経っているし。長男と次男だから、姉様から受けている影響もルシファーよりずっと大きいだろうね」
父は、どこか納得したように頷いた。
「はい。ですが、ルシ兄は三男です」
シルヴェストルは、そこで一度言葉を切った。
ルシファーはまだ中等部三年であり、これから先も長い時間を残している。今まで伯母の傍にいたとしても、これから先もずっとその影響を受け続けると決まったわけではない。少なくとも、シルヴェストルはそう信じたかった。
「まだ、手を差し伸べることは出来ると思うのです」
そして、その言葉だけは、どうしても曲げたくなかった。
「もし何かがあれば、その責任は私が持ちます」
シルヴェストルが真剣な顔で告げると、父は暫く何も言わなかった。ただ、じっと息子を見つめている。
やがて、父は小さく息を吐いた。
「……分かった」
そして、諦めたように両手を上げる。
「そこまで言うなら、認めるよ」
「本当ですか?」
「うん。シルがそこまで言うなら、僕が無理に止めてもどうしようもないからね」
あっさりと許可が出たが、その表情には納得した様子がない。むしろ、仕方なく折れたという方が正しいだろう。
「でも、シル。これは忠告だけどね」
父の声が、僅かに真剣なものへ戻る。
「ルシファーを全面的に信頼しちゃダメだよ」
「……分かりました」
「本当に分かってる?」
「分かっていますって」
少し投げやりに答えた途端、父の右手が伸びてきた。
「ちょ、何を……」
ムニムニ。
「や、めてください」
左頬を指で押され、シルヴェストルは顔をしかめる。
「だ〜め、きちんと心に刻まないと。それにしても柔らかいね。さすが子供のほっぺた」
「私、もう12歳なんですけど」
「12はまだ子供でしょ」
やわらか〜、と嬉しそうに笑う父を、シルヴェストルはじろりと睨み付ける。
「……取り敢えず、許可は得たので、伯母様の相手は父様に任せますから! 今までのように押し切られないでくださいね!」
「ちょ、意地悪! それは僕に押しつけないでよ……もう、そんな睨まないで……」
父は途端に情けない顔をし、それから観念したように肩を落とした。
「分かったよ。……鞭打ちで済んだら良いなぁ」
はぁ、と溜息をついた父に、シルヴェストルは首を傾げる。
「『お仕置き』って、鞭打ちよりも更に上があるのですか?」
「あ〜……まあ、姉様も五十路超えてるから、さすがに〝本番〟まではしないと思うけど……僕でもドン引きするくらい若々しいからなぁ……その、ね? 今のシルには聞かせられないやつだから」
そう言って、父は右手の人差し指を自身の口元へ当てる。
「だから内緒」
「…………?」
シルヴェストルには、何のことなのかさっぱり分からなかった。
確かに伯母はまだ20代前半かと思うような美貌だが、父も同じぐらい若々しい。父の他の兄弟姉妹たちも若いので、おそらく王族の遺伝子が関係しているのだろう。その若々しさが関係するのかな、とは思ったが、それが何を表すのかは分からなかった。
「シルヴェストル」
そんなことを考えていると、父が不意に名前を呼んだ。先程までのふざけた調子は消えていた。
父は微笑んでいる。けれど、その瞳にはどこか寂しげな青色が浮かんでいた。
「君がいつか、笑うことの出来る日を待っているよ」
「……笑う、ですか?」
「まあ、僕が言うべきことではないけれど」
その言葉に、シルヴェストルは僅かに眉を寄せた。どうして父がそんなことを言うのだろう。自分は別に笑えないわけではない。ただ、笑う必要がないだけだ。感情を出さなければ余計な面倒事に巻き込まれずに済む。そうしてきたからこそ、今まで何とか伯母の傍で生きてこられたのだ。
だから、別に笑うことなど。
「…………」
シルヴェストルは、何も言わなかった。ただ、父の言葉だけが、妙に耳に残った。
それから父は、時間が許す限りずっと、シルヴェストルの頭を撫で続けてくれた。
「そういえばシル、友達は出来た?」
「いえ、そこまで仲良くなれる相手はまだ見つけられてなくて。父様の時はどうだったのですか?」
「あ〜、僕は仲良く出来そうな相手を見つけても、もれなく姉様の信奉者になっちゃったから」
「あー……で、では、父様の学園生活の中で、一番思い出に残っていることってなんですか?」
「思い出か……入学初日、性格も見た目もとても好みな女の子がいたから、仲良くなろうと思って声をかけたんだよ。そしたら次の日には姉様の信者になってて。ああ、姉様の影響力は果てしないんだなって感じたことかな。前日まで姉様のことをよく思ってなかったのに、『エマ様、リリス様ってとても麗しくて気高き女性なんですね! そのような素晴らしいお姉様がいるなんて、エマ様も幸せ者ですね!』って言われた時の衝撃、今でも忘れられないよ。ちなみに、この時の女の子がジュリエンヌだよ」
「か、母様との馴れ初め(?)だったのですね……」
「そうだ。シルはどうなの? 学園はまだ入ったばっかりだし、今まで生きてきた中で一番記憶に残ってる思い出は?」
「んーと……四歳の頃、伯母様に食料もなしで三日ほど倉庫に閉じ込められたことですかね? 水魔法を使えたから、まだ何とかなったものの……普通に死を悟りました」
「あ、それ僕もやられたことある。確か、学園に入学する一、二年くらい前の時かな。なんか、人間が水だけでどのくらい生きられるのか知りたかったらしくて。流石に一月経ったら式典があるとかなんとかで出されたけど……いやぁ、懐かしいね」
「…………お疲れ様です」
「ん? うん、シルもお疲れさま」
という会話があったとか……。
※ちなみに、父の名はエマニュエル、母の名はジュリエンヌです。




