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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第7章:野球の日々

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84/120

光太郎の投球

 左のスリークォーター。長身から投げ下ろす角度のあるストレート。自己流のフォームをいじられたことがないせいか、右打者のインコースにはベース近くで手元で食い込み、アウトコースはナチュラルに逃げていく…投手としては好ましい性質を光太郎は持っていた。

 真ん中に投げ込めば自然と各ゾーンに散らばるほどコントロールに難があるわけでもない。


 初球の田所の要求は真ん中高め。

 力勝負を選択することにしたようだ。

 トップバッターは初球を見逃しストライク。

 俺と同じく挨拶代わりの見逃しなんだろう。


 短い間隔で2球目の投球動作に入る。いまや絶滅危惧種となったワインドアップ。

 美しく背筋の伸びたフォーム。これだけで光太郎の何番目かのファンに俺はなっている。


 再び同じコースにストレート。

 同時に相手のトップバッターは反応し…高い金属音を残してフライを打ち上げた。

 まさにホームベース真上のキャッチャーフライ。

 難なく田所は捕球してワンナウト。


 光太郎は続く2人に対しても高めに投げきり、どちらも内野フライに打ち取った。

 投げた球数はわずかに6球。


 1年生にしてまるで格が違うかのごとく、すべてがストレートだった。


 ・・・

 次はまた俺からだ。6点を失ったとは言え、相手エースは続投してきた。信頼感が厚いのだろうし、彼にしてみれば最後の試合になるかもしれないのだ。


 キレのあるスライダー。そして抜いたチェンジアップ。俺はなす術なく三振した。

 ベンチに帰る時に沢村に

「別人だ。振らなきゃ当たらないぞ」

 と伝える。

 見逃してカウントを追い込まれたら変化球で仕留められる…シンプルに好投手だと認めたのだ。

 ならば必然的に早打ちになる。

 沢村も市川も早いカウントからスイングし、結果3三振。

 本当に別人になっちまった。


 光太郎も田所の要求に首を振ることなくストレートだけを投げ込み…結果として点差こそ確かについたものの明らかに投手戦の様相を呈していく。


 3回を終わり点差は変わらず6対0。

 そして初回の長い攻撃こその割には試合時間はまだ一時間にも満たなかった。


 4回の攻撃は7番菅から。

 監督は前から代打を本人に告げていた。まだ出たかったであろうに菅は

「グッジョブ。菅くん」

 と千種から声をかけられ目を潤ませていた。


 さすが室賀組の結成メンバーだけあって、直々の激励に感動したようである。

 元早名組の俺には関係ない話だが。


 代打、黄田が打席に向かった。

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