室賀の乱2
どこにでもいる千種は、ピリピリとした雰囲気を隠そうともせずみささんに立ち向かう。
今年の日本選手権400m個人メドレー、800m自由形を制したみささんに対して物怖じしない。
…そもそもこの2人、マネージャーと選手だろうに。
…あ、でも高2になりどこか超然とした雰囲気を纏いつつある千種に対して、真っ向勝しそうなのはみささんくらいだろうね。
ミコさんが千種に憑依したあの日、直前まで居合わせたのは児島姉妹だった…。
現実逃避は長く続かず
「なんで幸平に絡むんですか?」
おー直球勝負の千種。
みささんは薄く笑い、
「あたしがなにか?」
そして…。
「なんだなんだ。修羅場か?」
どうにも厄介な人が絡んできた。
日向さんだ。面倒くさいことに美也子や五明までいやがる。
また日向さんの一言が千種の怒りに油を注いだ。
「関係ありませんから!」
…千種も他人に怒るんだな。今日は珍しいものが見れた。
傍では俺の玲先生がオロオロしていた。暴言癖の割には気が弱く、うまく日向さんがフォローしているように俺には映る。
もしかしたら…玲先生を守ることも引退の一因なのだろうか?
余計な想像は詮無きことにしても。
・・・
いつもなら千種の強気を洒落っ気で受け流すみささんなのだけど、なぜか今日は折れてくれない。別に言い返すとか、態度に表すこともない。
ただそこにいるだけなのだが。
なんだか野球部の集合時間が迫り部員たちが揃いつつある。
おまけにみささんがいつの間に召喚したのか、最内校の野球部のやつらまでチラホラと。みささんが弟のりくを通じて集めたんだろうか。
「おっ、美脚決戦か?」
俺と同じ性癖を隠さない沢村もまた現れた。美脚女王のキントキさんを連れて。
千種とみささんを見比べ、そして俺を見て…キントキさんは溜息を吐く。
「早名くんって想像したよりはるかにお下劣だったんだ」
沢村…。おまえ、なんかしただろ?
そして決定的な事が起こる。
「こーくん、まだ付きまとわれてるの?」
千種に遠慮して、俺をこーくんから早名くんへ呼び方も変えていたはずなのに、この後に及んで幼馴染の折井若葉がその名前を口にする。
…つまりは千種への挑発。
いやいや。千種は優しい女だ。俺が一番分かってる。なのに今日に限ってなぜか…。
「だいたい泥棒猫なんだもの。若葉ちゃんやあたしの」
千種の天敵とも言える美也子まで参戦してきた。
千種、対。反千種連合。
どうしてこうなる?




