室賀の乱3
旗幟を鮮明にする。
そんな事態がいつ起こるとも限らない。
人生はいつだって緊張感に満ちている。
「そうやって現実逃避するの良くないよ」
えー!?
紅旗征戎我が事にあらず、だ。
橋本結菜がすっと近くに現れた。
「なにそれ?日本語?」
俺は千種のガス抜きができれば…と、ちょっとみささんを呼び出しただけだ。
「幸平さん、ヤバくないすか?」
おー、光太郎。奇遇だが俺もそんな雰囲気を感じるぞ。
「…あたしが気に入らないならそう言いなさい」
なんだか千種がキレたよう。
「ちょっと幸平くんを貸してくれたら構わないよ」
…は?
「貸すわけないでしょ!」
「「「じゃあ」」」
なんでみささん、若葉、美也子が口を揃えるんだか。
「「「勝負よ!」」」
…アホか。
・・・
野球で、だと。
どういうこっちゃ。だいたい千種は野球に関係ないだろうに。
みささんが俺に言う。いつの間にか反千種連合の大将格だ。
「千種ちゃんの旦那が野球選手なら、野球…でしょ?」
なんかまあ…間違っちゃいないのか?
「幸平…あなたまさか…」
直近の問題は、どちら側に付くかである。
当然、千種に沿わなければならないのだが…。
よし。
「愛人を認めろ」
直接的な要求を千種に向けた。
なんのことはない。美脚を眺める自由がほしい。そのために地球は回っているはずだ。
「暑さで頭をやられたのかしら?」
段々悪役めいた台詞が板についてきてるぞ。
「あたしが一番なんでしょ?」
比較できて始めて幸せって感じられるもんなんだよ。
「うぬがまなこ、まことを見せようぞ」
あーミコさんいつの間に。
しゃーない。今の言葉は錯乱が故と後で説明しよう。美也子だけは不敵に笑ったが。
・・・
野球で勝負ってなんだよ。
「あたしのチームに来たい人?」
我が部だけでなく、最内校の部員も各自集まってグラウンドは結構な大所帯。
その面子に呼びかける千種。
「室賀組の出番ですよね」
当然児島訓の3人は千種組に。かたや若葉のおっぱい目当てだった三人衆のうち市川と後藤は反千種連合に。五明は美也子のために2人に追随するかと思いきや動かない。
そしてどちらにとっても最大級の戦力になるはずの光太郎もまた静観の構え。
…あいつ結菜が怖いんだろうな。
割とキープレイヤーになりそうな児島陸は弟は逆に反千種連合に。児島家は真田家のようだ。
そして…。
「幸平。あなたは?」
千種の問い。
聞かれるまでもない。
婦唱夫随の高良の伝統に乗るまでだ。
つまり…。




