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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第10章:

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115/121

千種の放言

 ボケっと生きているわけではないけど、世間では日向さんの引退は大きなトピックで扱われていた。本人の言う通り、それは大ニュースなわけで。

 その多くは才能を惜しみ、中には打者としてならと野手転向案もあるにはあったけど、日常生活にも支障がある故障であるが故に、引退やむなしの風潮を覆すほどではなかった。

 まして完治に数年を要すると説明があればなおさら…なのだろう。


 そして本人のキャラである。長くリハビリをするより、あっさりと引退を選ぶ…世間でもそのように認識されていた。記録よりも人々の記憶に。それゆえの…登板過多。


 だがもって本人の胸の内など知り得るはずもなく。

 唯一、義兄の「残念だ」との短いコメントがもしかしたら、日向さんの心情を察していたのかもしれない。


 と言うわけで、一旦部屋に帰った俺たちは、魅力マシマシの千種の身なりをちゃんとさせ(かなり惜しかったけど)、再び外出するのだった。昨日から忙しくて仕方がない。

 目指すは玲先生の部屋だ。まだ新居などは、日向さんの意向があることだろうから決まっておらず、これからのことになるはずだ。

 まあ昨日も思ったが高校生の分際で何かできるはずもなく、結局はお使い、だ。姉の。


 実は義兄のメッセージのあとすぐに姉からも連絡があった。そこには

「なかよし水泳会の広告塔に就任するように説得して」

 とあった。自分ですればいいのにと思う反面、あの積極的な姉が俺に頼むくらいなのだから何か理由があるんだろうとも想像がつく。


「お姉さんも日向さんのいとこよね?」

 千種が歩きながらそんなことを尋ねてきた。そう言えばそうだよな。

 あー、自分のいとこと盟友は結婚したのか、日向さんは。

 そして義兄や日向さんがそれに対してどのような心境だったのかは、想像ができない。もしかしたら…姉も日向さんもそれを話していないのでは…。

 …あり得ないか。姉は真剣な時は誠実だ。たぶん。


 ・・・

「広告塔?なんだ、そりゃ」

 一応連絡通り伝えてみた。内容を聞かれてもよく知らないんですよ。俺何気になかよし水泳会じゃないし。 

「そうなのか?俺はおまえがなかよし水泳会で女子高生を食い放題だって聞いたぞ」

 んあ?


 隣で千種が放電でも始めたようにピリつく。

「噂の出どころは?」

 天下の大スターを捕まえて詰問する千種。

「えーと…」


「幸平くんのお姉さん」

 見かねて玲先生が助け舟を出した。

「玲も…おまえの姉ちゃんも怖いけどな…えーといとこの嫁さん?」

 そう千種に語りかける。

 ガラっと雰囲気を変えて「はい?」と返事をする千種。

「誰も信じてねえから心配すんな」


「そうですよね。この人あたしにしか…」

 たたないし…と。

 あーあ、言っちゃったよ。


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