似た者同士
結菜たちはとりあえず光太郎の部屋に行くことになった。どことなくバツが悪そうに光太郎は姉の部屋を後にする。
そうすると残るのは美樹と千種、俺だけなわけで…。
まあ、気まずいことはないのか。千種に結菜、美樹はお互いベタつかないが信頼しあっているように俺には映っている。
水泳のトップたちと互角に張り合える器量を持つのがすごいんだが、ミコさんと言う古代史ヒロインが中にいるんだから反則のような…。千種が望んだわけではないのだけど。
「ワニって美味しいの?」
ワイルドな質問だな、千種。昔はワニはウサギのことを…。
「遊びに来てね」
夫婦でと、美樹は加えた。
と、携帯にメッセージが入る。
朝っぱらから誰だと見ると…義兄?
姉の妊娠でやり取りして以来だから珍しいこともあるな、と文面を読む。
そこには、ヒナをよろしく頼むとあった。
ヒナって依田日向さんのことだよな?
盟友なのは承知しているけど、年下の俺なんかになにかできるわけでもないだろうに…。
「誰から?幸平」
千種が平易な様子で尋ねる。
「晶さんから、ヒナをよろしくって」
「葉さんがなにか言ったんじゃないかな」
「んー、たぶんそうなんじゃない?」
などと千種と会話していると…。
「晶さんって遊佐晶のこと?ヒナって依田日向?」
呼び捨てにしたらダメだろ。あーでも、一般人から見たら別におかしくないのか。
「おかしいのはあなたたち」
と、美樹。
いや、おかしいのは千種だけで…
「幸平が一番おかしいもん」
んなわけあるか。
「プロ野球のスターが盟友をよろしく頼むって言ってくることが普通だと思う?」
さあ…あんまりないんじゃないかな。
「ほんとにあなたたちは…」
あ、ところでなんで今朝に限って結菜もおまえも現れたんだよ?
「気づいちゃった?」
なんか勢いに飲まれて主犯にされたけど、おまえら示し合わせたんじゃ?
「昨日の夜、美樹になにかあったんだって思ったから結菜と行ってみようって約束したんだ」
そういうことか。んで偶然二組ともしてしまったと。
強いて言うなら俺が積極的な猿で、光太郎が消極的な猿なのが違うくらいか…。
たいした違いないな。
「あるでしょ」
どこがよ?おまえだって…。
「その話だけは2人だけでして」
この部屋の主人に怒られた。ごもっとも。
美貌にある程度プライドを持ってる千種が、朝しどけない姿で現れたのはそんな理由だった。
そこそこ雑談したあと、帰路についた俺は千種に提案する。
なあ?今度オーバーサイズ買いに行かないか?
「なにかに目覚めたわけ?」
たぶん千種は文句を言いつつも応じてくれそうな気がする。なんだかんだで俺たちは似た者同士なのかもしれない。




