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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第9章:交錯する夜

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ワニの国

 荒野に睥睨する武者のように大杉美樹は仁王立ちしていた。

 まあ、長身だし。


 俺たち4人は美樹の部屋で各自正座させられていた。

 いきなり寝込みを襲われて、そいつらがいかにも事後でござい…みたいな雰囲気をしていたら、そりゃなんのつもりだと怒るのは当たり前の話で。


「なんでわたしのところ?」

 もっともな詰問。3人が結菜を見る。

「だってあたしの部屋…」

 結菜と光太郎が項垂れる。


 ほほ~、そういうことか。


「だって千種がいやらしい姿だから…」

「どうして…かな?千種」

 いつもは優しい美樹が千種を呼び捨てにする。

「だって幸平が…」

「反省することない?」

 はい…と千種と俺は項垂れた。


「幸平くんも光太郎も男子高校生よ?」

「「はい…」」

 おとなしく拝聴する結菜と千種。


「猿」

「「はい…」」

 間違っちゃいない。


 ほらっと自らのパーカーを千種に渡す。慌てて着る千種。

 明らかにオーバーサイズなのだが…なんだか可愛い。


「猿1号!嫁に惚れ直すのは後」

 ええ…俺?


「御奉行様、せめて言い訳を…」

 決死の覚悟で申開きを申状する。

「ふざけてんの?」

 まだマイブームの名奉行シリーズが続いてるんですってば。 

「わたしと光太郎はただ走りたかっただけにございます。なのにこの女どもが許しも得ずに勝手に付いてきて…」


 あたしたちを売る気かと、女性陣2人は俺を見据える。

「そもそもこのお部屋に案内したのは、この金髪でございまして…」


「もう金髪じゃないもん」


「寝櫛も直さずのこのこ付いてきてのは、この鬼でございまして…」


「嫁を鬼って言う方が鬼だもん」


「光太郎、肉親ゆえ御奉行様に申すことがあるだろう?」


 光太郎は無言だった。姉に怒られる経験だってないわけじゃないだろうに…。


 あ…。

 だからこその無言か。

 ってことは…。俺の言葉は悪手!


「主犯を早名幸平と認定する」

 冤罪が確定した。


 ・・・

「ごめんなさい」

 俺たちは素直に謝った。どう考えても悪いのは俺たちだ。


「ゆうべ、ね」

 美樹は口調を柔らかく変えて話しかけてきた。こんな時は…千種にまず語りかける。間違いなく大杉美樹は…愚かではない。


「留学しないかって先生が」

 えっ?と反応したのは弟。どこへと問う。

「ワニの国」

「オーストラリア…」

 呟いたのは千種。美樹とおまえの中でオーストラリアはワニの国なのか?


「光太郎をお願いね」

 結菜に語りかける美樹。

「野放しにすると危険だよ、千種」

 え、危ないのは俺だよね?


「黙りなさい、主犯」

 …まだ許されてなかった。



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