幕間:千種のチカラ
ミコさんがわたしに入ってから、なんとなく人の気持ちを感じとれるようになった。
それは色であり、彩度であり、濃淡。
ただしどの色がどんな気持ちなのかはまだ分からないし、なにより純粋な色をまだ見たことがない。
すべてが混じりあった色で…当たり前だが純粋な愛、純粋な憎悪があちらこちらに存在するわけがない。自分に置き換えなくてもその程度は分かる。
ちょっとずつどの色がどんな感情なのかを学んでいるところだ。
その思索はとても疲れてしまうのだが。
ごめんね、幸平。
あたしがこんなにべったりくっついていたら、あなたが疲れてしまうのに。
あなただけは読めない。必要もないし、読みたいとは思わない。
あなただけは。
虫の良い話だけれど、大事な人だけはミステリアスであってほしい。
でなければ、人生などというものに絶望してしまうかもしれない。
おそらくは…ミコさんもそうであったのだろう。だからこそ、その人が亡くなって、自らの心を閉ざさなければ…他人の色に自我が押しつぶされてしまったに違いない。
に、しても…。
大杉美樹でさえ、わずかながら幸平に思慕の色を帯びていたことは、さすがにあたしだって驚いた。
もしかしたら…なにかを決意したことが、その思いを過去に押し流そうとしたからこそ、今さらにあたしが感じ取れたのかもしれない。
いずれ話してくれるはずだ。
あたしたちは…友達だから。




